映画『イチケイのカラス』初日舞台挨拶
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初日舞台挨拶
講談社「モーニング」で連載された同名コミックを原作に、2021年4月期にフジテレビ系列月曜9時枠にて放送され、平均世帯視聴率12.6%という令和“月9”No.1 の高視聴率を獲得した、連続ドラマ「イチケイのカラス」が映画化。
1月13日、映画『イチケイのカラス』初日舞台挨拶をTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて実施し、竹野内豊さん、黒木華さん、斎藤工さん、山崎育三郎さん、そして田中亮監督が出席しました。この日は、Superfly・越智志帆さんによる本作の主題歌「Farewell」の生歌唱もあり、大変盛り上がりました。全国100館の劇場への生中継も行われた、こちらのイベントの模様を詳しくレポートします。
竹野内豊さん
入間みちお役
黒木 華さん
坂間千鶴役
斎藤 工さん
月本信吾役
山崎育三郎さん
井出伊織役
田中 亮監督
竹野内さん
皆さん、今日はありがとうございます。日本全国で数千人の方が今ご覧になっているということで本当に嬉しく思っています。短い時間ですが最後まで楽しんでいってください。
黒木さん
記念すべき初日に全国(それぞれ)の劇場まで来てくださって、そして本作を観てくださったこと、こうして時間を共にできることをとても嬉しく思います。とても大切に作った作品ですので、ぜひ今日は楽しんでいってください。
斎藤さん
月本という役の性質上、「上映後のイベントにどの面さげて登壇できるのか?」と悩ましいまま、ここにいます。この面しかありませんでした。
映画にとって初日というのは、最も大事な日です。そんな日に皆さんが劇場に足を運び、こうして花を添えてくださり、本当にありがとうございます。
山崎さん
(MCの役柄紹介「ミスターパーフェクト検事のはずが…」に対して)僕はパーフェクトですが、井出くんはパーフェクトではありません。…(会場の反応を見て)ウケませんでした(笑)。
本日は、全国でご覧の皆さんも楽しんでいただけていますでしょうか。(手を振る)はい、反応がありません。今日は、短い時間ですが、皆さんと一緒に楽しい時間を過ごせればと思っております。
MC
きっと全国の反応はあるかと思いますよ。
田中監督
六本木の皆さん、全国の皆さん、公開初日という大切な日に、映画『イチケイのカラス』をこうして温かく迎えてくださって本当にありがとうございます。連続ドラマから始まり、たくさんの方に応援していただいたおかげで、こうして本作を作ることができました。本作もぜひたくさんの方に愛していただいて、応援していただいて、イチケイの世界がまだまだ続くと良いなと思っております。
MC
竹野内さん、今日は朝からテレビにも出まくりでお疲れかと思いますが、改めて映画の初日は特別ですか。
竹野内さん
そうですね。やはり皆さんがおっしゃっていたように、この日を目指して作ってきた作品ですので、これだけ多くの方に迎えていただけるのは本当に……言葉がないです。本当に嬉しいです。
MC
連続ドラマから竹野内さんが作ってきたキャラクターの入間みちおですけれども、もう一回り大きくなりましたか。
竹野内さん
田中監督が、いろいろなアイデアを出してくださるので、台本には書かれていないみちおがどんどん引き出されて、気づいたらずいぶんキャラの濃い裁判官になっていました。黒木さんが(相手役を)しっかり演じてくださっていることで、何とか成立できたと思っています。
MC
お茶目とシリアスさの両面がクロスオーバーするのが、入間みちおです。そのお茶目の部分は、田中監督が引き出したそうですが?
田中監督
以前、竹野内さんとお仕事をした時に、竹野内さんご自身にみちおに通ずるチャーミングなところがあると思いました。僕はそれが大好きだったのでぜひ引き出したいと思って演出しました。竹野内さんのそういうチャーミングなところが好きな人は、たぶんいっぱいいると思うので……。それがお客さんにも届いたのかなと思っております。
MC
完成披露の時には柄本さんが「竹野内さんは真面目とお茶目を本当にキレイに混同された方なんです。」と話されていましたが、黒木さんも感じますか?
黒木さん
ありますね。撮影中にくったくなく笑う感じがあるんですよね?(と山崎さんに同意を求める)
山崎さん
さきほど竹野内さんとお話をしたのですが、竹野内さんが僕が出演する帝国劇場のミュージカルを観に来てくれたんです。僕は、冒頭からセンターで結構カッコ良く登場していたんですが、竹野内さんは始まって15分間それが僕だということに気がつかなかったそうです。(会場:大笑い)
会場の全員が僕だと気がついていたのに、竹野内さんだけ気がつかなかった。そういうエピソードも入間みちおさんっぽいなと……(竹野内さんに)ね?
竹野内さん
(山崎さんと目を合わせないように)いや、連続ドラマで三カ月以上ずーっと一緒の現場にいたんですが、(山崎さんの)ミュージカルを初めて拝見した時には、別人に見えたんですね。
山崎さん
まぁ、そうでしょうね。カツラもつけていますし……。
竹野内さん
事前のリサーチもせずに行ったら、つけヒゲも着けていて全然違うんです!(会場:笑)
山崎さん
竹野内さん以外は気がついていたんですよ。(会場:笑)
MC
斎藤さんはいかがですか?
斎藤さん
僕は、竹野内さんと一緒に取材を受けた時に、カメラマンさんのブームで民族音楽が流れていたんです。そしたら竹野内さんが急にその音楽のリズムに合わせて笑顔で踊り出して……。僕は、そういう一面を少し知っていたんですが、取材陣はあまりにもイメージしていた竹野内豊像と違っていたようであっけにとられていました。
MC
竹野内さん、やはり皆さん一様に入間みちおと通ずるところがあるということです。
竹野内さん
そうかなぁ~。
田中監督
まさに今の感じが、みちおさんとクロスするところだと思います!
MC
今作には、(映画監督の)庵野秀明さんが友情出演されていますね。
竹野内さん
本当に恐縮です。友情出演のことは撮影が始まってから初めて聞かされたので、びっくりして「何で?」と思いました。実際、現場ではお会いすることはできなかったのですが、(庵野)監督のクランクアップの時に会いに行きました。ものすごく嬉しかったです。
黒木さん
私はこれまでお仕事でご一緒したことがないのに、「一番最初に(庵野さんを)怒らないといけないのか!?」と思って、申し訳ない気持ちになりました。私の中では、“想像していたままの庵野さん”という感じで、ある意味ラッキーだったかなと思いました。すごくかわいらしくて、「いびきがちゃんとできるか心配だ」、「アフレコで大丈夫でしょう」とおっしゃっていました。
田中監督
「(庵野監督を演出するのは恐縮して)やりたくない!」という気持ちもありましたが、せっかくの機会なので、すごく楽しく演出しました。現場にいらっしゃる時は庵野監督ですが、一役者として”居眠り裁判長”を演じてくださったので、すごく楽しくて幸せな時間でした。
MC
黒木さん、坂間千鶴というキャラクターの成長をどのように感じていらっしゃいますか。
黒木さん
ドラマの最初の堅物というか、人の気持ちがあまり分からない感じから、みちおさんと出会い「悩んで悩んで悩み抜くんだ」という言葉を知り、映画になって、さらに坂間の表情がドラマでは見せたことのないものになりました。そういう場面を作ってくださっていて、すごく楽しかったです。演じながら「坂間はこうやって成長していくんだな」と思いました。
MC
とにかく走り、自転車に乗り、大変な撮影だったのでは?
黒木さん
田中さんが(そういうシーンが)好きなんですよね(笑)?
田中監督
そうです(笑)! 僕のせいで大変な思いをさせてしまいました。でも、作品としては非常に良いシーンになったと思っています。
黒木さん
そうですね。田中さんがすっごく喜んでくださるので、演じ甲斐があります。たまにですが、「今本番中なのに大丈夫かな?」と思うぐらい笑ってくださることがありましたが、「楽しいなら良いか」と思って、嬉しく思いながらやっていました。
竹野内さん
すごく笑い声が聞こえて……(監督のリアクションは)嬉しいです。(それは役者として)一番嬉しいです。田中監督は、シーンとしては終わっていても、なかなか「カット」をかけてくれないんですよね。それで、アドリブにならないアドリブというか……。
MC
坂間とバディを組むのが、月本です。斎藤さん、月本はシリアスなシーンが多かったと思います。月本のキャラクターをどのように捉えましたか。
斎藤さん
個人的には、彼が抱えているものや行動で、理解できる部分もありました。彼の中でもさまざまな葛藤があり、それを黒木さんに表現してもらった面もあります。ですから、自分だけで作り上げたキャラクターというよりは、監督はじめ多くの方に月本を形成していただいたと完成作を観て思いました。
黒木さん
(斎藤さんとの共演は)すごく楽しかったです。その場の空気を楽しんでお芝居をしていらっしゃる感じがして、みちおさんとはまた違った坂間の表情を引き出してくださいました。船のシーンはすごく楽しかったです。
斎藤さん
船のシーンは、何というのでしょうか……まさに監督の放置っていう感じ? あの状況でワンカットなので、黒木さんは坂間さんが言いそうなセリフをアドリブでずーっと続けていて、本当に「カット!」がかかるまで坂間千鶴なんです。「素晴らしいな!」と感動しました。
黒木さん
いえいえいえ……。
MC
山崎さん、井出はコミカルなシーンが多くて、その意味では田中演出が炸裂したシーンが多かったように思います。
山崎さん
連続ドラマから積み重ねてきまして、自分だったら入間みちおをコントロールできて、映画ではバディになると思っていたのに、入間さんにはまったく振り向いてもらえず……何も変わりませんでした。ただ事件を読んで一生懸命に走りました。
MC
関東地方では、井出のスピンオフドラマ「イチケイのカラス~井出伊織、愛の記録~」(1話~5話/2023年1月9日からフジテレビ系列にて放送)が深夜に放送されています。井出は、連続ドラマから映画の間に、身を固めてらっしゃるんですよね。
山崎さん
そうですね。恋愛に関しての井出くんは、独特の空気が出てきます。個人的には、恋愛のかわいい姿も出てくると思いますので! そういうところも監督に引き出していただきました。
MC
ストーリー的には、その恋愛にも入間が絡んでくるんですよね?
山崎さん
そこにも入間さんは入ってこられるんですよねぇ。仕事もプライベートも追うのが井出くんですね。
田中監督
完璧だというイメージがある育三郎さんが、完璧でありたい井出というキャラクターを演じてくださるので、イメージをこわすのがたまらなく楽しいです。特に、スピンオフでは「ちょっとこわし過ぎちゃったかな」というぐらいに、本当に面白く演じてくださったので、演出していて楽しかったです。
MC
クライマックスの法廷シーンは、竹野内さんの長いセリフもあります。撮影スケジュールは、三日間予定されていたそうですが、竹野内さんが完璧で、初日にアップしたと聞いております。
田中監督
長いシーンなので、途中で区切って今日はここまで…、というプランがありました。でも、いざ撮影が始まったら竹野内さんが、その長いセリフの最初から最後まで…法壇を降りて判決をくだすまでを…。そしてそれを聴いている皆さんがエキストラさんを含めて自然に涙を流されて、クライマックスにふさわしい空気に包まれたんです。
竹野内さん
お芝居とはいえ、裁判ですからね。カッコ良い言い方をすると、「人を裁く者としては、本当にしっかりやらないといけない」という責任感はありました。……まぁ、余計なことを話すのはやめておきます。
MC
そこは話してください!
竹野内さん
実は、法壇から降りるというのは極めて異例なことなんです。階段は三段ぐらいですが、降りる時の気持ちは走馬灯のようにいろいろな気持ちが巡ります。「うまく成立できたら良いな」という気持ち一つでそれをなんとか乗り切りました。新キャストの皆さんの素晴らしいお芝居を目の前で見ることができて、すごく良かったです。
MC
会場の皆さんは本作をご覧になったばかりですが、このお話を聞くともう一度あのシーンを観たくなっているかと思います。まだまだお話を伺いたいところですが、ステージに楽器があるのにお気づきでしょうか。本日は、映画の公開を祝して、本作のための書き下ろし主題歌を担当されたSuperfly・越智志帆さんが駆けつけてくださいました。「Farewell」アコースティックVer.をこのあと生歌唱してくださいます。(会場:拍手)
Superfly・越智さんと竹野内さんとは「BOSS」(2009年・2011年フジテレビ系列にて放送/主演:天海祐希)の主題歌以来ですよね。
竹野内さん
はい、14年ぶりになります。14年前のドラマの打ち上げの時にも、越智さんはかけつけてくださいました。スタッフの労を吹き飛ばしてくれたことは忘れられない思い出です。
MC
黒木さん、「Farewell」という楽曲の印象は?
黒木さん
この楽曲は「坂間の気持ちに寄り添って作った」とお聞きしました。すごく胸にくるものがあり、感動しました。
MC
歌詞は、坂間の月本への気持ちを歌っております。
斎藤さん
僕も、映像を作ることがありますが、映画の要素の半分は音楽が仕上げてくれるという意味を、本作の完成を見て思いました。楽曲が、月本というキャラクターも描いてくれていました。
MC
監督、どのタイミングで流すかも演出の大きな肝だったように思います。
田中監督
そうです! 実際に、映像を観ていただいて楽曲制作のイメージを膨らませてもらいました。ですので、曲をいただいた時には、作品の完成のための最後のピースがカチッとはまったと思いました。
MC
山崎さん、越智さんが映画館で歌ってくださいます。
山崎さん
贅沢ですね。この空間で生声を聴けるのは、なかなかないですから、しっかりとお聴きしたいと思います。
Superfly・越智志帆さん
越智さん
今回、主題歌を書かせていただきました。映画の公開初日、おめでとうございます。このような素敵な日に歌えてとても嬉しいです。
■Superfly・越智志帆さんが主題歌「Farewell」アコースティックVer.を生歌唱。
MC
生歌唱はいかがでしたか。
竹野内さん
感動しますね。本当に贅沢! 越智さんの歌で、この作品に力を与えてくださって本当にありがとうございます。
MC
「イチケイのカラス」のために書き下ろしをされたそうですが、どのような思いを込められたのでしょうか。
越智さん
ラフの映像を観せていただきまして、その時に黒木さんの号泣シーンに、私が作る楽曲が流れるということを知りました。黒木さんの涙が美しかったので、その涙を見守り、旅立ちを見送り見守れるような優しい楽曲が作れたらと思いました。
黒木さん
(「黒木さんの涙が美しかった」に対して、謙遜して)そんなことはないですが……それは言ったらダメですね。恥ずかしくて……。
本当に抱きしめられているような、聴いていて温かい気持ちになれました。それに、坂間が前を向いている感じで、救われたと思いました。
斎藤さん
ちょっと言葉は悪いですが、汁という汁が出そうになりました。感極まってしまって……今も……本当に品のないコメントですみません。そこにいないものが描かれるシーンだったので、上映後ですが言葉を選ばないと大きい組織に消されてしまう……。(会場:笑)本当に、今歌ってくださった楽曲と黒木さんの表現で、かたちのないものを表現していただいたと思います。感慨深く、ありがたく思っています。
MC
本作のメッセージをどう思われたでしょうか。
越智さん
本作を観た時に、いろいろな立場があるけれど、みんな愛があると思いました。それを守るために闘っているというすごく温かい気持ちになる作品でした。本作をご覧になる方々も、いろいろな愛のかたちを受け取ってもらえると思います。
MC
目の前での生歌唱でした。山崎さん、歌いたくなっていませんか?
山崎さん
そんなことないですよ! (会場:拍手)(拍手に対して)違うでしょう、今日は。
本作は、それぞれの立場で自分の正義があり、戦っている人物が出てきます。そのすべてを包みこんで受け入れてくれるようだと、アコースティックVer.でより感じました。素敵でした。素敵な演奏をありがとうございました。
■ガベル(裁判や議会などで用いられる儀礼用の小型の木槌)風の木槌を持ってフォトセッション。最後に鏡開きを行いました。
MC
「映画『イチケイのカラス』本日開廷、よいしょ!」のかけ声で鏡開きを行います。それでは、よろしいですか?
映画「イチケイのカラス」本日開廷、よいしょ!
MC
最後に主演の竹野内さんからご挨拶をいただきます。
竹野内さん
皆さん、今日はありがとうございます。随所にいろいろなメッセージが込められた映画『イチケイのカラス』。本当にどんな小さなことでも何か皆さんの心に届いたら嬉しく思います。いろいろな伏線が張られていて、もしかしたら伏線回収ができていない方もいらっしゃるかもしれません。もし、できたら役者目線で、みちおを二回ぐらい、そのあとで坂間さんを観ていただいて、育三郎くん観ていただいて、工くんを観ていただいて、そういういろいろな見方で楽しんでいただけたらと思います。日本全国の皆さん、今日は本当にありがとうございました。