「すずめの戸締まり」最後の戸締まり舞台挨拶

2023.05.27
  • イベント

最後の戸締まり舞台挨拶

「君の名は。」(2016年公開)、「天気の子」(2019年公開)に続く新海誠監督三年ぶりとなる最新作「すずめの戸締まり」が半年間にわたる超ロングランを果たし、ついに5月27日に劇場公開の終映を迎えました。TOHOシネマズ 日比谷では「最後の戸締まり」と題した舞台挨拶が開催され、原菜乃華さん、松村北斗さん、新海監督が登壇しました。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく少女、鈴芽の解放と成長を描く冒険物語となる本作。昨年11月11日に公開となり、日本では動員が1100万人、興行収入は147.3億円を突破。2023年3月から海外でも順次公開され、全世界興行収入が420億円を突破するなど、世界中で“すずめ旋風”を巻き起こしました。三人がこれまでの軌跡を振り返りながら、観客への感謝を伝えたこの日。本編後日談として新海監督が書き下ろした特別ストーリーの生アフレコも披露される貴重な機会となったステージの模様を、詳しくレポートします!

原菜乃華さん

岩戸鈴芽役

松村北斗さん

宗像草太役

新海誠監督

新海監督

今日は上映の最終日にお越しいただきありがとうございました。久しぶりに菜乃ちゃんとほっくん(松村さん)と三人でこの場所に立てることがとても嬉しいです。短い時間ですが、どうぞ楽しんで行ってください。(中継先の)スクリーンの向こうの方も楽しんで行ってください。

原さん

終映の日に、こんなにたくさんの方が劇場に足を運んでくださって感謝しかないです。今日は上映が終了するということですごく寂しいですが、最後にもっともっと「すずめの戸締まり」が好きになってもらえるように楽しくお話できたらと思っています。

松村さん

今日で上映が終わってしまうというのは寂しい気持ちもあります。僕らも、会場の皆さん、スクリーンの向こうにいらっしゃる皆さんにも悔いが残らないように、最後にもう一つ大きな思い出ができるような時間にしていきたいと思います。皆さん、一緒に楽しみましょう。

MC

お三方は久しぶりの再会となりましたか?

新海監督

ほっくんとは先週くらいに会ったよね。是枝監督の「怪物」の試写会を一緒に観に行きました。

松村さん

一緒に作品を観て、お茶をして…(笑)。

新海監督

そうなんです。デート的なことをさせてもらって(笑)。

松村さん

ブログに書いちゃいました。

MC

新海監督と原さんは久しぶりの再会ですか?

新海監督

すごく久しぶりじゃないですか?

原さん

韓国でのキャンペーン以来かもしれません。

新海監督

でも、いろいろなメディアでお見かけするので、僕は久しぶりという感じがしないです(笑)。

原さん

風の噂で、(新海監督が原さんの出ているメディアを)すごくチェックしてくださっているとは聞いています(笑)。嬉しかったです。

新海監督

いろいろと見ております。どの場所に行っても「可愛いな」と思って拝見しておりました(笑)。

原さん

嬉しい(笑)。(新海監督の)誉め殺しの言葉を久しぶりに聞けて嬉しいです。

MC

三人で一緒にイベントに登壇したのは11月28日「すずめの戸締まり」の大ヒットイベントで、今日と同じこのTOHOシネマズ日比谷に登壇いただきました。それ以来ということになります。

新海監督

そんなに経ちますか。あっという間ですね。今日は5月27日ですよね。「一年ぐらい前には何をしていたんだろう」と思って、今日(家を)出る前に一年前の制作日誌を読み返してみました。ちょうど一年前の5月25日に「鈴芽役をお願いします」と菜乃華さんにお願いをしたんですよね。その時はほっくんにも付き合っていただきましたね。

松村さん

そうだ! そうでした!

新海監督

鈴芽役の発表をサプライズでした日でした。あれから一年です。

原さん

早いですね。

新海監督

どうでしたか? この一年は。

松村さん

あっという間と言えばあっという間なんですが、すごくいろいろな出来事が詰まっているから、すでにものすごく懐かしさがありますね。

原さん

長らく鈴芽の声から遠ざかっていたので、何だか緊張しています。

新海監督

そうですか? でもこうやって聞いているとやっぱり鈴芽の声だし、草太の声だと思います。

松村さん

本当ですか?

原さん

嬉しいです。

MC

昨年11月11日に公開となり、本日で198日目の公開となります。5月25日までの数字で、日本では動員が1100万人突破、興行収入は147.3億円を突破ということで、ロングラン大ヒット作品になりました。おめでとうございます。

新海監督

(会場に向かって)本当に皆さんのおかげです。ありがとうございます。(会場:拍手)

MC

今日も日比谷にたくさんのお客様が来ております。

新海監督

そうですね。原さんからちょっと質問してもらっても良いですか?

原さん

はい。「『すずめの戸締まり』を観るのは今日が初めてです」という方、手を挙げていただいても良いですか?

■会場から数名、手が挙がる。

新海監督&原さん&松村さん

いらっしゃる!

新海監督

半年間は、観ていなかったということにもなります(笑)。でも、半年経って巡り合ってくださったことはすごく嬉しいです。

松村さん

もっと早く観れば良かったと思っているのではないでしょうか。

原さん

では「五回以上、観ています」という方はいらっしゃいますか?

■会場からたくさんの手が挙がる。

新海監督&原さん&松村さん

おー! すごい!

松村さん

もしかしたら全国の劇場にも、こういう方が結構いらっしゃる可能性がありますよね。

新海監督

手を挙げてくれているかもしれないですね。

原さん

十回以上という方はいますか?

■複数名から手が挙がる。

新海監督

うわ! こんなにいらっしゃる! ありがとうございます。
本当にありがとうございます。ここまでお付き合いいただいて、とても嬉しいです。

松村さん

何度も観た方もいらっしゃるので、意見もバラバラになるとは思うんですが、好きなキャラクターもそれぞれあると思うんです。共感したり、愛でたいと思ったり…。じゃあ、鈴芽から行きますか?

原さん

「鈴芽が一番の推しだよ!」という方、手を挙げていただいても良いですか?

■数人、手が挙がる。

新海監督

あれ? 意外に少ないね(笑)。

原さん

(笑)。手を挙げてくださった方、ありがとうございます。

新海監督

少数派だと、よりありがたみが増しますね。

松村さん

じゃあ「草太が好きだったよ」という方、手を挙げてください。

■複数人、手が挙がる。

松村さん

でもまだ、手を挙げていない方がたくさんいますね!

新海監督

じゃあ、芹澤ということですか?

■複数人、手が挙がる。

松村さん

来た来た、来たー!

新海監督

でも、芹澤と草太に手を挙げた人は同じくらいじゃないですか?

原さん

では、「ダイジンだよ」という方は?

■複数人、手が挙がる。

新海監督

ダイジンも多いですね。

原さん

好みのキャラクターはバラけていますね。

新海監督

圧倒的にどれか一つのキャラクターが人気という感じでもないんだね。

松村さん

実は刺さっている人には刺さっていると思います。「好きなキャラクターは環さんだよ」という方もいると思います。

■複数人、手が挙がる。

松村さん

ほら! 結構いるんですよ!

新海監督

本当ですね。じゃあ、稔って覚えていますか(笑)? 「稔だよ」という方はいらっしゃいますか?

■一人、手が挙がる。

松村さん

稔のような男性が好きな方、いるんです! 素敵な男性です。

新海監督

それぞれ、好きなキャラクターがバラバラなんですね。

松村さん

一位を決めるのは大変ですよね。

新海監督

でも鈴芽にあまり手が挙がらなかったことは意外でした(苦笑)。

松村さん

本当はみんな鈴芽なんだけれど、ちょっと“通”ぶりたいという方もいるのではないでしょうか。

新海監督

そうかもしれないですね。

松村さん

僕も「サダイジンですね」って言いたいですもん(笑)。そう言うと“通”っぽいじゃないですか。(登壇者の皆さん:笑)

MC

今日は全国の劇場で生中継もしているので、そちらにはたくさんいらっしゃるかもしれないですね。映画の公開以降、皆さんで25の都道府県で合計79回の舞台挨拶を行いました。

新海監督&原さん&松村さん

79!

MC

そして新海監督は第73回ベルリン国際映画祭(2月16日~26日開幕)への正式招待を皮切りに、ワールドツアーへ出発。現在までで欧米、アジア諸国を中心に9か国13都市へ訪れ、監督は世界中のたくさんの方々と交流してきました。こちらのプロモーションの軌跡を映像にまとめました。ぜひご覧ください。

■本作の主題歌であるRADWIMPS「カナタハルカ」に乗せて、新海監督が各国を巡りファンと交流する様子がスクリーンに映し出されました。(会場:拍手)

MC

海外でもたくさんの方にご覧いただきました。中国、韓国では実写、アニメを合わせた日本映画の歴代記録を更新。海外すべての興行収入も、日本映画の記録を更新しました。本当におめでとうございます。

新海監督

本当にありがとうございました。(会場:拍手)

MC

海外を巡られていかがでしたか?

新海監督

いろいろな国に行ってきたんですが、(原さんと松村さんを見つめながら)本当は全部の国を一緒に行きたかったですね。皆さんもやっぱり、次の仕事があるから…。「ほっくんは今ライブをやっているんだろうな」「菜乃ちゃんは今、ドラマだ」とか思いながら、海外から観ていました。
海外でも「すずめの戸締まり」を楽しみにしてくださっている方がたくさんいました。例えば鈴芽の緑色のスカートを履いたり、赤いリボンをつけたりと、鈴芽のコスプレをしている人がいろいろな国にいたんです。いろいろな肌の色の鈴芽に会いました。RADWIMPSの話をしたら「ラッドが好きだ」と叫び声を上げてくれる人もいましたし、「松村北斗が…」と話すと、ワーッと歓声が上ったりもしました。僕たちの日本での仕事も知ってくれているし、作品としても楽しんでくれていました。椅子になってしまった草太も、今や世界中に兄弟がいるんですよ。あの椅子を手作りして持って来てくれる人も、世界中にたくさんいました。本当に素敵な思いをたくさんしました。

■公式サイトで募集した質問に登壇者の皆さんに答えてもらいました。

【大阪府にお住まいの方からの質問】

登壇者の皆さんに質問です。 本作が上映されている期間中、嬉しいと感じたエピソードがあれば教えてください。
「すずめの戸締まり」大好きです。

原さん

「すずめの戸締まり」が公開されてからしばらく経った時期に、映画のオーディションに行きました。ちょっと緊張しながら「失礼します」と言ってパッと(扉を)開けた瞬間、監督さんに「あ! 鈴芽だ!」と叫ばれました。でも、テンパってしまって「あ、あ、あ、はい…!」しか言えなくて…(苦笑)。「お返しします!」とか言えば良かったと反省をしたんですが、そう言ってもらえてすごく嬉しかったです。

新海監督

同業の方まで僕たちの仕事を知ってくださっているのは、すごく嬉しいですね。

松村さん

世界にどんどん「すずめの戸締まり」が行くわけじゃないですか。その国ごとのポスターに僕の名前が入っていることに、妙に感動しました。その国の言葉で入っていたり、「Hokuto Matsumura」と英語で入っていたり…。そういうことに、思っているよりも世界が近いというか、やっぱり地球は丸いんだなと感じてすごく嬉しかったですね。

新海監督

「お返し申す」とか日本語ですが、韓国や中国のお客さんで、何度も観ている方は分かったりしますからね。先日韓国の配給会社の人とたまたま飲んでいたら、韓国では、今お酒を飲む時にダイジンの「鈴芽、好き」というセリフを乾杯の言葉として言ったりするんですって(笑)。

原さん&松村さん

ええ!

新海監督

ダイジンが「お前、邪魔」とか言ったりするじゃないですか。乾杯の時には、あの辺のセリフをみんなが使うという話を聞きました。すごく嬉しいですよね。

原さん

嬉しい。そこの(セリフの)チョイスなんですね(笑)。面白いですね。

新海監督

ダイジンの山根あんちゃんの声が良いんでしょうね。そんな話を聞いたりもします。

【宮城県にお住まいの方】

新海監督、声優の皆さん、そして本作に携わった皆さん、本当に素晴らしい作品を作ってくださってありがとうございました。たくさん観に行かせていただき、入場者特典も全て持っています。今、私は中学一年生なんですが、「すずめの戸締まり」の主に原菜乃華さんの演技を観て声優になりたいという夢を持ちました。
そこで質問です。声優の楽しさ、良さなどは何だと思いますか? 
次の新海監督の作品を楽しみにしています。本当に「すずめの戸締まり」お疲れ様でした。

新海監督&原さん&松村さん

ありがとうございます!

原さん

嬉しくて、ちょっとニコニコしてしまいます(照笑)。そんなことを言っていただけて本当に嬉しいです。私も中学一年生の時に同じように「君の名は。」を観て、アニメーションが大好きになったので…。たくさんの方が自分の最大限の力を出して「この作品をより良いものにしよう」と取り組んでいる熱意が伝わってきて、すごく感動しました。私はただ「そこについて行きたい」「携わりたい」という思いだけでした。その「思い」だけで十分なんだろうと思っています。うまいことが言えなくて申し訳ないんですが、そういう風に言ってもらえてすごく嬉しいです。本当にありがとうございます。

新海監督

(原さんは)中一の時に「君の名は。」を観たんですか? 今、うちの娘が中一なんです。

原さん&松村さん

そうなんですね!

新海監督

「そんな年齢なんだな」と、今自分の子供のことを思っていました(笑)。ほっくんは、声の仕事はどうでしたか?

松村さん

一番「これはハマってしまう」というか「面白いな」と思ったのは、姿や形、年齢を飛び越えられるすごく稀な仕事だと感じました。そこがすごく面白いと感じました。

新海監督

そこは実写との違いですよね。たまたまお二人は鈴芽や草太という姿、年齢も少し近かったですが、実写では椅子になったり、「お返しします!」と叫んだりすることもなかなかないですよね。

原さん

楽しかったですね。普段は言わないセリフなど、もちろん難しい部分もあるんですが、なりたいものになれたり、声だけで表現するのは、(演じる役の)幅がすごく広がると思うのでとても楽しかったです。

新海監督

(質問してくれた人が)声優を目指して頑張っていただきたいですね。

MC

新海監督から、声優になりたいという中学生にアドバイスはありますか?

新海監督

僕が二人を選んだのは、オーディションだったんですね。鈴芽のオーディションには千人以上の方がいらっしゃって、声だけを聞いて「あ、この人だ」と思った人が菜乃華さんをはじめ何人かいました。あとはその数人の方に直接お会いして、菜乃華さんが「やっぱりこの人が鈴芽なんだ」と思いました。ほっくんもオーディションで、最初に声を聞かせていただいてから、その後に直接会いました。僕はアイドルとしてのほっくんのことを、実はそれまであまりちゃんと見ていなかったんです(笑)。若い役者さんとして接して、「あ、この声が草太なんだ。見つけた」という感覚だったんですね。自分の作品であれば、自分の子供のようなものなので「聞けば分かる」と感じながらオーディションをやってきました。なので、出会いだったと思うんです。そういう意味では、運や相性のようなものも大事な仕事だと思います。「こういう努力をすれば、こうなりますよ」とはなかなか簡単には言えませんが、ただ一つ確かなのは「何かになりたい」という強い気持ちをずっとキープすることです。その気持ちが自分を今とは違う場所まで連れて行ってくれると思います。将来何になるかは別にしても、今持っている感情を大事にしてほしいと思います。

MC

では、ここで一つ、嬉しいご報告をします。本日で映画館での上映は終了となりますが、また形を変えて、私たちのところに「すずめの戸締まり」がやって来ます。それでは原さん、発表をお願いいたします!

原さん

映画「すずめの戸締まり」Blu-ray&DVDが、2023年9月20日に発売されることが決定しました!(会場:拍手)

MC

実は本作の舞台になっている時間というのが、2023年9月になるんですよね。

新海監督

はい。9月の初めぐらいを想定していました。

MC

それと同じ、2023年9月に「すずめの戸締まり」Blu-ray&DVDが発売となります。お二人は先日Blu-ray&DVD用にビジュアルコメンタリーを収録されたんですよね。

松村さん

本編を観ながら、しこたま“すずめの戸締まり愛”を話しましたね。

原さん

楽しかったですね。二時間ちゃんと、「このシーン良かったね」とか「ここが好きなんだ」と話しながら観ることができました。より魅力を感じたり、新しい発見があったりと、すごく楽しい時間でした。

松村さん

原さんは鈴芽、本人なわけじゃないすか。僕、途中でものすごい最高級のオフ会をしている気分になりました(笑)。本当に楽しくて、いっぱい喋っているので、きっと内容の濃いものになっていますよね。

原さん

濃いですね。はしゃぎすぎて、ちょっとよく分からない時間とかもありました(笑)。

松村さん

ありましたね(笑)。(原さんは)ビジュアルコメンタリーが初めてだったらしくて…。

新海監督

そうなんですか。僕もお二人のところにお邪魔したいなと思っていたんですが、ちょうど海外にいたので行けなくて…。(ビジュアルコメンタリーを)観るのを楽しみにしています。特に菜乃ちゃんは、「すずめの戸締まり」で初めてのことがたくさんありましたよね。初めての海外が(本作が正式招待された)ベルリンだったんですよね。

原さん

楽しかったです! 最高の思い出で、一生忘れられないと思います。

新海監督

初めてのサイン会も「すずめの戸締まり」だったでしょう? そういういろいろなイベントの記録もBlu-ray&DVDにはたくさん入っています。また僕がお二人に最初に観ていただいた、ビデオコンテ…僕が全部の声を吹き込んでいるビデオコンテも収録されます。

原さん&松村さん

ええ! そうなんですか!

新海監督

そうなんですよ。

原さん

嬉しいですね。

松村さん

あれ、すごいですよ! (会場に向けて)楽しみにしていてください。

MC

これが、本当に最後の舞台挨拶となります。今日は最後にふさわしい、特別なものを皆さんにお届けしたいと思っております。

新海監督

そうですね。こういう風に三人で壇上に立てるのも最後ということで、何か皆さんにお届けしたいと思い、即興のアフレコをします。台本を書いて参りました。もう皆さん、本作をご覧になっているのでお分かりだと思いますが、鈴芽が最後の扉を閉めてこの世界に戻ってきて、草太と一緒に並んで歩いている時に、(鈴芽の叔母)環と(草太の友人)芹澤がやって来て、環が「鈴芽!」と手を振りますよね。そして鈴芽が「環さん」と手を振り返す。そこで環、草太、鈴芽、芹澤が出会います。今日はその出会いのシーンの芝居を短く書いてきましたので、舞台上で披露したいと思います。

MC

新海監督が、映画には描かれていない部分について新たに書いてくれました。お二人は先ほど台本を読まれましたが、いかがでしたでしょうか。

原さん

本編では、草太さんと芹澤さんがちゃんと話しているのってないですよね?

新海監督

実は一言も(言葉)交わしていないんです。

原さん

「大学での二人(草太と芹澤)はどういう雰囲気なんだろう」というのが見られるので、ファンの方はめちゃくちゃ嬉しいと思います。

新海監督

本当は(劇中で芹澤を演じた)神木(隆之介)くんにも来てほしかったんだけど…。朝ドラ(「連続テレビ小説 らんまん」NHKにて放送中)などでお忙しいので、不肖ながら僕がちょっと芹澤役を…。

松村さん

これはすごくレアですよ!

新海監督

申し訳ないです。

■原さんと松村さんは、実際にアフレコをした際と同じ立ち位置へと移動。(ステージから見て左に原さん、右に松村さん)

新海監督

アフレコの時はいつもこの立ち位置でやっていて、僕がガラス越しのブースから指示を出していましたが、今日はちょっと一緒にやります。小説の形にしていますので、鈴芽の地の文から入って、地の文も菜乃ちゃんに鈴芽として読んでもらいます。地の文とセリフがありますので、リラックスして、楽しんで聴いていただければと思います。僕らも最後なので、楽しくできればと思っています。皆さん、準備はよろしいでしょうか。(会場:拍手)

■本編後日談として新海監督が書き下ろした特別ストーリーの生アフレコがスタート!

■生アフレコが終了すると、知られざる物語とキャスト陣の熱演に会場から大きな拍手が上がりました。

MC

久しぶりかつ、会場の皆さんの前での生アフレコはいかがでしたでしょうか。

原さん

緊張しました!

新海監督

本当ですか? 緊張しているようには全然見えなくて、素晴らしかったですよ。

松村さん

今、久しぶりに鈴芽に会いました。

原さん

私も草太さんに久しぶりに会えたという感じがしました。

新海監督

久しぶりに鈴芽と草太がいましたね。

松村さん

皆さん、草太と芹澤はあんな感じでしゃべるんですよ。

新海監督

あんな感じなんでしょうね。

松村さん

草太が、普通の大学生なんだと改めて感じました。

新海監督

意外とお金を貸し合ったりしているんですね(笑)。まさか二人と(アフレコ)できるとは思っていなかったので、嬉しかったです。

原さん&松村さん

嬉しかったです。

新海監督

聴いていただいてありがとうございました。(会場:拍手)

MC

では改めて皆さんから、今日来ていただいている会場の方々、中継先の方々にご挨拶をお願いします。

松村さん

今日で終映ということで寂しい思いもあるかもしれませんが、Blu-ray&DVDの発売も決まって、「すずめの戸締まり」の新たな旅立ちなのかなと思っています。そうすると、また本作を応援したくなるし、もうこれ以上寂しい本作とのお別れはないと思うと、僕はすごく安心しています。ここまで歩いて来られたのは、今日いる皆さん、ここにいない皆さんのおかげだと思っています。ひとまず今日まで、本当にありがとうございました。(会場:拍手)

原さん

今日は、本当にありがとうございました。本作に携わらせていただいたこの一年は、私にとって宝物のような時間でした。こうして最後にちゃんと皆さんのお顔を見てお話ができる機会をいただけたて、すごく幸せだと思っています。たくさん「すずめの戸締まり」を愛してくださって本当にありがとうございました。

新海監督

半年以上の長い上映期間を支えていただいて、心より感謝しています。「すずめの戸締まり」という作品は、日本だけに限らず全世界でここまで4000万人以上の方が観てくださいました。今日の皆さんのように映画館のチケットを予約して、電車に乗ったり、車に乗ったりしながら、わざわざ劇場まで足を運ぶということを、4000万人以上の方がしてくれた作品です。4000万人ってどういう数字だろうと思うと、ちょっとしたサイズの国ぐらいの人口になるわけですよね。それだけたくさんの人の心や身体を動かす力が映画にはあるんだということを、ほっくんや菜乃ちゃん、周りの素晴らしいスタッフや、皆さんお一人お一人から教えていただくことができました。「すずめの戸締まり」は上映としてはいったんここで“おしまい”ということになりますが、まだまだBlu-ray&DVDもありますし、アフタヌーンで連載しているコミカライズも続いております。まだ楽しくお付き合いいただければ嬉しいです。
(原さん、松村さんに向かって)二人とも「すずめの戸締まり」の仕事はいったんおしまいですが、新しい作品、遠くまで届く作品に向けて、どうぞ気を付けて、この先も行ってください。僕も「行ってきます」と言いながら、次の作品に向かえればなと思っています。また数年後に何らかの形で、ここにいらっしゃる皆さんと再会できて「ただいま」「おかえりなさい」という声を掛け合えたら幸せだと思います。今日は皆さん、菜乃ちゃんもほっくんも、本当にありがとうございました。幸せな時間をいただきました。(会場:拍手)