「スオミの話をしよう」完成報告会&完成披露舞台挨拶

2024.08.29
  • 完成披露

「スオミの話をしよう」完成報告会&完成披露舞台挨拶

国民的脚本家・演出家・映画監督として、これまで日本中にたくさんの笑いと感動を届けてきた三谷幸喜の映画最新作「スオミの話をしよう」が、いよいよ9月13日より全国公開となります。主演として行方不明となった大富豪の妻・スオミを演じるのは、人気、実力ともに日本エンタメ界を代表するトップ俳優となった長澤まさみさん。スオミをめぐる面々にも実力派俳優が集結し、三谷ワールド全開の物語を盛り上げています。8月29日には東京都内で完成報告会&完成披露舞台挨拶が行われ、長澤まさみさん、西島秀俊さん、松坂桃李さん、瀬戸康史さん、遠藤憲一さん、小林隆さん、坂東彌十郎さん、戸塚純貴さん、宮澤エマさん、三谷監督が出席しました。撮影現場の様子やミュージカルシーンの秘話などを、笑顔いっぱいに明かしたこの日の模様を詳しくレポートします!

スオミ役

長澤まさみさん

スオミ役

草野圭吾役

西島秀俊さん

草野圭吾役

十勝左衛門役

松坂桃李さん

十勝左衛門役

小磯杜夫役

瀬戸康史さん

小磯杜夫役

魚山大吉役

遠藤憲一さん

魚山大吉役

宇賀神守役

小林隆さん

宇賀神守役

寒川しずお役

坂東彌十郎さん

寒川しずお役

乙骨直虎役

戸塚純貴さん

乙骨直虎役

薊役

宮澤エマさん

薊役

三谷幸喜監督

【完成報告会】

■映画の主要舞台である“寒川邸”のパネルをバックに三谷監督、豪華キャストの皆さんが登場。会場から大きな拍手を浴びました。

長澤さん

今回、スオミという五人の夫がいる、ちょっとどんな人なのか皆さんが想像もつかないような女性を演じました。よく“スミオ”と間違えられるんですが(笑)、 ス・オ・ミです。なぜスオミという名前なのかは、劇場で確かめてもらいたいと思っています。スオミという役を通して、いろいろなキャラクターを演じました。難しいこともたくさんありましたが、皆さんと和気あいあいと楽しく演じることができました。たくさんの方に観ていただきたいと思っています。

西島さん

僕が演じた草野という役は、非常に神経質で細かい人間です。そして細かいからこそ、事件解決の糸口を見つけられるという、ちょっと変わった役です。とても楽しく演じられる機会を作っていただきました。最近、映画館に行くと、「若い観客の方ばかりだな」と思う時もあるし、ある時は「ご年配の方ばかりだな」と感じたりと、世代によって観る作品が別れているなと感じることが多いんです。ですが、本作はお子さんからご年配の方まで、ありとあらゆる世代の方に楽しんでいただける作品なので、ぜひ家族揃って劇場に足を運んでいただければと思います。

松坂さん

最初に十勝左衛門役をいただいた時は、すごい名前だなと思いました。(登壇者の皆さん:笑) 衣装合わせの時に、三谷さんと初めてお会いして、「よろしくお願いします」とご挨拶しました。この十勝という人物は、自信をスーツにして身にまとったような男です。他の夫たちに対していろいろなマウントを取りながら、ポンポンポンと会話に入っていくような役柄でした。あまり演じたことのない役だったので、三谷さんからこういった役をいただけて本当にうれしかったです。撮影期間中も、三谷さんの演出がすごく楽しくて、現場では終始、笑いながら皆さんと良い時間を過ごすことができました。作品自体にもその空気感がちゃんと反映されていて、スクリーンから観客の皆さんへ伝わるような、ものすごく面白い作品になっています。ぜひ皆さん、これからより多くの人に広げていただけると助かります。

瀬戸さん

(有能な部下役だと紹介されて)有能かどうかはちょっとあれなんですが…(登壇者の皆さん:笑)、三谷さんの作品にまた出演することができて、本当にうれしかったです。僕としては、すごく難しい立ち位置の役だと思いました。三谷さんからは、ずっと“軽さ”について言われていたので、そこを大切にしながら演じました。また、初めてのワイヤーアクションに挑戦して(登壇者の皆さん:笑)、すごく楽しかったです。たくさん笑える作品なので、皆さんも嫌なことを一瞬でも忘れられるような時間になるのではないでしょうか。ぜひ劇場に足を運んでください。今日はよろしくお願いします。

遠藤さん

台本をいただいた時は、正直なところ「そうは連続して面白いものを書けるわけがない」と思いながら…。すみませんね、三谷さん。

三谷さん

とんでもない。

遠藤さん

そう思いながら台本読みました。ところが、台本読んでいる間に大笑いしちゃいましたね。「なんでこんなに連発して面白いものが書けるんだろう」と不思議でした。現場では(三谷監督が)それをコロコロ、コロコロとさらに変えて、すごいことになっていましたね。完成した作品を観終わった時には、本当に何とも言えない、不思議な、大作が出来上がったと思いました。(三谷監督には)今回も呼んでいただいて感謝しています。また呼んでください! お疲れ様でした! (登壇者の皆さん&会場:笑)

小林さん

このメンバーの中で、スオミの三番目の夫という大役をいただきました。三谷監督の愛情だと思いました。台本を読んでみたら、とてつもなく難しい役でした。これも愛情だと思います。 信頼のなせる技だと思い、この難しさを逆に喜びに変えて演じました。そして(登壇者の)皆さんが本当に全てを受け止めてくれました。試写会で本作を観ましたが、とても面白かったです。全国民に観ていただきたいと思っています。(登壇者の皆さん&会場:笑) 

彌十郎さん

映画のお仕事は、ほとんど初めてのことです。楽しかったです。こんなに楽しいのならば、これから映画の仕事をいっぱいしたいと思えるくらい楽しかったです。「いつもそんなわけじゃありませんよ」と言われましたが(笑)。この楽しいメンバーでもっともっとやらせてもらいたいと思いますし、その楽しさを皆さんにも味わっていただきたい。お一人でも多くの方に見ていただきたいと思っております。

戸塚さん

本日はありがとうございます! ついに僕も、三谷さんの作品に出られる時が来たんだと。大抜擢だったと。僕もついにここまで来たんだと、非常にうれしく思っています。名だたる先輩方に囲まれた撮影は、本当に刺激的で、毎日がとても楽しかったです。この作品が皆様のもとに届いて、どういった感想を持たれるのかをすごく楽しみにしております。また今後も三谷さんの作品にたくさん出られるよう、頑張りたいなと思います。(声を高らかにして)僕は今、すごく幸せです! (登壇者の皆さん&会場:笑)

■宮沢さんの挨拶の前に、小道具のアンモナイトの置物の中に入った柿の種をつまみ食いする三谷監督

宮澤さん

(三谷監督に向けて)食べています? 真面目に聞いてもらって良いですか、すみません。(登壇者の皆さん&会場:笑)
神出鬼没な役というだけありまして、すごく謎めいたスオミの、さらに謎なお友達です。なので役については言えることはすごく少ないんですけれども…。(三谷監督が柿の種を落としたのを見て)落とさないでもらって良いですか。(登壇者の皆さん&会場:笑)
三谷監督の作品は、台本をいただく度に、毎回「これ以上に難しい役はない」と思いながら挑むんです。今回の薊という役に関しては、現場に行くまでどうなるのか全く分からない役でした。他の作品と同じく、三谷監督の無茶ぶりとも思えるような演出を受けながら、皆さんと一生懸命に団結して乗り越えました。
撮影現場では、長澤さんと一緒にいる時間がとても多かったんですが、試写会で本作を観た時に「男性陣はこんなに楽しそうに撮影をしていたんだ」と思いました。(長澤さんと顔を見合わせてうなずきながら)本当に笑えるところばかりでした。試写会の時には、実は三谷さんが隣に座っていてすごく嫌だったんです。(登壇者の皆さん&会場:笑) もし笑えなかったら、すごく嫌じゃないですか(笑)。でも、本当に心からたくさん笑わせていただきましたし、皆さんもお分かりかと思いますが、愛すべきキャストが揃って、みんなで楽しく撮影していたことが作品にも反映されていると思います。ぜひ何度でも観ていただきたい作品です。劇場に足を運んでいただけることを楽しみにしています。

三谷監督

アンモナイトの中に、柿の種が入っています。(登壇者の皆さん&会場:笑) 作品の中でも重要な小道具として使われているものです。今日もスタッフの方が置いてくださったので、ちょっとつまんでいたんですが…(柿の種が喉に引っかかってしまっている様子で)ちょっと喉に詰まって…年齢を重ねるってこういうことなんですね。(登壇者の皆さん&会場:笑)
ちょうど昨年の今頃に撮影をしていたんですが、やっと今日を迎えたという思いです。クランクインの前に皆さんに集まってもらって、一ヶ月ぐらいかけて稽古をして、お芝居を作っていきました。僕は演劇的な映画を作ろうと思っていたんです。例えばセリフ劇があったり、ワンシーンワンカットの長回しを撮ったり、ラストはみんなで歌って踊るカーテンコールがあったりと…。その一環として、舞台と同じように稽古を積んで始めようと思いました。そしてそれにちゃんと応えられる、すごく優れた力のある俳優さんたち、日本を代表する力を持った皆さんに集まっていただきました。僕としては、演劇的な映画を作ったつもりではあるんですが、結果的には、今まで僕が作ったものの中で、最も映画っぽい映画になりました。やっと自分が映画監督なんだと、自信を持って言える感じになったと思っております。皆さんもぜひ、劇場でご覧ください。

MC

三谷監督にとって五年ぶりの新作、映画監督作品としては九作目の作品ということになりました。どのような着想で、そこからどのような思いでこの作品づくりに臨まれたのでしょうか。

三谷監督

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」をやっている時に、長澤まさみさんにナレーションをやってもらいました。その時に何度か長澤さんにお会いすることがあって、そういえば彼女とはまだ映画はやっていないなと気づいたんです。十年前に舞台(「紫式部ダイアリー」)を一緒にやった時から、本当に力のある女優さんだと思っていました。どんどん、どんどんスキルを上げてこられて、「この人のために映画を作りたいな、この人が今の段階で一番輝いている映画ができないだろうか」と思ったところが出発点になります。

長澤さん

本当に恐れ多いです。十年前、舞台に出演した時に「もっともっと一緒にお仕事をしたいな」と物足りなさを感じていたので、今回出演することができて本当にうれしいです。

MC

スオミは相手によって違う顔を見せる女性ということで、大変難しい役柄だったと思います。演じられてみて、いかがでしたでしょうか。

長澤さん

本当に難しかったです。多面的な部分があって、相手によって印象が違うという役柄です。「どんな風にキャラクター作りをすればいいんだろう」と思いながら、毎日、監督からヒントをもらいながら演じていました。でも、今、皆さんのお話を聞いて、ものすごく独特な魅力を持たれた方々と向き合えているだけで、きっと「違う自分が生まれていたんだろうな」と改めて気づけたような気がしています。そういったところがスオミの本質的な部分だと思うし、自分というのは対する相手によって作られるものなんだと感じました。

MC

三谷監督からの演出を受けられて、印象的なことはありましたか?

長澤さん

今回は撮影入る前に稽古があったんですが、そこで演じてみると、「(冷たい感じで)違うんだよね」と三谷さんから言われて。

三谷監督

そんな言い方じゃなかったと思いますよ。(登壇者の皆さん&会場:笑)

長澤さん

「違うんだよね」って(笑)。「違うんだ」「何が違うんだろう」と思いながら役作りしていきました。

MC

一つ一つ、監督と作り上げていったわけですね。

長澤さん

そうですね。

MC

監督からご覧になって、いかがでしたか。

三谷監督

本当に難しかったと思いますね。スオミにはパターンが五つあって、それぞれ演じ分けていくんですが、決して五役ではなくて、彼女が演じなければいけないのはたった一人の女性なわけです。それでいて多面的な演じ方をしなきゃいけないというのは、すごく大変だったと思います。宮澤エマさんもある意味で五役をやるんですが、こちらはもう「コスプレで良いから好きにやってくれ」とお願いしました。(登壇者の皆さん:笑) これはすごく楽だったと思います。

宮澤さん

違います(笑)! そんな出オチしかやっていないみたいな感じの言い方をして(笑)。

MC

本当に魅力的なキャラクターがたくさん登場しているということですね。西島さんは、三谷監督作品に初参加となりました。プロモーション映像の中でも、とても楽しそうに現場にいらっしゃる西島さんの姿を見ることができました。

西島さん

本当に楽しかったですね。本当に笑ってばかりだったので、申し訳なかったと思います。稽古の一ヶ月間も楽しかったですね。ダンスは本当に嫌だったんですが、一ヶ月このメンバーで踊っていると「楽しいな…」と思えてきて(笑)。撮影現場ではまずテストをやって、本番でワンテイク目、ツーテイク目と、三谷監督の演出がかかる度に、どんどん面白くなっていくんです。三谷監督は最後の最後、ギリギリまで、今この瞬間に面白いことや、一回しか起きないことをカメラに収めているんだと感じました。それは三谷監督だけが持っている、特別な色だと思います。とても楽しかったです。

MC

メイキングの笑顔が、それを物語っていますね。

三谷監督

メイキングを観ると、西島さんはただただ笑っているように見えるかもしれませんが、本当にだいたい笑っていましたよね。(登壇者の皆さん&会場:笑) こんなに笑う人だとは思いませんでした。西島さんの笑顔は武器というか、すごいパワーがありますよね。
僕がこの作品を作るにあたって、まず長澤さんから発想をもらって、じゃあどんなストーリーを作ろうかと考えた時に、最初に浮かんだのが「西島さんに出てもらいたい」ということでした。西島さんのあの笑顔が一番効果的に、ラスト近くに出てくるような話が作りたいと思って、この物語ができました。観ていただくと分かりますが、最後に本当に良い顔をしています。あそこから、この映画はできました。

西島さん

そうなんですね。全然、知らなかったです(笑)。僕は本番はちゃんと笑っていないので、むしろ笑わない男としてやっているので、大丈夫です。(登壇者の皆さん:笑)

MC

松坂さんも、三谷組は初参加となりました。初めての三谷組はいかがでしたでしょうか。

松坂さん

僕も西島さんと同じく、本当に楽しかったです。西島さんのあの笑顔は、小林さんから生まれたんだと思います(笑)。キャストの皆さんが本当に素敵で面白くて、演じていながらも一観客として楽しめてしまうぐらい、撮影期間はずっと楽しかったですね。ダンス練習も最終的には部活のような感じになっていました。最後の方はみんなすごく仲良くなって、現場の前室で急にお芝居のリハーサルが始まったり、それぐらいの絆と言いますか、そういうものが生まれる現場でした。三谷さんの現場は本当に楽しかったです。

三谷監督

僕はずっと前から、松坂さんとお仕事をしたいと思っていました。三十代の俳優さんって、わりとストレートに気持ちをぶつける感じの演技をされる方が多いように思うんです。でも、松坂さんはそれプラス、どこかで「コイツ、何かちょっと裏があるんじゃないか」という匂いをさせるんですよね。CMを観ていても「コイツ、本当は…」と思ったり。(登壇者の皆さん&会場:笑)

松坂さん

そんなことないですよ(笑)!

三谷監督

そこが良いんですよね。ちょっと企みを持っている感じを、何とかうまく活かしたいと思って役をつくりました。

MC

先ほどの「西島さんの笑顔は、小林さんから生まれていた」というお話がありましたが、小林さんは、思い当たるところはありますか?

小林さん

恐らくですが、西島さんとは警視庁の先輩後輩という関係を演じて、言葉を交わす時に近くで目を見て話すんです。そして私は三谷監督からの「若くあれ」という司令で、アイプチを付けて目を二重に見せていまして。さらに付けまつ毛を何本か付けたりして、それが撮影を重ねるごとにちょっとずつ増えていくみたいなことをやっていたんです。(登壇者の皆さん&会場:笑) その姿で西島さんをパッと見ると、(西島さんが)プーッと吹き出す。西島さんは確かに笑い上戸ではあるんですが、私のメイクがいけなかったのかもしれません(笑)。

西島さん

そうなんですよ(笑)。振り返ると小林さんが突然ビールを飲んでいたりとか、毎回全然違うことやられるので、もう吹いちゃって吹いちゃって、しょうがなかったですね(笑)。

三谷監督

あまりにも西島さんが笑うから、僕もだんだん楽しくなってきてしまって、ちょっと強引でも笑わせてみたくなりましたね。試しに小林隆さんに目張りを入れてもらって、それで西島さんの顔を見てもらったりもしました。作品に対しては何のメリットもないんですけどね。(登壇者の皆さん&会場:笑) ちょっとやってみたくなって、試してみたんです。

小林さん

僕が覗き込むと、西島さんが顔を背けるでしょう? さらに回り込んで覗きこんじゃったりしました(笑)。

MC

戸塚さんも、三谷組に初参加となりました。三谷監督らしい、ユニークな演出があったと伺っています。

戸塚さん

すごく印象に残った演出がありました。カメラで皆さんを映している中で、僕も後ろに映り込んでいたんですが、その時に「一般人が間違ってテレビに映っちゃった感じでいてください」と言われて、すごく困りました。(登壇者の皆さん:笑)

三谷監督

なるべく“気”を消してほしかったんですね。そのシーンの中で一番重要な人ではない感じを出してほしいなと思って、そういうつもりでお願いしました。

戸塚さん

三谷さんが本番の前に笑わせてくる感じがあって、僕はすごく楽しかったです。

MC

別のシーンでは、突然セリフを「こういった口調で言ってくれ」というオーダーもあったそうですね。

三谷監督

(「犬神家の一族」の登場人物)スケキヨのね。

戸塚さん

「ここは『犬神家の一族』のスケキヨの声で、セリフを喋ってほしい」と直前に言われました(笑)。僕も合っているのか分からずにやりましたが、最終的にはそれがOKテイクになっていたので、「これで行くんだ」と思いました(笑)。 テストでは違ったんですよ。本番だけ「スケキヨでやって」と急に言われたんです。

三谷監督

それに対しての、他の皆さんのリアクションが見てみたかったんですよね。皆さん、キョトンとされていましたけれどね。(登壇者の皆さん:笑)

MC

いろいろな化学反応が生まれている作品ですね。遠藤さんも、リハーサルで戸惑ったことがあったとうかがっています。

遠藤さん

三谷監督から唯一「この五人の夫の中で一番スオミを愛してくれ」と言われました。みんなでスオミがどこにいるんだとパニックになるシーンがあります。一回目のリハーサルの時に、僕は全力でワーッと声を出してやって、そこで「ちょっと喉の調子が悪いな…」と思ったんです。声が弱いもので(笑)。二回目もワーワーと大きな声を出して「ちょっと声が枯れてきちゃったな」と思って。三回目をやったら、本当に声がガラガラになってしまったんです。それで、監督に得意げな顔で「声、枯れちゃいましたよ」と言ったら、「この役のイメージは高倉健さんだから」「健さんは声、枯らさないからね、それ違うから」と言われたんです。一から役作りをやり直しました。結構ショックでした。(登壇者の皆さん:笑)
気が付いたら、誰かから喉の薬をもらっていたんですが…あれ、彌十郎さんからだったんですよね? それすらも覚えていないくらい、パニックになってしまいました(笑)。でも翌日、高倉健さんでやったら、「もう忘れてくれ」と言われました。(登壇者の皆さん:笑)

三谷監督

(高倉健さんのように)やっていただいたんですが、あんまりうまくないなと思って…。(登壇者の皆さん:笑、遠藤さんはがっくりと肩を落とす)「これは違うな」という、そういう試行錯誤を繰り返しながら作っていったということです。

MC

彌十郎さんは、三谷監督らしい長回しの撮影がたくさんあったと伺っています。特に寒川は、舞台となる屋敷を様々なキャストと掛け合いをしながら、一回りするというシーンがあります。

彌十郎さん

そうですね。僕は主に舞台を中心にやっているので、今回も舞台と同じようにやったんです。僕はどこにカメラがあるのかということを全く考えていなくて、だから逆にできたんでしょうけれど、それで良かったのかなと思う部分もありました。本番になると、どんどん、どんどん(三谷監督から)「ここはああしましょう」というアイデアが出てくるんです。「六歳児と言ったけれど、今日は四歳児でいきましょう」と言われたりしました(笑)。それは僕としては、なんとなく腑に落ちる例えだったので、やっていてもめちゃくちゃ楽しかったですね。メンバーも監督もスタッフの皆さんも素晴らしく、本当に楽しかったです。

MC

そして三谷組の常連である瀬戸さん、宮澤さん。三谷監督からは絶大な信頼を寄せられていますが、今回の演出で印象的なものはありますか?

瀬戸さん

本番前には皆さん、三谷監督からコソコソ話をされていて、それを戸惑いながらもやる…という姿がとても印象的でしたね。

宮澤さん

自分に対して(三谷監督からの演出)は?

瀬戸さん

僕に対しては、どうでしたかね?

三谷監督

このお二人(瀬戸さんと宮澤さん)は舞台でもいっぱい一緒にやっているので、僕がやってほしいことを何も言わなくてもやってくれる方だと思っています。

宮澤さん

私たちに対する演出の付け方、雑じゃないですか(笑)? 

三谷監督

何一つ、言わなかったですよね(笑)。

瀬戸さん&宮澤さん

そんなこともなかったですよね(笑)。

宮澤さん

でもダンスシーンは、私たちは完全に丸投げされていましたね。

瀬戸さん

フリースタイルでしたから。

三谷監督

他の人たちにはちゃんと振り付けがあったんですが、この二人はもうフリースタイルでした。「自由に踊ってくれ」とね。

瀬戸さん

(宮澤さんと顔を見合わせながら)だから練習もね、どういう風に練習をしたら良いのか…。

宮澤さん

「ここからはファイヤーダンス」とか急に言われたりしましたね。ご覧になったら分かると思うんですが、曲にファイヤーダンスの要素は一切ないし、まず「ファイヤーダンスって何?」という感じでした。
瀬戸くんなんてもっとすごいことに…。

瀬戸さん

僕はもう、何をやったかを覚えていないですよ。そういうところから、自分の新たな一面が解放されていくんだなと思いました。(登壇者の皆さん:笑)

宮澤さん

新たな一面は出ていたと思います(笑)。

MC

西島さんと松坂さんにとって、ミュージカルシーンは初挑戦だったと思います。いかがでしたでしょうか。

西島さん

(松坂さんの方を見て)よくやっていましたよね。

松坂さん

(西島さんと顔を合わせて)よくやっていました! 我々、頑張りましたね。

三谷監督

一ヶ月、稽古をしましたもんね。

西島さん

一ヶ月、稽古をやりましたね。稽古の時に必ず、みんなが同じところで間違えるんですよ(笑)。「みんなでできたら帰るよ」と言っているのに、同じところで間違えて。全然帰れなかったですよね。でも部活みたいで、楽しかったです。

MC

初めて「ミュージカルシーンをやる」と聞いた時は、どのような感想を持たれましたか?

松坂さん

「いや、聞いていないな」と思って…(笑)。

西島さん

僕も聞いていなかったですね。台本を読んで、「嘘だろう…」という感じでしたね。(登壇者の皆さん:笑)

三谷監督

僕もやるつもりはなかったんですよ。(登壇者の皆さん:笑) 
このメンバーが集まって、皆さんの顔を見た時に「この人たちと一緒に踊ってみたいな」という感じがあったんです。そこで急遽、最後のミュージカルシーンを作りました。

MC

この作品の最後を象徴する、印象的なシーンでした。

三谷監督

最後のダンスシーンはすごくステキなんですが、「あそこしか印象に残っていない」と言われてすごく腹が立ったこともありました(笑)。でも、あまりにも多幸感に溢れたシーンになったので、成功かなとは思っています。一箇所、実は彌十郎さんがちょっと振りを間違えているテイクを使ったんです。

彌十郎さん

何であれを使うんですか(笑)。

三谷監督

かわいいんですよ。失敗もちょっとかわいかったので、そこを使わせてもらいました。

彌十郎さん

試写会で観て「何でここを使ったんだろう」と思いました。恥ずかしい…! (登壇者の皆さん:笑)

三谷監督

そこも見どころの一つです。

彌十郎さん

あそこ、見どころなんですか(笑)!

MC

あっという間に終了のお時間となってしまいました。最後に長澤さんと三谷監督から、本作を楽しみに待っている皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。

長澤さん

スオミという役を演じられたことは、私にとって、とても思い出深いものになりました。スオミというキャラクターに愛着があって、今日もちょっと意識して髪型を真似してきました。この髪型は草野さん(西島さん)と一緒にいる時のスオミの髪型なんです。
本作は、私の演じる一緒にいる人によって全然印象の違う、スオミという女性を取り巻く人たちの物語だと思います。どんな物語が作品の中に詰まっているのか、ぜひ劇場でご確認ください。本日はありがとうございました。(会場:拍手)

三谷監督

映画には本当にいろいろなジャンルがあって、いろいろな楽しみ方があると思います。例えば中国大陸を舞台にしたアクションシーン満載の映画もあれば、北海道の雪原を舞台にしたものすごい迫力のある映画もあるかもしれない。でもそういう映画ばかりじゃなくて、ものすごくちまちまとした、一部屋でみんながワイワイと騒いでいるような映画もあって良いと思うし、本作はそんな映画になったと思います。とにかくこの九人の俳優さんたちの、本当に素敵な演技が満載です。頭から終わりまで、それが詰まった作品です。ぜひとも、皆さんにご覧になっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。(会場:拍手)

【完成披露舞台挨拶】

長澤さん

本日は、もうすぐ台風が来るかもしれないという大変な時に、映画館まで足を運んでくださって、本当にありがとうございます。
ミステリーコメディということで、本作がどんな作品なのか、まだまだ分からないこともたくさんあるかもしれません。スオミという女性が行方不明になり、五人の夫がスオミを捜します。それ以上は作品について、なかなか言えないんです。楽しんでもらえる作品に仕上がっていますので、映画館で、ぜひ確認してもらいたいと思います。そして、たくさんの方に届くと良いなという思いでいっぱいです。

西島さん

本当に、そうそうたる共演者の皆さんと、毎日楽しく撮影をしました。今は、世の中において大変なことや、悪いニュースもありますが、本作は、とにかく楽しくて、ワクワク、ドキドキする作品です。ぜひ、楽しんでいただきたいと思います。

松坂さん

十勝左衛門(とかちざえもん)を演じました。未だに、“左衛門”という名前に馴染めないんですが(笑)…。今までに僕が演じたことのない、本当に新しい役を三谷さんからいただいて、とても楽しく撮影ができました。
この作品は、頭から最後まで存分に楽しめるものになっています。皆さんは、ご覧になって、その感想をこれから観る方に伝えていただけると幸いです。

瀬戸さん

本日は足を運んでいただき、ありがとうございます。三谷さんの舞台では、何度か出演しましたが、映像作品で演出してもらうのは初めてでした。役作りの面では、大変な部分もありましたが、思い返せば楽しいことしかありません。印象的だったのは、すごくクールだと思っていた西島さんが、笑いすぎて膝から崩れ落ちる瞬間が見られたことです。僕としては、すごく面白かったなと思っています。
今日は、このスクリーンで、皆さんに“面白い”がたくさん詰まった作品を届けることができて、本当にうれしいです。短い間ですが、楽しんで帰ってください。

遠藤さん

ようこそ、いらっしゃいました。憧れの三谷監督と、豪華なキャストとご一緒できて、本当に幸せな一年前でした。ご苦労様でした! (登壇者の皆さん&会場:笑) 幸せな日々、良い日々でした。(映画を)ぜひ楽しんでください。

小林さん

皆さん、本日はようこそお越しくださいました。今日のこの日を待ち望んでいました。お客さんの前に立てることを、こんなに待ち遠しいと思ったことはありません。五月に、関係者の試写会で本作を観ました。今までは、僕が出た作品では、笑えなかったんですが、心の底から笑いました。(登壇者の皆さん:笑)
このメンバーの中で一緒にやることができて、本当に光栄でした。今日、これから皆さんに目撃してもらえることがうれしいです。どうぞ楽しんでください。

彌十郎さん

私は、俳優の仕事を始めて、五十年以上になりますが、映画に出るのは初めてです。なので、この中では、私は新人です。皆さんに引っ張ってもらって、こんなに楽しい思いができたお仕事はありませんでした。私も、それだけ楽しませていただいたので、ぜひ、皆さんも今日は楽しんでご覧になってください。

戸塚さん

本日はお越しくださいまして、誠にありがとうございます。三谷さんの作品で、名だたる先輩に囲まれながら、この作品に参加できて非常に幸せです。本作は、ミステリー要素もあって、観た方々を想像できないような場所に連れていってくれる作品だと思います。最後まで楽しんでください。

宮澤さん

失踪するスオミのそばにいる、神出鬼没の女・薊役ということで、何も説明ができない役です(笑)。本作は、「ミステリーコメディ」という新しいジャンルの作品で、台本を読んだ時には「面白いけれど、一体これは映像としてはどうなるんだろう」と思いました。皆さんにお会いすると、化学反応が起きて、そこに三谷監督演出のスパイスが入ると、作品全体が生き生きとしてきます。本当に面白くて、楽しい作品です。現場では、これ以上ないくらい、みんなで笑いました。「これで本当に面白いのだろうか」と、ドキドキしながら完成した作品を観ましたが、本当に面白かったです。
私も、この座組に入れたことを、心から喜んでいます。早く、皆さんと感想をシェアすることを楽しみにしています。

三谷監督

ちょうど一年前の今頃、撮影をしていました。やっと今日を迎えることができました。ありがとうございます。こんなに素敵な、力のある俳優さんたちに集まっていただいて、作品を作ることができて、本当に幸せです。このメンバーで劇団を作って、地方を回りたいくらいです。もしくは、今後の僕の映画作品は、ずっとこの人たちでやりたいです。(登壇者の皆さん&会場:笑) それぐらい、僕は幸せな気分です。本作は、上映時間が1時間54分です。最後の壮大なミュージカルシーンまで、存分に楽しんでいただきたいと思います。

MC

本日は、初めてお客さんに本作をご覧いただきます。本作をご覧になった感想と、これからご覧になるお客さんに、注目してほしいシーンについて教えてください。

長澤さん

私が、本作を観た時の印象は、私のシーンよりも、私がいなかったシーンの方が印象に残っています。五人の夫たちが、わちゃわちゃとやっているシーンは、普通に観客として楽しんじゃいました。とにかく、本作は、スオミを取り巻く人たちの物語です。なので、その会話劇や、やり取りに注目してもらいたいです。今ここに立って、皆さんの挨拶を聞いているだけで、「本当に個性のある先輩方に囲まれていたんだな」と、思っています(笑)。でも、やっぱり十勝左衛門ってすごい名前だなと思う。(松坂さん&会場:笑) 十勝左衛門は、かなり癖がある人物として出てきます。私の中で、十勝左衛門が注目キャラなんです。そこで笑ってほしいという思いがあります。

松坂さん

ありがとうございます(笑)。

MC

松坂さんが演じる、怪しげなYouTuberにも、注目していただきたいですね。西島さんはいかがですか?

西島さん

スオミの夫たちは、「自分が一番スオミに好かれている」「自分が一番スオミを好きだ」と思っているライバルです。でも、不思議な多幸感に満ちた作品です。サスペンスなので、ドキドキはするんですが、作品を観ていると、常に幸せな気持ちになります。「何だか幸せになったなぁ」という感じで、観終わりました。

松坂さん

それぞれの夫役の方たちが、スオミと接しているシーンは、現場にいなかったので「どんな感じなのかな」と思っていました。なので、試写会で、本作を観た時に「うわ、こんなことをやっていたんだ。面白い!」と腹を抱えながら観ていました。その中でも、遠藤さんと長澤さんのシーンは、ぜひ注目して観てほしいです。僕個人として、すごく好きです。

長澤さん

(ネタバレを気にしながら)あそこ…ですよね。

松坂さん

(ネタバレを気にしながら)あそこもそうだし、あれも(笑)。

長澤さん

ああ、あれね(笑)。

MC

瀬戸さんは、いかがでしょうか?

瀬戸さん

演じているので、内容を知っているんですが、本作を観た時は、すごく笑いました。だから、内容を全く知らない人たちが、本作をご覧になった時に、どういう反応になるのか、ものすごく気になります。個人的には、ワイヤーアクションが印象的です。(登壇者の皆さん:笑) 人生初ということもあって、「アクションができるんだ」という喜びがありました(笑)。

西島さん

世界でも、やったことないよね。あの飛び方はないと思う(笑)。

三谷監督

かなり浮いていましたもんね。

長澤さん

速度もすごかったよね。

三谷監督

風圧がね(笑)。

瀬戸さん

すごかったですね。興奮しました(笑)。

MC

遠藤さんはいかがでしょうか?

遠藤さん

みんなで、ダンスの稽古から入って、とにかく一致団結しました。ダンスが得意な人、苦手な人がいて、僕とか西島くんとか…桃李くんも苦手でしょう?

松坂さん

苦手ですよ。(会場:笑)

遠藤さん

だから、助け合いながらやりました。「失敗した!ごめん、ごめん!」とか言いながらね。そういったところからチームワークができて、本番に入った思い出のシーンです。それが最後に出てくるので、ぜひ踊るシーンも楽しみにしてください。

MC

そのシーンで、夫たちのコーラスのパートは、早いもの順で決めたとうかがいました。三つあったそうですが、どのように決めたんですか?

遠藤さん

僕は、歌いやすいところに「はい!」(手を挙げながら)って、すぐに言いました。(登壇者の皆さん:笑) でも、最後は全員同じパートに揃っちゃったんだよね。

三谷監督

結局、コーラスのパートを分けた意味がなかったんですよね。

瀬戸さん

みんな、主メロを歌っていたんですよね。

彌十郎さん

そう、コーラスのパートは、上と真ん中と下とに分かれていたんですが、歌ってみたら、みんな真ん中を歌っていました。(登壇者の皆さん:笑)

MC

長澤さんと遠藤さんは、本作を通じて意気投合したというお話をうかがいました。

遠藤さん

すみませんね、一方的に…。(長澤さんと顔を見合わせながら)すごく話しやすかったんです。でも、初めは「絡みづらっ」って、言われてしまいました。(登壇者の皆さん:笑) でも、そういう正直なところがすごく面白くて、どんどん話しかけちゃったんですが、話してほしくない時もあったらしくてね。

長澤さん

そんなことはないですよ(笑)。

遠藤さん

本当? ありがとうね。

長澤さん

ありがとうございます(笑)。(お辞儀をしながら)これからもよろしくお願いします。

遠藤さん

(一緒にお辞儀をしながら)お願いします(笑)。

MC

長澤さんは今、遠藤さんのことをどのように呼んでいるのですか?

長澤さん

「呼んで良いよ」と言われているので、「憲一」と、呼び捨てで呼んでいます(笑)。(登壇者の皆さん&会場:笑)

遠藤さん

すみません、僕から頼みました。(登壇者の皆さん&会場:笑)

MC

小林さんは、本作をご覧になった印象はいかがでしたか?

小林さん

僕は、三谷幸喜監督・脚本の作品には、二作品(「ステキな金縛り」2011年公開/「記憶にございません!」2019年公開)出ているんですが、その時は、まだいっぱいいっぱいな感じがありました。今回も、すごく掴みにくい役で大変でした。でも、この難しさは「監督からの愛情である」と思いました。それを糧にして、「何とか面白くしてやろう」と、燃える心に監督が火をつけてくださいました。それで、思い切りやることができたという感じです。だからこそ、僕が出ていても客観的に観ることができたのかもしれないですね。充実していました。

三谷監督

(ツッコミを入れながら)それは、自分のシーンが一番面白かったっていうこと?

小林さん

そういうことじゃない(笑)! 
(三谷監督と顔を見合わせながら)でも、「自分、頑張っているじゃん」とは思ったかもしれない。(登壇者の皆さん&会場:笑) 今までは、僕が出演している作品を観た時には、シュンとなることが多かったんですが、「あれ、今回は良いぞ!」と思えたかな。だから、見どころとしては、スオミと(小林さんが演じる)宇賀神の結婚生活がどんなものだったかというところですね。とてつもないんですから! これ以上は言えませんが、観てのお楽しみということで、スオミと宇賀神の結婚生活をちょっと想像してみてください。

MC

三谷監督と小林さんは(三谷監督が主宰する劇団)「東京サンシャインボーイズ」からの仲ということで、あうんの呼吸があったというところでしょうか?

三谷監督

やっぱり年を追うごとに、だんだん話が長くなっているなと感じますね。(登壇者の皆さん&会場:笑)

小林さん

失礼いたしました(笑)。

MC

彌十郎さんは、いかがでしょうか?

彌十郎さん

先ほども申しましたが、映画作品の経験が少ないので、試写会で作品を観ることもほぼ初めてでした。観客目線になったり、昨年の撮影のことを思い出したりしながら、笑いっぱなしで観ました。
楽しみにしていただきたいのは、この五人の夫が、みんなで一つのものをぐちゃぐちゃに取り合ったり、揉み合ったりするところですね。めちゃくちゃ面白いんです! 撮っている時も面白くて、撮り終わった時には、みんなで大爆笑しました。実際に映像になってみても、「こんなに面白いんだ」と思いました。楽しみにご覧になってください。

戸塚さん

僕は、すごく個人的な話ですが、三谷幸喜さんの一ファンなので、ファンとして観ていました。そしたら、「僕、三谷さんの映画に出ているよ」と、三谷さんの作品に僕が出ていることに興奮していました。そんな風に興奮しながら観ていましたが、最後まで笑いながら観ていたので、皆さんにも早く観ていただきたいと思っています。あと、僕がは、彌十郎さんが演じる、ちょっとわがままな寒川さんのお手伝いをしている役どころなんです。劇中では、寒川さんからたくさんお叱りを受けています。「乙骨!」と、名前をたくさん呼ばれていますが、そのバリエーションの数々を皆さんにも楽しんでいただきたいと思います。

彌十郎さん

えっ、今やるの? (寒川になり切って)「乙骨!」 (登壇者の皆さん&会場:笑)
あ、違うか。作品の中でね。早とちりでした。

戸塚さん

作品の中でたくさんの「乙骨!」が聞けると思いますので楽しみにしてください。

彌十郎さん

大きい声、出しちゃった(笑)。

三谷監督

今やらなくて良いんですよ。これから上映されるんですから。(登壇者の皆さん:笑)

戸塚さん

彌十郎さんの素敵な声を、これから楽しみにしていただきたいです。

MC

宮澤さんは、いかがでしたか?

宮澤さん

試写会の時に、「三谷監督の隣で観る」という恐ろしい経験をしました。「これで作品が面白くなかったら、私はどんな顔をして三谷さんの隣にいたら良いんだろう」と思っていました。先ほどまさみちゃんが言っていた通り、私が出ていないシーンや、見たことがないシーンが本当に面白かった。皆さんのパーソナリティーも相まって、それぞれにツボがあるんです。一応サスペンスではあるんですが、本当にくだらないところもあるんです。アクションシーンになりそうなのに、ずっとくだらないことをみんなで言い争っているシーンもあって、そこもすごく笑いました。
個人的に注目して観てもらいたいのは、最後のミュージカルシーンです。それぞれ一生懸命にダンスの練習をして、特に夫役の皆さんはずっと一緒に練習をしていましたね。私は、基本的に瀬戸くんと練習することが多かったです。私たちには、若干ソロパートみたいなものがあったんですが、現場に行ってみたら「後はフリースタイルで」と言われました。だから、二人で編み出さなきゃいけなくなったんです。

瀬戸さん

そうですね(苦笑)。

宮澤さん

そして、よく分からない「ファイヤーダンス」という注文を受けたんです。本作を観ていただいたら分かるんですが、全然ファイヤーダンスの要素がある楽曲ではないのに、ファイヤーダンスを踊りました(笑)。

瀬戸さん

僕も、よく分からない動きをとりあえずしてみました。(登壇者の皆さん:笑)

宮澤さん

そうなんですよ。私たちのそういった、努力の結晶の塊みたいなところも見どころですね。

瀬戸さん

そうですね。それも分かった上で観ていただきたい。

宮澤さん

そう、そこを分かった上で観ていただきたいなと思います。

MC

さあ、三谷監督、いよいよお披露目の時間がやってまいりました。

三谷監督

本作は、オリジナル作品なんですよね。原作もないし、アニメの実写版でもないし、テレビドラマのスピンオフでもない、本当にオリジナルなんです。だから、ここにいる皆さんが世界で最初に、この物語に接する方々になります。そういったオリジナル作品が、たくさんの人を呼ぶことができると、日本映画がもっともっと力を持ってくるんじゃないかと思います。皆さんが日本映画のこれから引っ張っていく最初の人だと思って、ぜひ楽しんでください。

MC

そろそろ上映のお時間となりました。最後に長澤さん、そして三谷監督からご挨拶をお願いいたします。

長澤さん

三谷さんがおっしゃったように、(三谷さんに向かって)本作は、特に舞台っぽく作られているところもありますよね。舞台をやる時は、「観る人も一緒に作品作りをしている。その空間を作っている人」という話を聞くことがあります。本作は、まさにそういう感じなのかなと思います。「みんなで育てて、作品を作っていく」その一員になってくれたら、うれしいです。何よりも、この楽しい物語を気兼ねなく、大笑いして観ていただけたらと思っています。
よく「スミオ」と間違えられるんですが、「ス・オ・ミ」です。本作のタイトルは、「スオミの話をしよう」です。皆さんで本作を育ててくれたらなと思います。どうぞ楽しんでください。今日はありがとうございました。(会場:拍手)

三谷監督

僕は、こういう場でいつも言うんですが、常にコメディを作っているので、「コメディというのは、映画ができても完成とは言えない」と思っています。お客さんの笑い声がそこに重なって、初めて完成するものです。だから、今日「スオミの話をしよう」は完成することになります。
笑いにもいろいろな種類があって、ゲラゲラ笑うところもあるとは思いますが、そんなに大爆笑する作品ではありません。でも、笑いに満ち溢れている作品なので、「ゲラゲラ」や「クスクス」や「コロコロ」…「コロコロ」はないか。(登壇者の皆さん&会場:笑) これから皆さんにはいろいろな笑いを体感していただきたいなと思います。観終わったら、そこで初めて、本作が完成すると思っていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。(会場:拍手)