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「沈黙の艦隊 北極海大海戦」完成報告会&完成披露舞台挨拶

2025.08.25
  • 完成披露

完成報告会&完成披露舞台挨拶

1988年から1996年まで週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)にて連載された人気コミックを実写映画化した「沈黙の艦隊」の映画化第2弾。大沢たかおさん主演兼プロデュースによるアクション・ポリティカル・エンターテインメント作品は9月26日公開です。
8月25日、同作の完成報告会をリッツ・カールトン東京 ボールルームにて、完成披露舞台挨拶をTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催しました。大沢たかおさん、上戸彩さん、中村蒼さん、松岡広大さん、前原滉さん、渡邊圭祐さん、風吹ジュンさん、夏川結衣さん、江口洋介さん、吉野耕平監督 、原作者のかわぐちかいじさん(完成報告会のみ)が登壇されました。完成したばかりの同作の披露ということで熱のこもったイベントとなりました。こちらのイベントの様子を詳しくレポートします。

海江田四郎役

大沢たかおさん

海江田四郎役

市谷裕美役

上戸彩さん

市谷裕美役

山中栄治役

中村蒼さん

山中栄治役

入江覚士役

松岡広大さん

入江覚士役

溝口拓男役

前原滉さん

溝口拓男役

森山健介役

渡邊圭祐さん

森山健介役

海渡真知子役

風吹ジュンさん

海渡真知子役

曽根崎仁美役

夏川結衣さん

曽根崎仁美役

海原渉役

江口洋介さん

海原渉役

吉野耕平監督

原作

かわぐちかいじ先生

原作

【完成報告会】

大沢さん

本日は大変暑い中、ご来場いただきありがとうございます。

上戸さん

皆さん、本日はありがとうございます。

中村さん

今日はお集まりいただきありがとうございます。

松岡さん

本日はご来場いただき誠にありがとうございます。

前原さん

本日はよろしくお願いします。

渡邊さん

短い時間ですが、よろしくお願いします。

風吹さん

よろしくお願いします。

夏川さん

今日はよろしくお願いします。

江口さん

今日は暑い中お集まりいただきありがとうございます。本作は海の中の話で、こちらの会場も涼しく感じますが、穏やかな感じで、良い時間を過ごしたいと思います。

吉野監督

監督を務めました。本日はよろしくお願いします。

かわぐち先生

今日はよろしくお願いします。

MC

まずは主演とプロデューサーを務められた大沢さん。前作の映画「沈黙の艦隊」(2023年公開)。そしてドラマシリーズ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」(2024年より配信開始/全8話のAmazon Originalドラマシリーズ)の反響についてお話しいただけますか。

大沢さん

おかげさまで、映画の劇場公開と、全8話の連続ドラマの配信は、とてもたくさんの方に観ていただいて、反響もすごく大きかったです。しかも、世界でも配信されていたようで、海外に行った時に「KAIEDA!」と声をかけられることもありました。改めてこの作品の力に驚かされている部分もあります。
比較的男っぽい話なので、女性の方に喜んでもらえなかったらと思うこともありましたが、特にドラマのほうは、たくさんの女性の方にも観ていただけました。いろいろな社会問題に、男女ともに関心が高いんだということを改めて感じました。

MC

海外の方から声をかけられたのはどのような場所ででしょうか?

大沢さん

具体的な店名は控えますが、電気屋さんみたいなところです。

上戸さん

日本(企業)のお店ですか?

大沢さん

海外のお店です。

江口さん

「OH! KAIEDA!」って言われたの?

大沢さん

店員の女性に、呼ばれたんです。最初は「何を言っているのだろう?」と思いましたが、「『THE SILENT SERVICE(ザ・サイレントサービス/英題)』が面白かった」と言われて。そこで世界でも配信されていたんだということを実感しました。

MC

今は、世界情勢が様々ありますから、それによりこの作品に寄せる関心も高まっているのかなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

大沢さん

本当におっしゃる通りだと思います。この企画の始まりは、五年ほど前だったので、まだロシアやウクライナの問題が起きていませんでした。こうした題材を取り上げることが、本当に時代に合っているのかなというスタートでした。決して良いことではないんですが、現実社会で戦争が起きてしまって、さらに日本国内においてもすごく不穏な、不安な空気が席巻して。今はそういう中での制作になっていて、当時とはまた違った意識と感覚になっています。

MC

吉野監督は、続編を撮るにあたって、プレッシャーなどはありましたか?

吉野監督

前作の反響が大きかったので、その先を作った時に、それを超えられるのかということですかね。それから、シーズン1から先の物語は、原作の中でも僕が好きな箇所だったので、「それをやって良いのか?」と言う葛藤がありました。ただ、人に任せるよりは自分でやりたいという欲望といいますか、夢の方が大きかったです。なので、頑張ってチャレンジさせていただきました。

MC

原作の中でも見どころが多いところですよね。

吉野監督

やはり海江田の戦術と、バトルものとしての面白さ、それに政治も動くところなので、周りにファンが多いです。原作の話をする時には、かかせないくらいに本当に好きな箇所です。

MC

かわぐち先生には、本作をご覧になった感想をうかがいたいと思います。

かわぐち先生

描いている時は、北極海での戦闘なので、荒涼とした海の世界ですよね。だから、寒いはずなんですが、描いていても戦闘自体がすごく熱くて、寒いと思うことはありませんでした。同時に「やまと選挙」(<やまと>を支持する首相を中心とした衆議院解散総選挙)が日本で行われ、これも冬なんですが熱かったんです。映画でも何か熱いものが伝わってきて、これは完璧、いえ、完璧以上になっていました。

MC

映画を鑑賞した際に熱い感想をお話になったとうかがっております。

かわぐち先生

描いている時に、「こんなことを描いて良いのか?」「実際に起こり得るのか?」とハラハラしながら描いたシーンが一カ所あるんです。それが映画でどう描かれるんだろうと思っていましたが、見事なシーンになっていました。ものすごくカッコ良いシーンになっていたので、喝采しました。……それがどのシーンのことかは予想して楽しんでください。

MC

吉野監督、太鼓判をいただきましたね。

吉野監督

どのシーンのことなのか、後でうかがって、心にしまって帰ろうと思います。

MC

大沢さん、プロデューサーとして、続編に臨むプレッシャーはいかがでしたか。その完成作をご覧になった感想をうかがえますか。

大沢さん

プレッシャーはいつもあります。続編は、ゼロからのスタートより難しいんです。ある種のサプライズ的なものは、最初にやり尽くしてしまっているので、マイナスからスタートするような感じでした。でも、この北極海大海戦のプロットは、僕が一番好きなブロックなので、「ここは絶対に落としたくない」と思っていました。地上では「やまと選挙」という総選挙が行われ、「ここは映像化を成功させたい」と強い思いを抱いていました。ですから、僕だけでなく全員がパート1の「沈黙の艦隊」の時とは別の顔をして現場に来ていた感じがして、すごく頼もしかったです。
作品を観た感想としては、自分で言うのもアレですが、自分たちができる限界をやれたのではないかと思います。実は、本作の取材を一週間前まで受けていたんですが、実際に本編を観せることができないくらいCGにこだわって、ようやく完成しました。だから、まだ出来立てほやほやなんです。だから、本作を観た時に、心からこの作品を作ることができて良かったと思いましたし、これなら自信を持って皆さんに観ていただけると思えました。

MC

前作からご出演されている上戸さん、夏川さん、江口さんにうかがいます。映画「沈黙の艦隊」、ドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」の反響と、ご自身が本作をご覧になった感想をお願いします。

上戸さん

映画はもちろんなんですが、ドラマを見て夢中になってくれる友だちが私の周りには大勢いて、「次が気になる!」「次はあるのか」と言われました。
前作で私はテレビ局に勤めるキャスターの役でしたが、今回の「沈黙の艦隊 北極海大海戦」では、キャスターを辞めて、自分の足と目で真実を追うフリージャーナリストとして、海江田と<やまと>を追求していきます。彼女のバックグラウンドとして、娘や家族が登場することで、人間の弱さ、怯えるシーンもあり、人間らしさを表現できたことが良かったと思っています。
原作は、かわぐち先生が描いてくださった三十年前の作品ですが、現代と重なっている部分もあって他人ごとではないと感じました。情報がたくさん溢れている今の世の中で「どこに観点を置いて、何を軸として、何を信じていくのか」ということを考えさせられました。まさに、今観るべき作品だと思います。観る人が感情を重ねやすい市谷役を演じられたことに、改めて感謝でいっぱいです。

江口さん

反響と言うよりは、自分の身近にいる人で、昔原作を読んでいた方から、「観ましたよ!」と、ものすごい熱量で言われました。「次はあるんですか?」って聞かれました。原作を読んでいる方が、「原作を超えるか超えられないか」という見方になることは、これまでにも経験しています。前作の「沈黙の艦隊」の時に、「これは超えられる!」と思いましたし、本作の「沈黙の艦隊 北極海大海戦」ではパワーアップしていると感じていただけると思います。

MC

ご自身がグッときたシーンはありますか?

江口さん

いや、もうグッときっぱなしです。大沢くんが演じた海江田という圧倒的な人間が、潜水艦の中で微動だにせず…。(大沢さんに向かって)大変だよね?

大沢さん

(笑)。

江口さん

大沢くんはずっと動かないストイックな芝居をされていて。先ほど上戸さんがおっしゃった「人間の弱さ」という部分では、津田健次郎くんがやっている突拍子もないことをする政治家に、一人の老人が「頑張って」と話しかけ、その老人が帰る時に、エレベーターのところに車椅子に乗っている奥様がいるというワンカットがあることによって、「このお父さんは戦争を体験した」もしくは「戦前か戦後に生きてきた何かがある」と思わされました。息子がいて、孫もいるけれど、「頼むぞ」と言うシーン。あれは、グッときました。
大沢くんたちの戦いのスケール、僕ら政治家の戦いのスケール、本当にエンタメとして心地よく観せてくれます。試写で本作を観て、すごく良い作品だなと思いました。

夏川さん

<やまと>とアメリカの潜水艦の攻防のシーンは、本当に素晴らしいです。内容を知っているはずなのに、試写で息を止めて観ていることが何度もありました。アメリカの潜水艦の艦長のエピソードに感情移入したりして、意外なところでグッときてしまいました。ですから、女性の方も十分に楽しめる作品です。人の触れ合いを描くエピソードにグッときて、人間ドラマとして印象に残りました。

MC

今回からご出演されています渡邊さんと風吹さんにもうかがいます。オファーがあった時のお気持ちと、演じる上でどういったことを意識されたのでしょうか?

渡邊さん

「よっしゃ!<やまと>に乗れる!」ってワクワクしていたんですが、気がついたらヘリコプターに乗っていました。「人生何があるか分からないなぁ」っていう気持ちです。
僕らジャーナリスト組は、視聴者の目線に近いと思います。リアルなものを体験しているんじゃないかと思いました。<やまと>の外側、政治の外側にいて、海江田に突き動かされるんですが、その何かパッションのようなものを感じられるような、若者の持っている内面のパワーみたいなものが出せれば良いなと思って演じました。

MC

カメラマンとしてジャーナリストと行動を共にしますが、上戸さんとの共演はいかがでしたか?

渡邊さん

<やまと>と並ぶぐらいうれしかったです! すごく気さくな方で、ずっと会話のラリーをしてくれました。笑いの絶えないハッピーな現場でした。現場では皆さんにお会いしていないので、今日ご挨拶をさせていただきました。
僕らだけアナザーストーリーを撮っているようで、それもすごく楽しかったです。

上戸さん

役ではそこまで話すことはなくて、心と心で分かりあうビジネスパートナーという間柄でした。撮影中の待ち時間では、年齢差があるので、昭和の懐かしいものを「これ知っている?」「あれ知っている?」と聞いて、大爆笑していました。

渡邊さん

お子さんの写真も見せていただきました。すごく綺麗で可愛らしいんです。

上戸さん

話が逸れちゃって…。

上戸さん&渡邉さん

すみません。

風吹さん

私はオファーに驚きました。どちらかというと、ファンの立場でしたから、かぶりつきで配信を観ていました。なので、本作に声がかかった時は、「誰のお母さん役?」「誰のおばあちゃん役?」って気持ちでいました。でも、アクション・ポリティカル・エンターテインメントのポリティカル部分だったので、「私が政治家役?」となりました。「ちょっと、私で大丈夫かしら?」と思いながら、衣装合わせに向かったことを鮮明に覚えています。監督にはずいぶん支えていただきました。
街頭演説をするシーンがあるんですが、その撮影の時にエキストラの方がたくさん集まっていただいたので、作品がどれだけ人気があるのかを感じました。現場ではたまたま本物の街宣車がやってきたこともありまして…。この作品の運命は、政治や平和について描いているんですが、リアルに上手に乗っている部分があると思います。本作は私の推し作品ですが、すごく運の強い作品だなと心から思いました。

MC

与党の幹事長を演じるためにどのようなことをされましたか?

風吹さん

与党の女性幹事長はまだ現実にはいらっしゃらないので、女性の議員の方を参考にしました。「一歩も後に引かないこと」「どんな言葉も必ず正義であること」を自分に戒めて、セリフを言いました。

MC

<やまと>乗組員の中村さん、松岡さん、前川さんは、前作にご出演されての反響、そして海江田の印象をうかがいたいです。

中村さん

多くの方が観てくれて、アクション映画としても楽しんでくれました。小さいお子さんが真似をしてくれることもありました。潜水艦の仕組みが、男の子の心をくすぐるみたいで、そこを楽しく受け取ってくれたみたいです。年齢問わず楽しんでくれたんだなと感じました。
海江田さんに、また会えてうれしかったです。海江田さんは圧倒的な信念とカリスマ性を持っているので、やっぱりお芝居でだけではなく、その人自身が持つ人間力が必要とされる役だと思います。そんな海江田を演じられるのは、大沢さんだけだろうなと思って、大沢さんの背中を見ながらお芝居をさせてもらいました。
真面目な話が続く中でアレなんですが、大沢さんは体重管理をされていて。現場に置いてあった二枚一組のサンドイッチを大沢さんから「半分こにして食べようよ」と声をかけていただきました。艦長と半分こして食べたサンドイッチは、いままで食べたサンドイッチの中で一番おいしかったです。

大沢さん

ずっと食べていなかった時で、本当においしそうなサンドイッチだったんです。我慢ができなくて手に取ったんですが、「これを全部食べたらダメだな」と思っていたら、目の前に中村くんが座っていたので声をかけました。食べたくなかったかもしれないけれど、食べさせちゃいました(笑)。

松岡さん

ドラマ版を一気見してくださった方から「政治の部分と戦闘シーンとがシームレスになっているので、飽きることなく観ることができた」と、うれしい感想をいただきました。
僕の中では、副長が母で艦長が父だと思っています。大沢さんが演じる海江田は、父の威厳が高まっていて、現場でいろいろと支えていただきました。俳優としてもそうですが、プロデューサーとしても現場を良くしようとする気持ちを、我々も感じていました。並々ならぬ努力と研鑽があって、ご苦労もあるはずなのに、それを感じさせず、我々には柔らかく接してくださいました。本当に海のような広い心を持った方だという印象です。

MC

大沢さんから声をかけられた事はありましたか?

松岡さん

撮影の初日に「お久しぶりです」とご挨拶をしたところ、「今回は入江にかかっているからね」と柔らかい口調でお言葉をいただきました。それでちょっと緊張して心臓が痛くなりました(笑)。でも、シャキッとして良い緊張感を持ちながら大事なシーンが撮れました。

前原さん

自分で言うことではないんですが、溝口役をやっていると「カッコ良い!」と言ってもらえることが多いんです。僕は、変な役を演じることが多かったので、「カッコ良い役はありがたいな」という気持ちがありました。シーズン1に出演したことで、カッコ良さのある役も来るようになったので、作品への感謝があります(笑)。なので僕にとっては、全てにおいてすごく反響のある作品だなと思っています。
今回は、海江田さんから溝口に直接指示をいただくことがありました。でも、僕らは基本的にソナーの画面を見ているので、あまり目を合わせてお芝居をすることがありません。直接指示をされる場面では、背中から大沢さんの重みを感じました。でも、できれば目を合わせたいなと思いながら、ずっと<やまと>に乗っています。

MC

<やまと>メンバーのお話しを聞いていかがでしょうか。

大沢さん

今回は本当に<やまと>クルーの一人一人にスポットが当たっています。前作の時とは少しやり方を変えて、本人たちに喋りかけるように位置を変えましたが、前原さんだけは、どうしても後ろになるんですよね。何とか見ようとするんですが、目が合わない。彼はずっと役を変えずに通してくれているので、自分としては本当に信頼ができるソナーマンであり、信頼できる俳優です。安心してセリフを投げられるチームで、本当に<やまと>のメンバーたちは最高で素晴らしいです。特に前作よりも全員がより人間っぽくなってパワーアップしていると思います。

前原さん

ちょっとうれし過ぎて言葉が出ません。「うれしいです。はい!」っていう感じです。ありがたいです。

MC

大沢さんは今回の海江田をどのように受け止めていますか? また監督から現場で言われた事はありますか?

大沢さん

先ほど話したように、続編はすごく難しいんです。前作を観た方には海江田のイメージが出来上がっているから、それを破壊していかなければなりません。この「沈黙の艦隊」を、別のステージに上げるには、新しい要素を入れていかないといけないので、前作以上にすごく悩みました。最初の台本を作りたての頃に、別のプロデューサーから「吉野監督があまり乗っていない」という話を聞きました。やはり続編は難しいですし、特にこの北極海の部分と選挙の部分の映像化は難しいので、自分も悩んでいたぐらいです。「だったら一度会いませんか?」とプロデューサー二人と監督と僕の四人で会いました。その時に、自分が続編でやりたい海江田像をお話ししました。抽象的な言い方でしたが、吉野監督には「それは面白いですね」と言っていただけて、何とか現場に来ていただくことが出来ました。それぐらい本作の部分はすごく大事なブロックでした。監督は絶対に失敗できないし、僕も悩んでいました。そういう意味では海江田像だけではなく、「沈黙の艦隊 北極海大海戦」の出来映えに繋がるので、緊迫感が伝わって、自分もスイッチが入りました。「これは、前作以上に海江田に魂を込めないと成立しないな」と思いました。

吉野監督

前作の「沈黙の艦隊」を超えることが、自分も難しいですし、皆さんもそれをどう超えていくのかについて非常に悩みました。海江田はやっぱりほぼ変化をしないけれど、海江田の中の新たな一面は、観客のみなさんも見たいところのはずです。それをどうやってそれを伝えていくのかを悩みました。それで「逃げたいな」と思ったことが一度ありました。

大沢さん

監督から言われた事は、ここでは触れませんが、観てくれた方にはきっと感じていただけると思います。自分も精一杯海江田を演じたつもりです。それを監督が一番理解してくれていました。共に戦って出来上がった作品だから、むしろ観て「何かあった」と感じてもらえたらすごくうれしいです。

MC

前作でも海江田は<やまと>艦内であまり動きませんでしたが、今回は?

大沢さん

前作では五歩くらい歩きましたが、今回は一週間で一歩も歩いていません! 歩くと「歩かないでください」と止められました。でも、今回は甲板に上がります。オーロラの中に海江田が出てくるところを、皆さんに観てほしいです。僕は、北極圏で実際にオーロラを見たことがあるのですが、別のプロデューサーが「その写真がほしい」と言うので渡しました。それを元にCGチームがオーロラを作りました。そんなオーロラの中に立たせていただく貴重な経験をさせて貰いました。真冬のマイナス40度の設定ですが、実際の撮影はほぼ40度に近い真夏なので、ものすごく苦しい撮影でした。そういうことも含めて一つ一つを丁寧にやった記憶があります。その時はもう監督はスイッチが入っていたので、この作品はきっと前作以上のパワーを持つと確信しました。

MC

かわぐち先生、原作の連載から三十年、本作のキャスティングについての感想をお願いできますでしょうか? また撮影見学をされたとうかがっておりますが、いかがでしたか?

かわぐち先生

僕は、「やまと選挙」のシーンを見学しました。民事党の選挙事務所で、新しいキャラクターが登場します。政治を志す大滝淳の顔は、随分描き直した覚えがあります。「ちょっとイメージが違うな」と自分で直したので、すごく思い入れの強いキャラクターになりました。その大滝淳を津田健次郎さんが演じてくださるというので、ちょっと期待をしていました。大滝淳は、自分の信条をいろいろなアイディアにして、きちんと提示する新しい政治家です。それを津田さんが見事に演じてくれたのを見て、一つのセリフを思い出しました。大滝淳の先輩政治家が、大滝に「キミは大事なことを言う時に目が笑うね」と言うんです。その言葉で大滝淳の持っているパワーやイマジネーションを表現したことを思い出しました。見学を終えて帰る時に、津田さんに「大事なことを言う時に目が笑うので、大滝淳そのものでしたよ」と伝えたところ、非常に喜んでくださいました。良かったなと思いました。

MC

最後に、代表して大沢さんからメッセージをいただきます。

大沢さん

ここにいるキャストや監督、原作のかわぐち先生が伝えている通り、これ以上できないというところまで追い込んで、スタッフキャストが全員一丸となって本作を作り上げました。この「沈黙の艦隊、北極海大海戦」を、ぜひ劇場で観ていただきたいと心から思っています。
劇場公開は9月26日です。マスコミの皆さんも記事を書いて終わりではなく、ぜひ劇場に観に行って僕らの言っていることが本当なのか嘘なのかを実際に体験してください。もし「違うんじゃないか?」と思うのであれば、それは東宝宣伝部のほうに言っていただければと思います(笑)。ぜひ皆さん観ていただければうれしく思います。本日はありがとうございました。

【完成披露舞台挨拶】

大沢さん

本日はご来場いただき誠にありがとうございます。前作の映画「沈黙の艦隊」、その後にドラマシリーズ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」が配信され、おかげさまで大変ご好評をいただきました。そして、続編となる本作は実は、ギリギリで完成しまして、我々も、この間初めて観ることができました。自分たちとしては、もうこれ以上手の尽くしようがないほど、ベストを尽くした作品になっています。なので、今日観ていただく皆さんが初めてのお客さんです。これまで一部の関係者しか観られなかったので、皆さんにこうして観ていただけることをドキドキワクワクしながら来ました。改めてご来場いただいたことをありがたく思います。そして、二時間強の作品ですが、楽しんでいただければと思います。

上戸さん

観客の皆さんに観ていただくのは今日が初めてです。大沢さんもおっしゃっていましたが、前作をきっと超えたであろう、本作「沈黙の艦隊 北極海大海戦」を皆さんのもとに届けることが出来る楽しみと、皆さんがどう受け取るんだろうというソワソワした感情があります。
市谷裕美としては、前回キャスターを辞めて、今回は自分の目と足で、真実を追い求めていくフリージャーナリストとして出演しています。また新しい市谷を皆さんに届けられてすごくうれしいです。

中村さん

また、<やまと>に乗って山中栄治を演じられたことをすごく光栄に思います。今回の<やまと>は、今まで以上に激しい戦いにさらされています。なので、前作では観られなかったクルーの表情がたくさん映し出されています。それを観てもらえたら、うれしく思います。

松岡さん

前作に引き続き同じ役をやらせていただき、<やまと>の一員として今回も乗艦しました。前作を超える作品になっておりますので、ご覧なる前に少し作品の魅力にも触れられたらと思います。

前原さん

皆さんが日本で最初に本作を観るお客さんです。こうして同じ時間を過ごせることをとても光栄に思います。皆さんの反応が楽しみです。

渡邊さん

ようやく僕が得た感動が共有できる方々がこんなに増えることをうれしく思います。ぜひSNS上で語り合えたらうれしいです。リプライしに行きますのでよろしくお願いします。

風吹さん

政治パートを受けさせていただきました。皆さんが幹事長についてどのようなイメージをお持ちかは分かりませんが、私なりの正義で総理と戦ったり、皆さんから睨まれたりと嫌われ役でした。いつものお母さん役やおばあちゃん役を捨てて、本作では演じさせていただきました。

夏川さん

私は、前作では防衛大臣という一生に一度あるかないかの役をいただきまして、今回は防衛大臣を外れました。でも、私たち政治パートも、潜水艦チームには負けない緊張感を持って撮影に挑んでおります。潜水艦チームの攻防シーンはすごい迫力なので、どうしても私たちは霞んでしまいそうですが、一生懸命頑張っておりますので、ぜひそこも楽しんで観ていただけたらと思います。

江口さん

本当に暑い毎日が続いていますが、皆さんは期待を持って今日この場に来られていると思います。僕も本作を観ましたが、すごい迫力でした。「沈黙の艦隊」が大好きだという方は、この「沈黙の艦隊 北極海大海戦」を楽しみにしていると思います。きっと、その期待を超えるようなエンターテイメントになっています。そして、スケール感に驚かれると思いますが、ゆっくりご覧になってください。

吉野監督

撮影からCGまでスタッフと一丸となって頑張って、何とかギリギリ完成して、公開できることになったのでホッとしています。本日はぜひ楽しんでいただければと思います。

MC

本日は、本作にご協力いただきました防衛省・海上自衛隊の皆さんにもお越しいただいております。防衛大臣、そして海上自衛隊の皆さんです。(会場:拍手) 大沢さん、防衛省と海上自衛隊のご協力があって、本作は完成しました。いかがでしょうか?

大沢さん

映画「沈黙の艦隊」の時から、大臣、防衛省海上自衛隊の皆さんの協力のおかげで、ここまで来ることができました。その皆さんの協力に恥じないように、我々はとにかくベストの上のベストを目指して、続編を作ってまいりました。今日は、ぜひ楽しんで観ていただければと思います。改めまして、ありがとうございました。

MC

この後いよいよ映画をご覧いただく皆さんを前にしております。ぜひキャストの皆さんと監督には、ご自身が思う本作の見どころや、こういったところを楽しんでほしいといったポイントをうかがってまいります。

大沢さん

これからご覧になられる方に、自分が見どころを言うのも変な話なので、具体的には、伝えないほうが良いのかなと思いますが…。
今から三十年前に「沈黙の艦隊」という、今日いらっしゃっているかわぐち先生が描かれた原作をベースに映像化をさせていただいています。その中でも、今回やる「やまと選挙」と北極海の海戦は、ある種一つの作品のピークというか、自分が一番好きだったエピソードですが、一番実写化することが難しい箇所だと思っています。なので、監督をはじめとした全スタッフ、全キャストとは戦いでした。最初から最後まで作品の熱量がすごく強いので、観終わった後に一緒に戦っていたかのうように、ちょっとぐったりしてしまうかもしれないです。でも、皆さんも一緒に、海江田や政治ブロックの竹上首相らと共に、二時間の作品の中に一緒に戦いに行くような気持ちで観ていただけたらうれしく思います。

MC

潜水艦チームの皆さんはいかがでしょうか。

中村さん

僕は、完成した作品を観てから、心を掴まれて引き込まれていきました。人間ドラマと戦闘シーンは前作よりも、かなりスケールアップしています。それでいて北極海の海戦ですので、自然そのものも敵となってくるので、潜水艦だけが敵ではないところも見どころだと思います。そうすることによって、より緊張感のあるシーンになったと思います。ぜひ観てもらいたいと思います。

松岡さん

前作と比べて、<やまと>のメンバーの動きが増えました。前作は、どちらかというとあまり表情を出さない寡黙で静かで冷徹なイメージがあると思いますが、今回は血の通った人間たちが乗艦しているのがちゃんと伝わると思います。その前作とのコントラストは見どころだと思います。

前原さん

みなさんと同じで、新しいことをあまり言えないような気もしますが…(笑)、<やまと>メンバーのパーソナリティーな部分が、本作では出てきます。というのも、自分たちの場面の中でいうと、スタッフさんがすごく考えて小道具を置いてくれました。なので、一度目はストーリーを追っていただいて、二度目にはそういった細かなところを観て楽しめる作品になっています。二度三度と味わえる素敵な作品だと思います。

MC

そして、報道パートの上戸さんと渡邊さんはいかがでしょうか。

上戸さん

撮影の裏話もしたいところですが、これから皆さんは本作をご覧になるので、そこは置いておこうと思います。
本作は、CGやVFXが使われていますが、どこが本当の撮影で、どこがCGの技術を使った撮影なのか、観ても全然分からないので、臨場感がすごいです。海江田さんも前作より血が通っているというか、心のひだが大きくなっています。ちょっとした動揺や、呼吸が聞こえてくるような海江田さんが、また魅力的です。それから、家族の背景が出てくるキャストの方がいるので、泣けました。今回は「息をするのを忘れていた!」とか、生唾を飲むような気分にもなりますが、ちゃんと感動してうるうるするシーンもあります。ぜひ皆さん、感情をあらわにして観ていただきたいと思います。

MC

吉野監督、上戸さんが話されたようにCGやVFXにかなりの時間をかけられたのではないでしょうか。

吉野監督

完成したばかりなので、この巨大スクリーンを観たら何かミスが見つかるんじゃないかと、そっちの観点で見てしまいそうです(笑)。なので、この大きなスクリーンがちょっと怖いです。とはいえ、劇場という暗い空間の中で、ものすごい良い音とともに出来た作品を皆さんにお届けできることは、作り手としてはすごくうれしいことです。

MC

すると音にもこだわったのでしょうか。

吉野監督

音響チームが劇場の音を考え抜いて作っていますので、臨場感を持って伝わってくるはずです。これから体感してもらえると思うと少しワクワクします。

渡邊さん

もうVFXと音については触れらない(笑)という気持ちでいっぱいです。
でも、本当に最初から最後まで、ずっと静と動の興奮を味わえる映画になっていると感じました。同時に、こんなに登場人物全員の、信念がカッコ良いと思える映画は、なかなかないと思います。本作では「嫌な奴」がいたり、「こいつだけは!」と思うことがありませんでした。全員の信念がぶつかり合っているからこそ、それが相乗効果になって作品の…(会場に向かって)分かるでしょう? それを感じていただければというのが素直な思いです。

MC

政治パート、江口さんは?

江口さん

皆さんは本作を見る前なので、いろいろ話してしまってもね…。潜水艦で北極海を躍動するところは、すごい迫力があります。僕たちの政治パートは陸で戦っています。国民と気持ちを一つにしていくみたいなところがあります。それがエンターテイメントとしてすごく気持ちいいです。人間模様もあって、皆さんがテレビを見て思う、今の世の中に対する思いみたいなこともしっかりと品良く描かれているエンターテインメント作品です。どれだけハードルを上げても皆さんは納得して帰られると思います。今日は楽しんでいってくださいね。

夏川さん

<やまと>とアメリカの潜水艦の攻防シーンは本当に大迫力でした。台本を読んでいるからこの先がどうなるか分かっているのですが、観た時にはそれが吹っ飛んでしまうぐらい観入ってしまいました。気がつくと、息を止めて観ていました。「日本映画にこんな作品があったのだろうか」と感じられる作品に仕上がっています。吉野監督は、皆さんに観てもらえることを喜んでいらっしゃると思います。私たちもここに一緒に立たって、うれしい気持ちでおります。ですので本当に楽しんで観ていただければと思います。どうぞお楽しみください。

風吹さん

原作が人気なので、そのファンを裏切れないです。その中で、幹事長が女性なのはエンターテインメントだと思います。「どう演じるのか」が私の課題でした。お母さん、お婆ちゃん、妻といった役ではなくて、これまで私が演じたことのない役だったので楽しかったです。演じる上で、女性の政治家さんは引き下がらない姿が印象的だったので、それが大事だと思いました。あとは、ビジュアルも女性であることを意識して、監督のアドバイスを受けながら衣装から立ち居振る舞いまで演じたつもりです。皆さんにどう評価していただけるのかちょっと楽しみです。
現場で、監督から「こういうCGになる」との説明はありましたが、作品を観ると、その説明を遥かに超えていて、驚きつつも楽しみました。自分の課題は置いといて、本当に楽しめる作品でした。皆さんも良い思い出になるように今日は楽しんでいってください。

MC

吉野監督は、どういったところに注目して楽しんでいただきたいですか?

吉野監督

音の話をしようとしていたのに、先ほど話してしまいました。
「沈黙の艦隊」の原作にもあるように、潜水艦のバトルと政治のバトルが同時並行に進んでいきます。そこはすごい魅力だと思っています。今回は選挙から入ってきて、我々一般の国民も何を選ぶのかを突きつけられる場面があります。そこも楽しんでいただけるところかなと思っております。

MC

最後に代表して大沢さんからメッセージをいただきます。

大沢さん

先ほど自分の思いは全てお伝えさせていただきました。後は観ていただくしかないと思っています。
この作品は四年から五年前に準備が始まりました。その頃は戦争の事とか核兵器の事とか、そういうことに触れるのは映画としてエンターテイメントとしてどうなんだろうかという思いも、心の中にありながら、一つメッセージとして、そういう世の中にならないことも含めてこの企画をみんなでスタートさせました。でも、気がつけば、残念ながらロシアやウクライナの戦争が始まってしまいました。さらには、世界中が不穏な空気に包まれております。我々も「沈黙の艦隊」を撮りながら、現実が作品に近づいているようで…。作品を撮っている時はうれしいのですが、それが現実で起こってしまうのはとても悲しいことです。でも、僕らの思いは「映画として楽しんでいただけることが一番」です。でも、先日行われた選挙のことや、日米安保の話など、時代が変わってきた中での上映になります。なので、僕としては、観客として楽しむと同時に、日常とも対比して観てみたいと思っています。今日は楽しい時間を過ごしていただければ何よりうれしく思います。本日は上映を楽しんでください。ありがとうございました。