「ラストマイル」初日舞台挨拶

2024.08.23
  • 初日舞台挨拶

「ラストマイル」初日舞台挨拶

塚原あゆ子監督×脚本・野木亜紀子×主題歌・米津玄師という最強チームによる、人気ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と世界線を同じくするオリジナル映画「ラストマイル」が8月23日に公開を迎えました。
公開初日の8月23日にTOHOシネマズ 日比谷にて、舞台挨拶が行われました。満島ひかりさん、岡田将生さん、大倉孝二さん、塚原あゆ子監督が登壇し、初日を迎えた今の想いや撮影時のエピソードなどを語りました。さらに、阿部サダヲさん、ディーン・フジオカさんからのコメント映像の“配達”もあり、会場は大いに盛り上がりました! こちらのイベントの模様をレポートいたします。

舟渡エレナ役

満島ひかりさん

舟渡エレナ役

梨本孔役

岡田将生さん

梨本孔役

毛利忠治役

大倉孝二さん

毛利忠治役

塚原あゆ子監督

満島さん

今日はこんなにたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございます。初日の初回上映からほとんどの映画館が満席という話を聞いて、すごくうれしく思っています。

岡田さん

初日に来ていただき、本当にありがとうございます。今、この場に立って会場の皆さんの顔を見ていると、満足していただけたような雰囲気が伝わってきて、少しほっとしています。

大倉さん

今日は、石原(さとみ)さんや綾野(剛)くんがいなくて、何だか、僕ですみません。どうもありがとうございます。

塚原監督

本作はどうでしたか?(会場:大きな拍手)
「アンナチュラル」「MIU404」のファンの方が、ずっと楽しみにしてくれていたことが、いろいろ重なって、こんなに素敵な作品ができ上がりました。心より感謝申し上げます。

MC

ようやく公開初日を迎えて、今の皆さんのお気持ち、さらに反響などが届いていれば、教えていただければと思います。

満島さん

(会場に向かって)おもしろかったですか?(会場:大きな拍手)
私は、やっぱり野木さんの脚本と塚原監督演出の作品に出演できたことがうれしかったです。(MCの杉山アナウンサーも)出演していましたよね?

MC

そうなんですよ。

満島さん

アナウンサーの方の裏側や、これまで培ったものが見られて、すごく素敵でした。

MC

ありがとうございます。

満島さん

初めて完成した本作を観た時はもちろん面白かったんですが、やっぱり脚本を読んだ時には、野木さんの脚本はとても複雑だと感じました。それぞれの職業の方にフォーカスを当てて、みんなを主役として描いているので、私の役の感情だけで読むと、本当に混乱するような脚本・構造になっています。でき上がった作品を観て、初めて「こういう作品だったんだ!」と思ったことがたくさんありました。
(自分の)中学校からの同級生で、親友の三人が、20日のプレミア試写会に来ていたんです。私は、朝からオレンジカーペットを歩いたり、舞台挨拶をしていたので、帰りが22時過ぎだったんですが、親友が「どうしても感想を話したい」と言うので、私の家でお茶をしながらあれこれと聞かれました。監督が「ポップコーンとビールに合う作品です」と言っていたから、親友も劇場でポップコーンを買ったらすごく余ったようでそれを食べながら(笑)。

大倉さん

本当にビールに合う作品なんですか? 

塚原監督

初めは、野木さんに「そういう作品にしたい」って、言ったんです。でも、結局は全然ポップコーンには合わなくなりましたね(笑)。

MC

ちなみに、ご友人の感想はどんなものがありましたか?

満島さん

初めに「ひかり、グッジョブ!!」って言われました(笑)。うれしかったです。

MC

岡田さん、今回はすでに皆さん本作を観た状態での舞台挨拶ですが、心境はいかがですか?

岡田さん

僕は、この舞台挨拶をすごく楽しみにしていたんです。上映後だから「今まで隠していたネタバレが全部言えるぞ。何も気にせずに会話ができるぞ。」と思っていたんですが、スタッフさんから「まだダメ」と言われました(笑)。観られた方のコメントを見ると、これから観る方のためにネタバレ防止をしてくれているみたいで、どうしても何か言いたくなってしまうのを、これから観る方のために必死に隠そうとしている想いが、僕自身もそうだったので、繋がった感じがしてすごくうれしかったです。

MC

そして、岡田さんには感想が届いていますか?

岡田さん

友だちが少ないのか、まだ一人も…。

大倉さん

僕も同じ、同じ。(会場:笑)

岡田さん

同じですか! 大倉さんも友だちが少ないんですね(笑)。

MC

大倉さんは実際に本作を観た方々を前にして、心境はいかがでしょうか?

大倉さん

六年前のテレビドラマ「アンナチュラル」(TBS系列にて2018年放送)から始まったものが、こうして大きいスクリーンにかかるのは、なかなか感慨深いものがありますね。

MC

そして、全て(「アンナチュラル」「MIU404」「ラストマイル」)にご出演されているということですよね。

大倉さん

まあまあまあまあ。

岡田さん

何かちょっと嫌な感じですね(笑)。

大倉さん

まあまあ。僕は、全部出ているからね。

満島さん

皆さん、たくさん感想を書いてくれているみたいですね。通常の映画とは、ちょっと違う感じの盛り上がり方だなと思っています。テレビドラマは、みんな同時に一話を観て、一斉にSNSとかに感想を書くじゃないですか。本作は映画なのに、皆さんはドラマの時と同じような感じで感想を出しているので、ちょっと面白いなと思いました。

MC

満島さんも読んでみたりしましたか?

満島さん

読みました。でも、それこそさっき監督と話していたんですが、皆さんネタバレをしないように感想を書かれていましたね(笑)。

大倉さん

皆さんエチケットがちゃんとされていますね。

満島さん

毛利さん(大倉孝二さん)が、刈谷さん(酒向芳さん)に言ったセリフが面白かったとか書いてありました。

大倉さん

どれだよ(笑)。

満島さん

皆さん、配慮してくださっているから、分かんないですよ(笑)。

MC

塚原監督も実際にご覧になった方々の表情や反応を感じてどうですか?

塚原監督

公開できて本当に良かったなと思いました。しばらく前に撮影をしていて、「公開できなかったらどうしよう」と思っていたので、公開できて本当にうれしいです。

MC

塚原監督の元にも何か感想は届いていますか?

塚原監督

私も友だちは少ない方なんです。(会場:笑)だから、スタッフから「おめでとう。公開したんだね。」みたいな連絡がありました。無事公開できて良かったです。

MC

実はですね、本日この舞台挨拶の場にお越しいただけなかったある方から、映像でのコメント、そして登壇者の皆さんへの質問が届いております。では、こちらの映像をご覧ください。

■スクリーンに阿部さんの映像が流れる

【阿部さんのコメント】

初日おめでとうございます。本日はそちらに行けず申し訳ございません。本作を観た後のお客さんの前でしゃべっているわけですよね。今、髪の毛を染めてしまっているんですが、別に良くない方向にいっているわけじゃないです。役で髪を染めています。
皆さんの感想がすごく気になるところです。僕は観終わった後、すごく「(拍手をしながら)あーっ」って感じでした。皆さんは、すごく納得いった内容でしたか? 僕は、撮影中はほとんど満島さんとしか会ってないので、「あんな人たちが出ていたんだ」とか思いました。「MIU404」の人たちや、「アンナチュラル」の人たちとも、もっと撮影で会いたかったですね。
懐かしいな…。僕が撮影に入ったのは1月4日の正月明けで、ちょっと油断していましたね。でも、八木竜平という役は、自分には合っていたと思います。「仕事するんだぞ」という緊張感が急にすごく出ました。
満島さんとは、今回で二回目の共演です。最後のシーンで満島さんに「やめませんか」みたいな説得をされるところがあるんですが、やっぱりそのシーンがすごく印象に残っていますね。満島さんと、二人っきりでしゃべっているんですが、でき上がった作品を観た時に「良いな」と思いました。最初は、電話でのシーンが多くて、僕のことを「八木さん、八木さん」って呼んでいました。でも、実際に会った時に、「思ったより仕事ができそう」「思ったより若そう」みたいなやりとりがあったんです。満島さんは、そのシーンのことを考えてくださっている感じで、良かったですね。
それでは、大倉孝二さん以外に質問です。「今一番ポチッとして買いたい物は何ですか」そして大倉くんには、「ポチっとして失敗した商品は何ですか」どうぞ!

MC

満島さん、阿部さんからのメッセージはいかがでしたか。

満島さん

何だかセリフのことを話しているだけでしたね(笑)。

岡田さん

だいぶ適当にお話しされていたように感じました(笑)。

MC

せっかく阿部さんから質問が届いていますので、答えていただいてもいいですか? また、阿部さんと共演してみての印象をうかがえればと思います。

満島さん

私は、本作での共演シーンが唯一あります。この作品は、いろんな立場の人たちが描かれていて、物流と言えど、大手ショッピングサイトのトップの方、私の演じた物流センターのセンター長、チーフマネージャー、そして、宅配の方、商品をお家で待っている方がいます。こういう中で、例えば、「自分の立場から見ると、突き進みたいんだけれど、他の人に許してもらえない」「なかなか他の人の気持ちを考えると進めない」などそれぞれの立場で孤独を感じるような場面がたくさんありました。本作の撮影中、孤独をずっと感じていたんですが、阿部さんと一緒のシーンでは、「あ、この人同じ立場だ」という感じがしました。本作の中では、ずっと電話で喧嘩のような攻撃的なやり取りを一番していた相手こそが、立場としては分かり合える仲間だった。だから、阿部さんとのシーンは、ただ横に立っているだけですごくグッときちゃいました。私としては阿部さんをすごくリスペクトしていて、信頼をしている俳優さんなので、その存在感にとってもグッときました。本作の中で一番大きな決断を阿部さんに向かってするんですが、すごく体の底からできた感じがありました。

MC

岡田さんは阿部さんの印象はいかがでしたか。

岡田さん

僕は、阿部さんと一緒のシーンはなかったんです。阿部さんとは何度も共演していて、大好きな先輩です。先日オレンジカーペットを歩かせてもらった時に、皆さんと一斉に歩き出したタイミングで「阿部さんすごいですね、このカーペット。」と言ったら、「マー君止まって。満島さんが歩くよ、一人で。」と止められました。いたずら好きな阿部さんがあの場でものすごく出ていましたね(笑)。でも、そういうところも好きな自分がいます。共演シーンはなかったですけれど、またこうやって同じ作品に出られて本当に良かったなと思っています。

MC

映像で観る限り、オレンジカーペットでは満島さんもどんどん歩いていきましたね。

満島さん

私がしゃしゃり出ているみたいになってね(笑)。阿部さん、そういうところあるんです。

MC

大倉さんは阿部さんの印象はいかがですか。

大倉さん

いや~、特に何もないや。(会場:笑)

MC

では、阿部さんからの質問でございます。大倉さん以外の方で、今一番ポチっとして買いたいものは何ですか。

塚原監督

これからたぶんいろんな方がご覧になってくれるじゃないですか。その感想が聞ける券が欲しいです。あんまり聞けなくないですか?あれ、夢見がちだった? 

大倉さん

それ「ラストマイル」公式SNSに、塚原監督宛てに載せていただいたらいいかもしれないですね。

塚原監督

夢が叶うかもしれないですね。ぜひ。

MC

良いですね。感想や本音を聞いてみたいですよね。
では、続いてありますか。

岡田さん

無欲です…。

大倉さん

じゃあ、僕が先に言っとく?

MC

では、大倉さんはポチッと買って失敗したものを教えていただけますか。

大倉さん

これ結構皆さんあるんじゃないかと思います。僕は、ある映画のポスターが欲しくて、でも店頭で見た時にものすごく高かったんですよ。それをネットで探したら、「あれ。安いの見つけちゃったよ。」と思って、買ったんです。届いた物は、B5ぐらいのフライヤーでした。(会場:笑)
(満島さん、岡田さんに向かって)どうでしょう。まとまりましたか?

満島さん

私は、前にポチっとして甥っ子たちに送ったらすごく喜んでくれた、浅草あたりのフルーツ屋さんが作っている、瓶に入った大きいフルーツポンチです。すごくかわいい包装紙に包まれていて、開けるといっぱいフルーツが入っているんです。それを開けた映像を、妹が送ってきてくれて、お祭りみたいにすごく騒いでいたので、あれをもう一度やりたいなと思います。

MC

カラフルなフルーツポンチ、良いですね。では岡田さんお願いします。

岡田さん

本当に現実的なことでも良いんですか。

MC

もちろん。今一番欲しいものという阿部さんの興味ですからね。

岡田さん

すごくつまらないですけど、ボールペンです。(会場:笑)

大倉さん

つまんねぇじゃねぇか。

岡田さん

昨日ちょうど黒のインクが切れちゃったんです。

大倉さん

買え買え。

岡田さん

でも今日は、朝から出ていたんで、買いに行く時間がなかったんです。

満島さん

いつも使っているボールペンがあるんですか? 

岡田さん

はい、ちょっとだけ良いやつなんです。それが切れちゃったんですよ。

MC

ここでなんとですね、もうお一方からコメントが届いておりますので、映像をご覧いただきましょう。

■スクリーンにディーン・フジオカさんの映像が流れる

【ディーン・フジオカさんからのコメント】

「ラストマイル」公開初日おめでとうございます。
ついに「ラストマイル」という爆弾がこの世に放たれました!逃げろ!
皆さん今劇場で本作をご覧になったばかりということですが、どうですか?爆発していますか?
僕は、満島ひかりちゃんと本作で初共演だったんですが、ゆるキャラのようで、そうではない、芯が強くて、とてもチャーミングな笑顔で、たくさん一緒にお芝居をしたわけではないんですが、すごく物語の核心に触れるようなやり取りが出来て、楽しかったですね。現場で一緒にストレッチもしたりしました。めちゃくちゃ柔らかくてびっくりしました。僕もひかりちゃんみたいに柔軟な体になりたいなと思い、あれ以来毎日ストレッチをしています。
皆さんに聞きたいことはあまりにもたくさんありすぎてなかなか一つに選びにくいんですが、やっぱり自分が聞きたいのは、四人が一番推しているゆるキャラです。かわいい、モフモフしているやつ、一人ずつ世界中に共有してください。

MC

ディーン・フジオカさんでございました。ありがとうございました。

満島さん

何もおっしゃってなかったような気がします(笑)。

MC

塚原監督もずっと頷いていますが、そんな方でしたか?

塚原監督

そうですね。入ってきただけでちょっと空気が変わりますね。

MC

岡田さんも頷いてらっしゃいますね。

岡田さん

僕は、同じシーンが一回もないんですが、先日イベントでお会いした時に、そのような空気はすごく感じました(笑)。

MC

それではディーンさんからの一番聞きたい質問に答えていただきます。一番推しているゆるキャラは何ですか?

満島さん

私は子供の頃に徳島県に行った時に買った、“すだちくん”っていうキャラクターです。“すだちくん”のぬいぐるみとずっと一緒に寝ていました。

大倉さん

そんな昔からゆるキャラってあるんですか。

満島さん

あったんでしょうね。(買ったのは)六歳の頃だったと思うんですが、緑色のすだちの顔をして、マントをつけているんです。

MC

今もぬいぐるみがあったりしますか。

満島さん

いや、今はもうないんです。でも、先日、米津玄師さんと対談をした時に、米津さんが徳島県の出身で、“すだちくん”の話で盛り上がりました。

MC

何が共通の話題になるか分かりませんね。

満島さん

一番盛り上がったかもしれません(笑)。

MC

他の方はいかがでしょうか。

大倉さん

超えられないでしょう(笑)。何にもないぞ。

岡田さん

僕は、最近疲れて携帯見た時に、“ちぃたん”っていうキャラクターが「ちぃたーーーん!」って言いながら、一生懸命何かやっている動画を見るんですよ。

大倉さん

もっと教えて、ちゃんと。“ちぃたん”やって見せて(笑)。

岡田さん

何で僕が“ちぃたん”をやるんですか(笑)。“ちぃたん”はカワウソの妖精らしくて、すごくダイナミックな動きをするんです。大体いつも転がって終わるんですが、転がった時に「ちぃたーーーん!」って言っているのを、「今日も“ちぃたん”頑張っているな、僕も頑張んなきゃ」と思って、毎日撮影しています。可愛い顔してすごくハードなことをするので、どんどん応援したくなるようなキャラクターです。

MC

“ちぃたん”を見て癒されているというよりは、頑張ろう、という気持ちになるんですね。

岡田さん

そうですね。“ちぃたん”のように…って何なのかよく分からないですね(笑)。でも、憧れですね、推しです。

MC

大倉さんはいかがですか。

大倉さん

続けます(笑)?

MC

もうギブアップもありだと思いますが…。

大倉さん

(悩みながら)じゃあ、“せんとくん”(会場:笑)ちょっと良くないですか? 何か良い、良いです。好きですね。

MC

さて、もう少しだけ時間がありますので、もう一問うかがいたいと思います。塚原監督、脚本の野木さん、そして新井プロデューサー、この三人が作るチームの作品の魅力について、俳優陣のお三方にうかがいたいと思います。
満島さんは、今回この三人のチームの作品は初めてということだったんですね。

満島さん

すごく魅力的です。先日、野木さんとお話した時に、「いつもどうやって三人で打ち合わせをしているんですか」って聞いたら、塚原監督と野木さんがアイデアを出したりお話して、新井さんが一人で小芝居してるっていうのを聞きました。一人で演じてみせるらしいんですよ。

塚原監督

それを見て、「ダメだ、つまんない」って話しています。

満島さん

大体つまんないって言われているそうです(笑)。それこそ新井さんがゆるキャラなんですかね(笑)。でも、新井さんがいることで三人のバランスが保たれているっていう話を聞いて、面白いなと思いました。現場でも、皆さんのイメージがどういう感じなのかは分からないんですが、火を燃やすような野木さんの脚本に対して、塚原監督が本当に爽やかに演出をしていて、とっても現場が軽いんですよね。ずっと風が吹いているような感じです。撮影中にみんなが悩んじゃって気持ちが重くなるとか、ズドーンという雰囲気になることがあまりなかったです。「私こんな感じで大丈夫かしら」と思うぐらい、何かふわふわとするような現場でした。
これは野木さんから聞いて「なるほど」って思ったんですが、塚原監督が、「役者本人が役柄とか場面を把握しすぎる前に刈り取る」っていうのをよく話しているそうなんです。たしかに役者さんたちが自分の役とか物語を自覚しすぎると、制作側に気持ちが回っちゃうので、その前の役を生きている瞬間を撮るという話を聞きました。やっぱり人の面白い面を知っていて、人のことを信じているんだなと感じましたね。その話がすごく面白かったです。

MC

岡田さんはこのチームの魅力はどんなところだと思いますか。

岡田さん

今、満島さんがおっしゃっていたことも本当に分かります。やっぱり三人が作られている作品は、「アンナチュラル」も「MIU404」も共通して、今社会で起きている問題を観ている側に定義してくれる作品だと思っていました。今になって、いざ冷静に三人を見ると、会話をする時に、基本的に新井さんも、野木さんも、塚原監督も、相手から目を離さないんですよね。ずっと目を見てお話をしてくださるので、何だか圧倒されちゃうんです。三人が揃った時の熱量で、こっちも自然と熱を帯びてくる感じがするんです。でも、「あ、梨本さんはそんなに熱を帯びちゃダメな役だ」と思って、ちょっと自分を律しながら、三人と対峙していました。だから、毎回お会いする度に、心地良さもあるんですが、どこか緊張感も漂うという感じですかね。

MC

塚原監督、お二人のお話を聞いてみていかがですか。

塚原監督

褒めてくれてありがとう。そんなにちゃんと自覚して三人ともやっていないんで、面白いものが届いていたらいいなと思います。

満島さん

「アンナチュラル」の皆さんも、「MIU404」の皆さんも、みんな裏で塚原監督と、野木さんと、新井さんの話を本当に楽しそうに、大好きな人の話をするみたいにするんです。それが本当に衝撃でした。みんながこんなに大好きってすごいなと思いました。みんなで、幼稚園で大好きだった先生の話をしているような感じでした。すごく面白かったですね。

塚原監督

大倉さんはどうですか?

大倉さん

大丈夫です。そんなに話すことはないです。(会場:笑)

塚原監督

三作も出てくださっていますから、熱い感じでお願いします。

大倉さん

大変お世話になっておりまして、頭が上がりません。でも、僕は皆さんよりは回数多く過ごしていて、時間も多くありますが、いつ会っても(三人とも)カラッとされているんですよ。そこは全然馴れ合いがないですし、やっぱりいつも緊張感をすごく強いられますね(笑)。

塚原監督

強いています(笑)。

大倉さん

そして、やっぱりこのお三方が作るものには、いつもすごく強度があるなと思いますね。

MC

それでは本作を代表しまして、満島さんから最後にメッセージを頂戴できればと思います。

満島さん

この作品を代表するのがすごい緊張感でした。脚本を読んでいても分かっていたんですが、実際に試写会で観て、六年間愛されてきたテレビドラマと、四年間愛されてきたテレビドラマ、そして、塚原あゆ子監督と、脚本の野木亜紀子さん、そして新井順子プロデューサーというチームが作った作品を、代表して取材を受けたり、舞台挨拶をしなくてはいけないということが、何かもうずっと気が張っていて。過去最高に取材も受けました。もう…やっと今日で終わる、という感じです。
でも、いろんなインタビュアーの方に感想を聞かせてもらって、この作品のそれぞれの解釈を聞きながら話せるのは、面白かったです。演じていると不思議なもので、自分の人生を生きているようになるので、何をやっているか分からなくなる時って結構あるんです。その物語の中を生かされているような気持ちになる時がいっぱいあります。でも、完成してからこんなにいろんな人の客観的な意見を…。ちょっと待って、(岡田さん)お腹なった(笑)?(会場:笑)

MC

またですか?

岡田さん

僕、これは久々に親に怒られるかもしれないです。(会場:笑)でも僕、(舞台挨拶前に)おにぎりを食べてきたんですよ。人前に出る時は、ご飯を食べて出るって決めたんです。それなのに、もう何で…。いやだよ~もう~。この間も反省したのに、(今回も)すごく良いところで…。本当にごめんなさい。

満島さん

いや、良いの、良いの。こういうのも含めて(笑)。あの、何だっけ。(会場:笑)
いろんな方とお話をして、この作品のことを客観的に聞いているうちに、私たちも初めて理解していくことがたくさんあって。すごいんですよ、一年半前に撮影した脚本の、演出してもらった脚本の、この「ラストマイル」を未だに自分も解釈し続けているんです。それくらい長く自分の生活に寄り添ったテーマが描かれていて、全然解決できないんですよ。世の中にはたくさんの職業の方がいて、たくさんの立場の人がいて、誰かに優しくしようとすると誰かにきつい思いをさせていたり、いろんなことがあって、そういうことが描かれてるので、野木さんにいろんなものを渡された感じがしています。「これからもずっと考えさせられていくんだろうな」と思います。でも、グッと重いテーマを渡されながらも、カラッと面白い気持ちになれるところが、この三人トリオの良いところだと思います。それが、今日、今、私が真剣にしゃべっていて、岡田さんがお腹が鳴っている舞台挨拶にも現われていて、バランスが良いなと思っています(笑)。いや、ほんとに癒しですよね。岡田さんは「ラストマイル」のゆるキャラです。本当に観れば観るほど良い作品なので、また視点を変えて二回目を観ていただきたいなとも思っていますが、一度でも、楽しんでもらえたらいいなと思います。本作ができるだけ多くの人に届くことを願っております。今日はありがとうございました。