「ラーゲリより愛を込めて」御礼舞台挨拶2023

2023.02.20
  • 公開後舞台挨拶

御礼舞台挨拶2023

第二次世界大戦終了後にシベリアの強制収容所(ラーゲリ)で不当に抑留されながらも、生きることへの希望を捨てず、ダモイ(帰国)を信じて仲間を励まし続けた実在の人物・山本幡男。彼の壮絶な半生を二宮和也さんが演じて映画化した映画「ラーゲリより愛を込めて」は、あらゆる世代が劇場に足を運び、公開から二カ月が経った今でもその熱が広がり続けています。本作の大大ヒットロングランを受け、2月20日にTOHOシネマズ 日比谷で「ラーゲリより愛と感謝を込めて 御礼舞台挨拶2023」が開催され、主演の二宮さんと瀬々敬久監督が登壇しました。二宮さんたっての希望で行われた緊急舞台挨拶で、二人が様々な質問にも回答したこの日のイベントの様子を詳しくレポートします!

二宮和也さん

山本幡男役

瀬々敬久監督

二宮さん

ロングランということで、長い間この作品が皆さんのもとに届いていると思うと本当に嬉しいですし、我々も作った甲斐があります。本日はまたもう一回(映画を)観たくなるようなお話ができればと思っています。

瀬々監督

こうして長い間上映されることは、自分にとっても本当に珍しいことです。本作は、自分たちの手から離れても、今日ここに来ている方々も含めて、皆さんに育ててもらった気がする作品です。今日は楽しんで帰って行ってください。

MC

現在の興行収入をお知らせします。

二宮さん&瀬々監督

いきなり!? (会場:笑)

MC

いきなり数字を発表して良いですか? 昨日(2月19日)までの73日間で観客動員184万人。興行収入24.3億円を突破する大ヒットとなっております。(会場:拍手) おめでとうございます。たくさんの方に観ていただけているということは、本当に嬉しいですね。

二宮さん

本当にそうですね。こうやって数字を聞くと改めて、すごいことになっているんだと気付かされます。

MC

公開から二カ月半経っていますが、常に興行収入ランキングに名を連ねております。本日は舞台挨拶を開催することになりましたが、今回の開催が叶ったお気持ちをお聞かせください。

二宮さん

驚いています。「このタイミングの舞台挨拶って何をするんだろう?」「公開から二カ月だぞ」みたいな。(会場:笑) 僕は(こういうことが)初めてだったので、驚きました。

MC

初日や大ヒット舞台挨拶をやった上で、さらに感謝を伝える御礼舞台挨拶が開催できました。

二宮さん

そうなんですよね。一応、僕らの中では先日の時点で大ヒットはしているはずなんです(笑)。「大ヒット舞台挨拶」をやっているわけだから。そこからさらに時間が経っていますから、「これは何ヒットなんだ?」ということになってしまいます。本当にびっくりしています。(会場:笑)

MC

チャンスがあれば、もう一度舞台挨拶をやりたいなという思いはありましたか?

二宮さん

それはもちろんあります! 作品のことを話せる場所があればあるほど良いので…。ただ、こういうことはなかなかないことですし、たぶん皆さんも驚いているんじゃないかと思います。(会場:拍手)

MC

これまでたくさんの舞台挨拶にご登壇いただきました。東京国際映画祭や高校生試写会、Mrs. GREEN APPLEの大森(元貴)さんによる生歌唱もあり、二宮さんが吉永小百合さんのラジオに出演されたり、「金スマ(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)」(TBS系列にて放送中/司会:中居正広)で中居(正広)さんの代打MCをされたこともありました。

二宮さん

そんなにこれまでの経緯を追ってくれるんですね。ありがとうございます。

MC

一番印象に残っていることは、どんなことでしょうか?

二宮さん

本作に出ている人たちが、違う作品やバラエティー番組などに出ているのを観た時に、「本当に時が過ぎたんだ」「みんなもう次のところに歩き始めているんだ」と感じる時が、この作品にまた戻るタイミングになるというか…。他の作品を観ながら、「ああ、こんなにすごい人たちが出ていたんだ」と改めて思うことがあります。

MC

皆さんが他の作品に向かっている様子を見て、感じることがあるんですね。

二宮さん

ここにずっと止まっていることはないものなんだなと思います。瀬々さんも含め、いろいろな作品に向かっていたり、(次の作品の)準備をしていたりと、みんなが次に向かって歩き出しているのを見ると「ああ、すごい人たちだったんだな」と改めて思うような瞬間があります。

瀬々監督

僕も本作の公開の頃には他の作品の撮影をやっていたりして、あまりイベントなどに参加できなかったんです。でも、最近のニュースを見ていると「なんだ、二宮くんもあの時に撮影をしていたのか」と思って…。「アナログ」(2023年秋公開予定/主演:二宮和也・波瑠)だっけ?

二宮さん

そうです。

瀬々監督

「それをやりつつ、いろいろとやっていたんだな」と思って、改めて「すごいな」と思いました。

二宮さん

ありがとうございます。(会場:拍手)

瀬々監督

一月の終わりに、山本幡男さんが生まれた島根県隠岐の島の西ノ島で行われた上映会に行ってきました。

二宮さん

どうでしたか?

瀬々監督

結構大きなホールを使って行われました。そこには映写機がないので、岡山から持って来て、階段の上に映写機を設えて上映をしたんです。映写機がむき出しで、とても良い感じで…(笑)。
上映会のきっかけとなったのは、記者会見か何かで、僕が「(幡男さんの実家は)竹藪になっています」と言ったことなんです。僕が以前訪れた時に、幡男さんの実家があったところは竹藪になっていました。それで記者会見か何かで、僕がそのことを言ったら、「山本幡男を顕彰する会」の岡田(昌平)さんという元(西ノ島)町長が、「これはいかん」と思ったみたいです。それで、「そこに碑を建てる」と言って、竹藪を耕して公園にして、碑を建てたんですよ。

二宮さん

すごい!

瀬々監督

手紙が来て「こういうことがあって、上映会をします。コメントをください」と書いてあったんです。「何だか僕のせいで碑を建てさせちゃったなあ」と思って…(笑)。それもあって上映会に行ってきました。「僕のせいですよね」と言ったら、「そうです(笑)」と言っていました。(二宮さん&会場:笑) とても良い上映会でした。

MC

本作では感想投稿キャンペーンを行っています。ご参加くださった皆さんからの感想を、いくつかピックアップしてご紹介しようと思います。

■感想が紹介されました。

【感想投稿キャンペーンに投稿された感想】

「私の祖父は、たぶん山本さんたちが下車させられた列車に最後まで乗って帰って来ることができた。 終戦記念日と言われている日を境に、平和になったのではないと気づかされた」
「亡き父もシベリアの収容所に抑留されていたので、公開を待ちこがれていた。いろいろな想いが錯綜して嗚咽するほど感動したが、まずはこの作品を作ったスタッフと熱演したキャストに感謝しかない。一人でも多くの人に観てほしい」
「毎日家族と笑って、ご飯を食べて生きているだけで幸せなんだと実感&反省した」

二宮さん

(劇中で描かれるのは)親族や近い親戚に「そういった経験をしたことがある」人がいるような時間軸ですからね。学校とはまた違った形、入り口で(シベリア抑留の物語に)触れる人がまだたくさんいらっしゃるんだろうと思います。

瀬々監督

昨日、あるところで声を掛けられたんですが、その人は(本作を)「14回観た」と言っていました。

二宮さん

ええ!

瀬々監督

SNSなどを見ていると(本作を)20回くらい観ている人が結構いるんです。その方の感想によると、どんどんお客さんが若くなっているそうです。「最初は高齢の方が多かったけれど、今は中学生も(映画を観に)来ていて、どんどん客層が若くなっている」と言っていたのが、すごく印象的です。そういう意味では、「戦争を知らない世代にもこの作品が伝わっている」と思うので、またこの作品が何かのきっかけになればと思っています。

二宮さん

嬉しいですよね。僕や、(本作に)一緒に出ている中島(健人)くんなどは、若い人たちに支持されることが多い人間なので、僕らが若い世代に伝える役割を担うとなった時に、やはり「嘘をついてはいけない」という思いは当然あります。「戦争って大変なものだ」「ひどいものだ」ということを過剰に描き過ぎるのもそれは違うことなので…。とはいえ「史実を全部やろう」となった時には、いろいろと観る人の幅を狭めてしまう恐れもあります。とにかく「こういう事実があったんだ」ということをベースに、その中でも「人間がどう人間らしくいたのか、人間を失いかけた時に人間はどうするのかということを、改めて感じてもらう」というのが、一つのテーマでもありました。若い人たちに観に来ていただけているというのは、ちょっと安心したと言いますか、ホッとしています。ありがたいです。

■続いての感想が読み上げられました。

【感想投稿キャンペーンに投稿された感想】

「内容的に観に行くのはしんどいかなと思ったけど、いざ観たら涙は流れるけど、辛い中での笑顔が本当に素敵で、エンドロールで前向きな気持ちになれる。頑張ろう」
「エンドロールが終わって、明かりが付いても泣き続けた作品は初めて。いろいろなことに辛くなるけど、いつも希望を持ち続けます」
「辛くて何度も泣くけど、観終わった時に清々しさとこの世界への愛おしさがあふれてくる。戦争映画で括れない人間ドラマ」

二宮さん

人間ドラマと言っていただきましたが、本当に僕らが描きたかったことの一つでもあります。友情や絆だったり、愛情だったりっていうもの、人間が持ついろいろな“情”というものに関しては、たぶんこの作品で描かれている時間軸から今の現代を考えても、そんなに増えているものではないと思うんです。新たな“情”が数多く生まれているとは思っていないから。その“情”に改めて触れることで、「今の時代の人たちと、この時代の人たちは違わないんだ」ということも、感じてもらえたのかなと思います。

瀬々監督

清々しさということに関して言うと、やっぱり二宮くんの笑顔が印象的だったと思うんです。いろいろな笑顔をしているというか、ポスタービジュアルになっている笑顔も、ちょっと笑っているんだけれど、悲しそうな笑顔でもあって…。よく宣伝の人が選んだなと思うぐらいだったんですが、そういう意味でも「千の笑顔を持つ男」みたいな感じかなと。

二宮さん

(照れ笑いを浮かべ、マスコミ人のほうを見ながら)記者さん、お書きください。(会場:拍手&笑) ありがたい!

MC

他にも「エキストラを含めた皆さん、全員が素晴らしい」「瀬々監督、俳優、スタッフの皆さん全員に優秀賞をあげたいです。キャスティング、優勝です。全員に(犬の)クロにも賞をあげたいくらい素晴らしいです。その他大勢としてスクリーンに映る役者さんたちもみんながすごかった。誰一人として手を抜いていない、熱量が伝わってきた。最優秀作品賞だよ」といった声も届いています。そして二宮さん、第 46回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞受賞、おめでとうございます。(会場:拍手)

二宮さん

ありがとうございます!

MC

最優秀賞の発表は三月になりますが、改めて今のお気持ちを聞かせてください。

二宮さん

嬉しいです。そこに(優秀主演男優賞の中には「流浪の月」で選ばれた松坂)桃李もいるので…。違う作品ではあるんですが、またずっと会えていなかった、あれ以来の人たちと会えると思うと、そういう機会がもらえてとても嬉しいです。

MC

共演者の方々についても「素晴らしい」という感想が届いていますね。

二宮さん

それは僕も思っていました。本作を観たり、宣伝をやっていても「すごい人たちがたくさんいたんだな」と思い知らされました。もう全然スケジュールが合わない!(瀬々監督:笑) この人が来られても、この人が来られないとか、こっちの作品に行ったりとか、みんないろいろなことをやっているから。「こんなにすごいことになっているんだ」みたいな感じです。その人たちとあの(撮影)期間ずっと一緒にいられたというのは、僕にとってのご褒美じゃないですが、「すごい時間だったんだ」と改めて思いました。

MC

今後、日本アカデミー賞の授賞式があります。

瀬々監督

ぜひ、(二宮さんに)最優秀(主演男優)賞を獲ってもらいましょう! (会場:拍手)

二宮さん

(お辞儀をする)。

瀬々監督

(二宮さんの緊張をほぐすように)まあでも時の運だから!

二宮さん

そうですよね。たしかに授賞式の場に行けるだけで光栄です。だってもう、賞金は出ていますから。(会場:笑) 最優秀になったらもっと(賞金が)増えるかもしれませんが、もうもらえるのは確定なので。(会場:笑) ありがとうございます!

MC

最優秀主演男優賞の受賞を、ファンの皆さんも期待しますよね。(会場:大きな拍手)

二宮さん

ありがとうございます!

MC

事前にお二人に聞きたいことを募集しました。こちらもいくつかご紹介してまいります。

【質問】

「一番嬉しかった感想は何ですか。印象に残っている感想を教えてください。」

瀬々監督

先ほどと重なっちゃうんですが、どんどん人々(客層)が若返ってきたというか…。「口コミを見て本作を観に行った」と皆さんが感想を書いていて、口コミで伝わっていったということで、やっぱり皆さんに育てられた作品なんだなという感じがすごくしています。僕たちの元から良い感じで手を離れていっていると感じられる。そういうところに、この作品の素晴らしさがあると思っています。

二宮さん

僕もちょっと前などは、作品の反応やリアクション、感想というものがそんなに僕のところまでは届いていなかったんです。「出ている人に言うのもなんだな」と周りが気を遣っていて…。でも本作は、本当にたくさんの人が観てくださっているのが分かりました。いろいろな人から「良かったよ」「すごかったね」と言ってもらえたので…。

瀬々監督

直接的な反応が来るんだ。

二宮さん

そうなんです。それが届くということが、驚きでした。「みんな(感想を)言ってくれるんだ!」という喜びがありましたね。

瀬々監督

ダイレクトな感想ね。

二宮さん

そうなんです。

MC

「この人も観てくれていたんだ」と思ったような方は、いらっしゃいましたか?

二宮さん

直接的にではないんですが、ホリエモン。(会場:笑) (実業家の)堀江(貴文)さんとは会ったこともないし、お仕事をしたこともたぶんないと思うんです。本当に良いと思った時にだけ「あの作品良かったよ」と言ってくれそうな人じゃないですか。「ホリエモンさんが(本作を観たと)言っていたよ」とか聞くと、「ええ! 観てくれたんだ!」みたいな、そういうことはありましたね。

MC

間接的に二宮さんの元に感想が届いたんですね。

二宮さん

そうやって言ってくださる人たちに出会う確率が上がりました。

【質問】

「生きる意味について考えさせられました。皆さんにとって、人生で大切なもの。生きる希望は何ですか? 」

瀬々監督

僕は映画ですね。趣味=映画。仕事=映画という感じなので。

二宮さん

良い作品を作るということですか?

瀬々監督

そこそこの作品でも良いんだけど(笑)。

二宮さん

(笑)。自分が「これだ!」と思ったものを…。

瀬々監督

そうそう。やっぱりそういうこと(映画作り)を通して、人々と出会ったりするので…。他にはもう、飲酒くらいしか趣味がないのでね。

二宮さん

良い趣味ですよ(笑)。
僕は何だろう…。生きる希望というと大きくなり過ぎですが、やっぱり普段から、応援してくださっている人たちに新しい感覚や新鮮なものを与え続けられるような人でありたいという努力をしています。小さくても良いんですが、応援してくれている人たちが「楽しそうだな」とか興味を持てるようなことができたら良いなと思います。

瀬々監督

ちょっと言い方が悪いんだけれど、それはアイドルという仕事の影響というのもあるんですか?

二宮さん

あると思います。僕はそれこそ、ラブストーリーはほとんどやってこなかったんですよ。

瀬々監督

次(「アナログ」)はラブストーリーですね。

二宮さん

そうなんです。珍しいんですよ。映画の舞台が現代だし、演じる役柄の髪の毛が生えているし。(会場:拍手&笑) 普通の服を着ていますからね。世の中の人からしたら「二宮さん、今度はラブストーリーで、こういうのをやるんだ」で終わることかもしれないけれど、応援してくれている人からすると「大丈夫かな?」みたいな…。(会場:笑) 「お前が現代に戻って来て大丈夫なのか」と。現代が舞台だと(2022年にTBSで放送された日曜劇場「マイファミリー」のように)娘が誘拐されたりしますからね。(会場:笑) 「そうじゃない、シンプルなラブストーリーなんて大丈夫?」と不安になる人がいるかもしれない。でも、そうやってちょっと新鮮な気持ちにさせられるような仕事ができればというのは、僕の希望も含めてありますね。

【質問】

「同じスタッフ、キャストで次回作を作るとしたら、どのような作品が良いですか? ちなみに僕はゾンビものです。」

MC

こちらは東京都の30代男性、松坂桃李さんからいただいた質問です。(登壇者のお二人&会場:笑)

瀬々監督

(SF作品の)「スタートレック」みたいなやつを撮ろうかな。

二宮さん

行きますか!

瀬々監督

安田顕さんが隊長役で(笑)。 みんなが隊員で、宇宙に行っていろいろとやる。

二宮さん

確かに、安田顕さんが隊長役(という配役)はありえるな。

瀬々監督

二宮くんは、ミスター・スポック役あたりを(笑)。

二宮さん

ありがとうございます。良いところをもらっちゃって。

瀬々監督

地球人ではないけれどね(笑)。

二宮さん

今回(ラーゲリより愛を込めて)の座組は女子が少ないので、そういうことになってくるのかな。何があるんだろう…。でもせっかくこれだけの人がいるので、何か違うことをやりたいですね。もう瀬々さんも出て…。(会場:笑)

瀬々監督

僕も出るんだ(笑)。僕しょっぱいからな、芝居!

二宮さん

「金八先生」ならぬ、「瀬々八先生」とか。(会場:笑)

瀬々監督

荒川をみんなで歩くんだ!

二宮さん

(笑)。せっかくですから、男子校みたいな感じの。

瀬々監督

定時制男子校みたいな。

二宮さん

そういうのは、良いかもしれないですね。人情的な。

瀬々監督

下町のね。安田さんは、昼間は工員の役。

二宮さん

お酒を飲みながら学校に来たり、良いですね。

瀬々監督

桐谷さんは、元ワルの役(笑)。

MC

「瀬々八先生」楽しみにしています。では続いての質問です。

【質問】

「二宮くん、アイドルと俳優の違いを教えてください。」

二宮さん

この質問は…中島さんかなあ。

MC

こちらの質問は、東京都の20代男性、中島健人さんからいただきました。 (会場:笑&拍手)

二宮さん

中島さんのような感じがしましたよね。ごめんなさい、「中島さんなのかな」と思って全然(質問を)聞いていなかった(笑)。

MC

「二宮くん、アイドルと俳優の違いを教えてください」とのことです。

二宮さん

アイドルと俳優の違い? アイドルと俳優の違い…何だろう…。
違いはそんなにないんじゃないかと思います。ちょっと語弊があるかもしれないけれど、演じているというものに対してのフィルター、届け方が違うだけで、基本的にやっていることは一緒だと思っています。中島さんが、アイドルを演じているとは思わないですよ。でもまあ、演じていないと思っているとしたら、ちょっと信じられないですが…。(瀬々監督&会場:笑) 演じているかいないかは、分からないですが、彼自身でそういうキャラクターを作り上げていくことと、切磋琢磨して作り上げていくという作業は、「そんなに変わらないんじゃないの?」と思っちゃう。僕は、お芝居やキャラクターに関しては、みんなと一緒に作っていくものだと思っています。(アイドルのキャラクターとしても)自分はこうだと思っても、「この人はこう見られている」「あの人はこう見られている」という多面的なものがその人のキャラクターになっていくと思っています。それは、グループにいる時もそうでした。やり方が違うだけで、やっていることは一緒な気がしますね。

瀬々監督

先ほどの話だと、「勇気を与えたり、希望を与えたりすること」が自分にとって大事だと。そういう意味では、それも(アイドルと俳優で)共通しているという感じですか?

二宮さん

そうですね。それが根源にあります。今もアイドルですが、グループを組んで活動していた時期に(俳優として)呼ばれる時は、やっぱり俳優然とせずに、呼ばれた意味を考えて、何か言われた時には動けるような作業はしていました。たぶん、彼もできているんじゃないですか?

MC

ぜひ直接伝えてあげてください。続いての質問です。

【質問】

「映画の大ヒット、おめでとうございます。お二人に質問です。映画はご自分にとってどういうものですか?」

MC

という、北海道出身の40代男性、安田顕さんからの質問です。(会場:笑&拍手)

二宮さん

ギリギリ40代のおじさんから質問が来ましたね。
映画とは…。これは僕が先に答えたほうが良いですね。瀬々八さんの答えは、僕も聞きたいので(笑)。
僕にとっては、「本当にありがたい存在」ですかね。作品やお芝居というところを全部離れて考えると、自分の若い頃の動いている映像がこんなにも残っていることがめちゃくちゃありがたいですね。「この時に何を思っていたんだろう」ということも、何となく思い出せるというか…。「このシーンを撮っている時、めちゃくちゃ遅かったな」とか、「このシーンの次の日、コンサートに行っていたな」とか、その映像を観ると思い出せたりします。本当にありがたさしかないです。動くアルバムというか、そんなこと言ったら豪華すぎるからちょっと違うんですが、でもずっと若い頃からの顔が残っているというのは、僕は出ている人の特権だと思っています。出る側の目線からすると、(自分の映像と記憶を残してくれるありがたさは)大きいかもしれないですね。

瀬々監督

さっきも言いましたが、映画は自分にとっては趣味でもあるし、仕事でもあるというか、かけがえのないものというか…。これがないと自分がなくなるような感じというか…。暇になると映画館に観に行ったりもします。遠方まで観に行ったりもします。作る側ではありますが、かけがえのないものなので、自分自身というか、よく分からないですね。

二宮さん

そういうことですよね。

MC

熱いお答え、ありがとうございます。続いて、大阪出身の30代男性、桐谷健太さんから届いた質問です。

【質問】

「撮影中、“食べること”に関しても強く思う何かがあった作品でしたが、人生最後の日に食べたい料理を教えてください。そして僕(桐谷)と二人きりで食べたい料理も教えてください。その料理が違った場合、人生最後の料理と桐谷と二人で食べたい料理が、なぜ違ったのか。その理由も教えてください」。

二宮さん

面倒臭いな! (会場:笑) なぞなぞですか? 人生最後の日に食べたい料理…。ありますか?

瀬々監督

僕はありますよ。僕は、数の子が異常に好きなんですよ。(二宮さん&会場:笑)

二宮さん

人生、最後ですよ!?

瀬々監督

大丈夫。正月に数の子が出るじゃん。丸ごと、10個くらい食べられるから。

二宮さん

マジですか!

瀬々監督

マジで。

二宮さん

それで(最後に数の子を食べて)地球が滅亡しても良いんだ。

瀬々監督

数の子があれば良いんだよ。(二宮さん&会場:笑) あの食感がたまらなく好きなんですよ。

二宮さん

でも桐谷くんとは食べられないですよね?

瀬々監督

食べられないね。普通の人はそんなに好きじゃないから(笑)。

二宮さん

「ご飯食いに行こうぜ!」となって(食べに行くのが)数の子だけだったら、こっちも引きますよ(笑)。

瀬々監督

桐谷さんは大阪出身なので、鶴橋で一緒に焼肉でも行こうかな。面白いと思いますよ。

二宮さん

30代だし、肉だけ食べさせておけば大丈夫ですよ(笑)。
何だろう、地球最後って…。僕はあまり食に興味がないというのもあるんですが…。僕は、もんじゃが好きなんです。だから、もんじゃを食べていたいと思います。

瀬々監督

何もんじゃがいいですか?

二宮さん

明太子もんじゃとかあるじゃないですか。その明太子を、数の子にするとか。(会場:笑) でも、もんじゃの価値観って、西と東でまた違うじゃないですか?

瀬々監督

西はね、あまりもんじゃを食べないんだよね。基本、お好み焼きですね。僕も東京に来て初めてもんじゃを食べたんですが、びっくりして「これは食い物か?」と思ったもんね(笑)。

二宮さん

そうですよね! 桐谷さんと食べるとなると、お好み焼きになるのかなと思います。

瀬々監督

うまくまとめましたね。

MC

今日は京都府舞鶴市にあります、シベリア抑留に関する資料を展示している「舞鶴引揚記念館」より、シベリア抑留の歴史を後世に語り継ぐ役目を担っていらっしゃる、学生語り部のお一人今野拓実(コンノタクミ)さんが会場にお越しです。
映画が公開されて「舞鶴引揚記念館」を訪れる方や、語り部の活動などに何か変化はありましたか?

今野さん

今、僕は大学二年生なんですが、周りの友だちも本作をすごく観てくれていて、僕がシベリア抑留について研究をしているので、「こういうことってどうなの」「あんなこと、本当にあったの?」など、いろいろな感想をいただきますね。あとさっきのお話でもあったと思うんですが、「舞鶴引揚記念館」にも年齢層の高い方々がよく来られるんですが、本作が公開されてからは、僕みたいな20代や10代など若い世代の方々がたくさん来られるようになりました。

MC

やはり変化があるようですね。

二宮さん

すごいですね。僕らがこういう思いで作ったものを通して、資料館に行ってみようと思ってそこに行ってくれるというのは、本当に嬉しいことですよね。

MC

今野さんからご質問はありますか?

今野さん

瀬々監督とは一度、舞鶴でお話しました。ありがとうございました。

瀬々監督

その節はありがとうございました。

今野さん

二宮さんとは初めましてなので、二宮さんに質問をさせていただこうと思います。
シベリア抑留って正直言うとちょっと暗い話なんですね。「本作でも戦争の恐怖みたいなところが強く描かれるんじゃないか」と、ちょっと不安に思ったところがあったんです。でも、僕も本作を観て、そうではなくて小さな希望がたくさん、いろいろなところに詰め込まれていました。クロしかり、野球しかり、二宮さんの笑顔しかり、瀬々八先生しかり…(会場:笑)。いろいろなところに希望が詰め込まれていて、とても感動できる作品でした。これまで描いていた戦争の白黒だったイメージに、色をつけてもらえたような、そんな気持ちになる作品だったと思いました。
僕が学生語り部をしているのは、実は僕のおじいちゃんがシベリア抑留者だったからという理由があります。二宮さんも、おじい様が「シベリア抑留者だった」という話をされている記事を拝見したんですが、親族だから分かる感情みたいなものもどこかにあるんじゃないかと思います。この作品でそういった感情を入れた部分やシーンがあったら教えていただきたいです。

二宮さん

(感想や質問をくれる人の)顔が見えると、緊張しますね(苦笑)。30代、大阪の人のほうが良かった。(会場:笑) この作品では、それぞれに希望があって、その希望を山本幡男さんが励まし続けたことで、どんどん明日へと繋がっていく…。(ラーゲリのような)こういった過酷なところにいると、小さな希望が消えたことに気づかない人がたくさんいます。また、その希望の灯をともす作業をしなければならないんだと思いました。うちのおじいさんも帰ってきたのは四年後だったんですが、もし仮の話として、「四年後に帰って来て、結婚していたおばあさんに新しい家族があった時にうちのおじいさんはどうしたんだろう」とか…。そこからまたずっととてつもない人生を歩んだんじゃないかとかいろいろと想像してしまいます。うちのおじいさんはうまくまとまって、僕が生まれたんですが、帰って来た時のほうが過酷だった人もいるかもしれないと思います。でも「帰ろうよ、みんなで。だって自分の国なんだから」と、何気なく背中を押していったのが幡男さんだったと思っています。だからこそ、帰ることを大前提にするというよりも、「みんなで歌を作りましょう」「字を書きましょう」「いろいろな季節の暦をみんなで感じましょう」といったことで、繋いでいった灯だったと思います。そういった押し付けない強さみたいなものを(幡男さんが)大事にしていたからこそ、自分(演じる幡男)が病気になるシーンでは、「いや、死にたくないな」という思いを演技に込めました。その声を聴いた時に、今まで一緒に頑張ってきた仲間に「コイツ、死んじゃうんだ」と感じさせないといけなかったので、そこを大事にしていた部分はあります。みんなには「生きて頑張ろうよ」と言っている自分が、「一番死にたくない」という卑しさのようなものが、あの時代の人間にあってもおかしくないんじゃないかという思いが、自分のキャラクターを作っていく上ではあったと思います。

今野さん

ありがとうございました。「希望の灯をともす」って良い言葉だと思ったので「舞鶴引揚記念館」の他の学生語り部の子たちも使うように言っておきます。あと、もしよろしければ「舞鶴引揚記念館」に来ていただければ、私が案内します。瀬々八先生とぜひ来ていただければと思います。
あと、ちょっと上の人から言われたんですが(苦笑)…。今度東京で「舞鶴引揚記念館」の企画展があるので、もし興味ある方がいらっしゃったら…。すみません、こんなお願い。

二宮さん

(上手な告知に)タレントさんですか?

■フォトセッション。二宮さんと瀬々監督が「せーの!」の掛け声でにぎやかにくす玉を割りました。

MC

二宮さん、最後のご挨拶をお願いいたします。

二宮さん

本日はありがとうございました。(会場:拍手) 本当に変な話ですが、皆さんの声をナメていたというか…。こんなに続くとは思っていなくて、すみません!(会場:笑) 皆さんに応援していただけているパワーを改めて感じることができました。「本当に愛される作品になって良かった」「こんなにたくさんの人々に出会うことができて良かった」「出会った方にこういうことがあったんだと知ることができて本当に良かった」と思っています。
「たくさんの人に観ていただいて、上映期間が長く続いて、大ヒットだ!」ということはもちろん理想なのかもしれません。その理想を追っているうちは現実が追いつかず。僕らがただただこういった史実をもとに「ぜひ忘れないでもらいたい」と思って作ったものが、こんなにも上映期間が長く続くのかと思っています。本当に皆さん、お客さんの力というものを痛感して、改めて感じたことが本当に嬉しかったです。
みんなそれぞれにはなるかもしれませんが、また皆さんとそれぞれの(スタッフ、キャストによる)作品で出会えるように、我々も頑張っていきます。この作品に出ているキャストの皆さん、瀬々監督、脚本家の林(民夫)先生も含め、「この人が脚本を書いているから面白そうだ、観に行こう!」「瀬々八さんが撮っているから観に行こう!」とか、そういった形でまたいろいろな映画に触れていただけると本当にありがたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いします。(会場:拍手)