「ゴールデンカムイ」完成報告会見
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完成報告会見
「実写化不可能」と言われた野田サトルの2600万部突破の大人気漫画「ゴールデンカムイ」がいよいよ実写化となります。その完成報告記者会見が12月20日、東京・日本橋のマンダリンオリエンタル東京にて開催されました。主演の山﨑賢人さんをはじめ、山田杏奈さん、矢本悠馬さん、工藤阿須加さん、栁俊太郎さん、大谷亮平さん、玉木宏さん、久保茂昭監督、松橋真三プロデューサーが出席しました。こちらの記者会見の模様をレポートいたします!
山﨑賢人さん
杉元佐一役
山田杏奈さん
アシㇼパ役
矢本悠馬さん
白石由竹役
玉木宏さん
鶴見篤四郎役
工藤阿須加さん
月島基役
栁俊太郎さん
二階堂浩平/洋平役
大谷亮平さん
谷垣源次郎役
久保茂昭監督
松橋真三プロデューサー
■原作者の野田サトルさんからのコメントが公開されました。
【原作者・野田サトル先生のコメント】
原作者である私の頭の中にも映像としてのゴールデンカムイがあります。
なので、実は、内心ものすごく心配していましたけれど試写を拝見いたしましてホッとしています。
今回の映画には、私の頭の中にも無かった良いところが沢山ありました。
特に役者さん方はかっこよくて、渋くて、可愛くて、キャラクターに合っていて漫画とはまた違った生身の魅力があふれていました。
動物のCGも心配ありません。
ものすごく謙遜して言わせて頂きますと観に行って損することはないと思います。
山﨑さん
今日、「ゴールデンカムイ」の完成を報告することができてうれしく思っています。杉元という、すごく生命力の強い、心優しい男を演じられてうれしいです。
山田さん
今、こうやって皆さんとこの場にいることで、「いよいよ公開するんだな」という実感がわいてきました。すごく贅沢な環境で、素敵な俳優の皆さんやスタッフの皆さんと一緒に作ったものが世に出るんだと思うと感慨深いです。
矢本さん
個人的に大好きな漫画で、一ファンとして、一読者として白石由竹という人物が実写になった時、「こうであったら良いな」というものを作りました。
玉木さん
鶴見中尉はすごくやりがいを感じる役柄でもあり、現場にいても非常に熱量の高い作品だったと思います。皆さん、楽しみにしていてください。
工藤さん
月島という役を演じるにあたって、僕個人としてもこの作品のファンであり、何より月島のファンでもあったので、心からうれしかったです。演じる上で、矢本さんが言ったように、「自分だったらこういう月島が良いな」というのを全力で注ぎ込みました。素敵な作品になっていると思うので、皆さんに観ていただければ嬉しいです。
栁さん
二階堂浩平/洋平の二役を一人で演じました。僕も原作を読んでいたので、インパクトの強いイカれた兄弟を演じられることを幸せに思いました。また、早くいろんな人に届けば良いなと思います。この作品の素晴らしさを伝えられたらと思います。
大谷さん
先日、完成した本作を観ましたが、アクションが本当にすごかったです。たぶん、ここにいる皆さんの中では僕だけアクションシーン少なかったんですが、本作を観ながら内心ホッとするくらい、観応えのある素晴らしいアクションが多かったです。早く皆さんに劇場で本作を観ていただきたいと思いました。
久保監督
僕も原作の大大大ファンで、どれくらいファンかというのを語ったら半日くらい必要になると思いますし、フィギュアを全部持っているくらいのオタクです。本作を撮らせていただけて本当に光栄に思っております。全てにこだわって撮っています。キャストの皆さん、過酷な撮影を本当にありがとうございました。雪の中での撮影は本当に大変で、そんな中で、皆さんは素晴らしいお芝居で、素晴らしいキャラクターを演じてくれています。いろんな人に観ていただきたいと願っています。
松橋プロデューサー
本日は、このようにたくさんの方々にご取材に来ていただき、ありがとうございます。今作に注目いただき、本当にありがとうございます。ここまで長い道のりでしたが、無事、素晴らしい作品が完成しましたので、このような形でご報告できることを光栄に思います。
MC
まずは山﨑さん、原作者の野田サトル先生からのコメントがありましたが、役者陣がキャラクターにピッタリ合っていて魅力にあふれいているとおっしゃっていました。
山﨑さん
現場に先生が見学に来られた時に「いろんなことを言われたりすると思うけれど、僕は味方ですから」と言っていただいて安心しました。その言葉に背中を押されました。みんな役にピッタリで、すごいです。みんな原作にリスペクトして、愛を持ってやっていました。
松橋プロデューサー
私その後、野田先生からお話をうかがうことがありまして。なかなか山﨑くんの口から自分のことを言うのは大変だと思うので僕がお話すると、「山﨑さんは杉元と本質的に似ているところがあると思う」とおっしゃっていました。それは、私が思うに、カッコ良くて強いというところだけでなく、心根、人間の本質がとても優しくて、器が広くて、多くを語らずに行動で示すところを、直感的にご覧になって感じられたんじゃないかと思います。そこが杉元に似ていたんじゃないかと推測しています。
山﨑さん
不死身の部分かと思った(笑)。
MC
今の話を聞いていかがでしたか?
山﨑さん
多くは語らないようにします(笑)。うれしいです。
MC
不死身の杉元を演じる上で、役作りはどのように進めたんでしょうか?
山﨑さん
二〇三高地の戦いを撮影する前に、幼なじみの梅ちゃんと寅次とのシーンを撮影しました。戦争に行く前の杉元から丁寧に作っていけたので、男としての強さはあるけれど心優しい、という部分を撮影してから二〇三高地の撮影ができて良かったと思います。ワンカットでの長回しもあったのですが、「不死身」ということを表す上で、すごく意味のある撮影だったと思います。そこから、「金塊探し」になっていくんですが、戦争で傷ついた心、人間として忘れてしまった大事な部分をアシㇼパさんと出会い、少しずつ(心が)ほぐれていくのを表現できたらと思ってやっていました。
MC
成長していくだけじゃないんですね。
山﨑さん
成長していくんですが、今回は成長し切っている杉元が、取り戻していくというか、取り戻しながら、また新たな成長をしていくという気持ちでやりました。
MC
これまでもいろんなアクションをやってきた山﨑さんも、やったことのないアクションがあったとお聞きしました。
山﨑さん
冒頭の長回しもそうですが、狂気というか、杉元は生きるために「やられる前にやる」という鬼神のようだと言われる部分が出せたら良いなと思っていました。
あとは馬ぞりですかね。馬ぞりは、引っ張ってもらって…。実際に地面の上を馬に引っ張ってもらったんです…(笑)。
MC
普通は本人がやらないようなアクションですね。
久保監督
普通は合成などをするシーンなんですが、賢人くんはそういうところにも挑戦してくれる方なので、スタッフの甘えとリスペクトもあってやってもらいました。北海道の夜はハンパなく寒いんですが、そこで馬ぞりで雪を浴びながら、引きずられる――本当に過酷どころじゃなく、「すみません」としか言えないです。でも、それ以上に素晴らしいシーンが撮れました。夜の北海道での撮影は、肌も手も出していられない寒さの中で頑張っていただきました。
山﨑さん
いや、でも楽しかったですね。人生でそんなに馬車で引きずられることはないので、楽しみながらやりました。
MC
肉体もすごく大きくなっていました。
山﨑さん
強さを出すために体重は約10キロ増やしました。あとは、軍事練習もやりました。日本の武道から来ている戦い方を練習しました。例えば尾形と対峙した時、冷静に倒しにいったり、感情を出して戦うところなどいろいろありましたが基本は日本の武道から来ています。
MC
山田さんはアシㇼパを演じる上で学ばれる部分も多かったと思います。
山田さん
意識したことは、アイヌの少女ということで、文化的なものを学んで、アシㇼパの考えの根底には何があるのかをアイヌ語・文化監修の中川先生にも教えていただきながら、少しずつ作っていきました。彼女は信仰の部分を大事にしつつ、合理的なところもあって、原作でも「私は新しい時代のアイヌの女だから」と言っていますが、そういう部分も大事にしようと思いました。山の中を駆け回っていて、本当にたくましいですし、すごくしっかりとした考え方もそうですが、芯の強い人だなと思いました。
MC
雪の中でのアクションや弓など大変な部分もあったかと思います。
山田さん
私は、ほぼほぼアクションは初めてで、走り方・立ち止まり方から教えていただきました。だから、本当に「皆さんすごいな」と完成した作品を観ながら思いました。大谷さんもおっしゃっていましたが、私も「ここまで激しいアクションがなくて良かった」と思うくらいの大迫力でした。弓矢はおうちに持って帰って、家のカーテンに向けて撃つ練習をしていました(笑)。弓をつがえる動きが極力スムーズになれば良いなと思い練習しました。
MC
白石はコメディ部分も担う役で、身体を張る部分も多かったですが、演じる上でプレッシャーもあったのでしょうか?
矢本さん
もちろんプレッシャーはありました。もともと原作の大ファンで、たくさんのキャラクターがいて、どのキャラクターも魅力的で好きなんですが、僕は白石推しなんです。コメディ部分を担う以前に、まさか僕が演じられるとは思っていなかったので、それだけで肩に力が入ってガチガチでした。すごい大作だし、さらにガチガチになって(苦笑)、最初の一日目、二日目とかは調子が悪かったです。「撮り直してぇ!」って思うくらい力が入っちゃっていました(苦笑)。でも、白石は他のキャラクターと違って、志とかどうしてもという祈願もない中で金塊争奪戦に入っていく自由なキャラなので、「自分が固くなっていたら白石の良さを引き出せない」と思って、とりあえず全部忘れてやるようになってからは調子が良かったですね。
久保監督
最初から調子良かったよ(笑)。
MC
オープニングの映像でも「マイナス10度」という表示も出ていましたが…。
矢本さん
特に辛かったのは、原作にもある雪山の川に入るシーンですね。原作を読んでいる時はゲラゲラ笑っていましたが、生の肉体で12月から1月にかけての雪山の川に入るのは笑えなかったですね。当時風邪はひかなかったですが、撮影が終わってから取り戻すかのように今年、風邪をひいて、他の現場に迷惑かけちゃいましたね。
MC
山﨑さんも川に入っていましたが、凍っていたとか…。
山﨑さん
朝、川が凍っていたのを、スタッフさんたちが僕らが入る前に砕いていました。
矢本さん
砕いたら温度が上がるわけじゃないですからね(笑)。また固まる前に入った感じですね…。一番寒かったかもしれないです。寒いというより痛かったです。
MC
山﨑さん、山田さんとのトリオはいかがでしたか?
矢本さん
作品のお尻のほうから撮り始めたので、仲が深まってなきゃいけなかったんですが、それが撮影一日目だったので調子が悪くてすみませんでした(苦笑)。
山﨑さん
最初からメッチャ良かったです(笑)。
矢本さん
器がデカい男ですね(笑)。
MC
鶴見中尉は絶大なカリスマ性と狂気を持ったクセの強いキャラクターですが、演じる上でどのようにされたんですか?
玉木さん
僕も原作が大好きだったのですが、まさか自分が鶴見中尉を演じるとは思っていなかったです。イメージは原作を読んでいて分かっていたのですが、実写で演じる上では、杉元や周りを脅かす存在でなければいけない、「怖さ」が必要だけど、一方で、どこか愛嬌みたいなのもなければ部下がついてこないし、先の読めない得体の知れない存在感を目指してやりましたね。「何かやらかすぞ」という感じじゃなく、いきなり何かをやってしまうような怖さのさじ加減が難しかったです。
MC
その鶴見中尉と対峙した山﨑さんはどうでしたか?
山﨑さん
イヤぁ、ゾクゾクしました。串で刺されるシーンとか、いきなりですから(笑)。
玉木さん
さっき、用意されていたお弁当に串だんごがありましたよね。狙って置いたのかと…。ステージに持ってこようかと思いましたが、やめました(笑)。
山﨑さん
僕もだんごを見たらすぐに思い出します(笑)。
玉木さん
そうだよね! なかなか串だんごを見て思い出すってないですけど(笑)。
MC
完成した作品を観ていかがでしたか?
玉木さん
鶴見のシーンは多くはないですが、台本以上に皆さんのシーンは迫力があり、VFX CGの部分はすごく説得力があるものに仕上がっていました。冒頭の熊のシーンとかどうするのかと思っていたら、(作品を観たら)現実との境目が分からないくらいの恐怖を感じました。やっぱり、今でないと実写化はできないものだったんだと感じました。
MC
工藤さんはそんな鶴見の忠実な部下である月島をどのような思いで演じたんですか?
工藤さん
月島は、鶴見の絶対的な命令を全て遂行する、冷酷でもあり機械的でもあるキャラクターです。映像を撮られている時は、小細工かもしれないですが、僕は目を開き過ぎると垂れ目になるので、なるべく開かないようにしたり、ちょっと顔を伏せ気味にしたりと、なるべく月島のイメージを外見からでも取り入れようと監督ともお話をしました。どうしても緊張すると声が上ずって高めになるんですが、なるべく重くてしっかりした声で言いたいというのがあって、家でずっと「はい」の練習をブツブツ言っていました。「はい…ちょっと違うな。はい!」って。
MC
工藤さんも馬ぞりのシーンがありますが…
工藤さん
僕もあそこまでガッツリとアクションをやるのは初めてでした。山﨑さんが数多くアクションをやられているので、おんぶにだっこというか、頼り切ってしまった部分もありました。でも、メチャクチャ楽しくできたので、(山﨑さんに)ありがとうございます。
山﨑さん
いえいえ、ありがとうございます。
工藤さん
あんまり多く語らないよね(笑)?
山﨑さん
多くは語らないです。
工藤さん
身のこなしもそうですが、山﨑さんは速いので、ついていくのに必死でした。月島も、キャラクターの中で上位に入る強いキャラクターなので、それをどう表現するのかをアクションスタッフの皆さんと協力して作りました。でも、やはり一番は山﨑さんが引っ張ってくれたおかげかなと思っています。
MC
栁さんは一人二役をどのようなところに気をつけて演じられたんでしょうか?
栁さん
まず、「双子は同じ時にどうやって芝居をすれば良いんだ?」っていうところから疑問でした。ボディダブル(代役)の方が、僕の動きを覚えてくれて、自分が浩平をやっている時には洋平を演じてくれました。そういう感じで撮影をしていたんですが、こんがらがりました…。スタッフさんも「次、どっちだっけ?」と分からなくなってこんがらがりました。
MC
栁さんにも馬ぞりなどのアクションがありました。
栁さん
自分は型というより、キャラクター的にも変わった動きをしようと思っていたので、自由に動いていました。あとは山﨑さんが受け止めてくれたので、ケガがないようにだけ気をつけていました。
MC
大谷さんは原作でも人気の谷垣を演じました。どのように準備して、演じられたんでしょうか?
大谷さん
アクションはあまりなかったんですが、マタギ出身ということで、雪山を難なく走ったり歩いたりできる身体を作らないといけなかったので足腰だけは鍛えました。キャラクターの中では、すごく真面目で誠実な男なのですが、あんまり僕はそっちのタイプじゃないので、誠実に見えるようにそこは大事に演じました。
MC
久保監督は、日本各地での大規模ロケ、特に作品の舞台となる北海道でのロケはいかがでしたか?
久保監督
なるべく本当の北海道の雪の中で撮りたいということは強く言わせていただきました。9割くらいが雪のシーンなんですが、それをほとんど本当の雪の中で撮るというのは、こういうエンタメ作品ではあまりなかったと思います。躍動するキャラを大自然で撮りたいと思ったんですが、雪での撮影自体、普段の4倍くらい時間がかかるイメージでした。ただ、僕らの体感としては、準備も含めて15倍くらい大変な感じがしました。そんな過酷な中で準備をして撮影をしました。
MC
衣装や銃など細かい部分まで大切に作られたそうですね?
久保監督
今回、アイヌの物語でもあるので、アシㇼパの衣装は実際にアイヌの方たちに刺繡を手縫いで作っていただきました。一着作るのに半年以上かかっています。杉元の銃に関しても、日露戦争の二〇三高地の時の三十年式銃は日本には残っていないので、それを改良して作られた三八式銃という銃を改造して、主要人物の銃を一つ一つこだわって作りました。特にアシㇼパのものは、アイヌの方たちに一つ一つ大事に作ってもらった小道具になっています。
MC
松橋プロデューサーは「実写化不可能」といわれたこの作品、完成してどういう作品になっていると思いますか?
松橋プロデューサー
まずは、この場を借りて幹事会社のWOWOWさんに感謝したいと思います。こういう大きな作品を作るにあたっては、巨大資本が必要で、今の日本映画の環境ではなかなかそこにチャレンジして踏み出してくださる方は少ないので感謝しております。
今、世界ではいろんな国の作品が観られる環境が整っている中で、日本のエンターテインメントがどうなっていくかが問われていると思います。そんな中で、ドンッとすごい作品を出して「日本のエンタメはすごいんだ」と世の中に出したい気持ちで企画を立ち上げました。皆さんには本作をぜひご覧いただきたいですが、世界に出して恥ずかしくない、むしろ「日本のエンタメはすごいんだ」という作品に仕上がっていると思います。こういった作品をどんどん日本から出して、世界中のエンターテインメントを日本の作品で埋め尽くしていきたいと思っています。そんな作品に仕上がっていると思いますので、どうぞ楽しみにしてください。
MC
最後に山﨑さん、メッセージをお願いします。
山﨑さん
本当に「ゴールデンカムイ」は、スタッフ・キャストみんながそれぞれ愛を持って、リスペクトを持って、魂を込めて作った作品です。広大な北海道の自然があり、キャラクターそれぞれに正義・信念があり、それに向かって生きています。そういう中での人間ドラマがあり、迫力あるアクションもあり、ごはんを食べるグルメ要素もあり、囚人たちを探すミステリ要素もあり、コメディの要素もあり、全部入っています! 全部入っている最高のエンタテインメント作品ができました。あと、熊も出てきます! ぜひ大スクリーンで観ていただきたいです。