映画『グランメゾン・パリ』初日舞台挨拶
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初日舞台挨拶
2019年に放送され、大きな話題を呼んだドラマ「グランメゾン東京」(TBS系列にて放送)が、5年の歳月を経て『グランメゾン・パリ』として映画化され、ついに公開を迎えました。
2024年12月30日(月)にTOHOシネマズ 日比谷にて初日舞台挨拶が行われ、木村拓哉さん、鈴木京香さん、及川光博さん、沢村一樹さん、正門良規さん、塚原あゆ子監督、料理監修を手がけた小林圭シェフが登壇しました。全国115館の映画館で舞台挨拶の模様が生中継される中、フランス語や料理シーンの秘話、そして公開を迎えたよろこびを明かしました。この日の模様を詳しくレポートします!
木村拓哉さん
尾花夏樹役
鈴木京香さん
早見倫子役
沢村一樹さん
京野陸太郎役
正門良規さん
小暮佑役
塚原あゆ子監督
小林圭シェフ
料理監修
■エンドロールが終わると、上映後の会場から大きな拍手が湧き起こりました。作品の熱気冷めやらぬ内に客席の中通路から登壇者の皆さんが姿を現し、歓声を浴びながらステージに上がりました。
木村さん
(会場を見渡しながら)今日ここにお集まりの皆さん、そして、全国の劇場で今この模様をご覧になっている皆さん、作品はいかがでしたか? (会場のお客さん:拍手)
ありがとうございます。登壇する前に、みんなで扉の向こう側でスタンバイをしていたんですが、本作の上映が終わったと同時に、皆さんが熱い拍手をしてくださって、とてもうれしかったです。一度とは言わずに、お腹が空いた時には何度もこのコースを召し上がっていただけたらと思います。
鈴木さん
お腹は空いていませんか? (会場のお客さん:笑)
本作を観ると、お腹が空きますよね(笑)。私も本作を観終わった後は、美しいお料理に魅了されました。(涙ぐみながら)私事ではありますが、撮影中に体力的に不安がある時がありました。その時は、木村さんをはじめとする素敵なキャストの皆さんに気を遣ってもらいながら撮影をしました。それがこんなにも良い作品になって、皆さんが笑顔で迎えてくださっていることがとてもうれしいです。
本当に素敵な作品になったと思います。皆さんも、夢を諦めずに…。(涙で声を詰まらせながら)本作は、夢を諦めそうになった時、何か辛いことがあった時にまた観返してもらえるような作品になっていると思います。
MC
本日より、いよいよ全国の方に観てもらえることになりました。感慨深いものがありますね。
鈴木さん
昨日放送されたスペシャルドラマ「グランメゾン東京」の時から感慨深くて、ずっと涙を我慢していました。先ほど、裏で本作の宣伝部の方も会場の皆さんの拍手を聞いて、目を赤くしていたんです。それを見たら自分も耐えられなくなってしまいました(照笑)。それぐらいみんなの思いがたくさん詰まった作品です。初日を迎えられて幸せです。
沢村さん
(涙を流した鈴木さんを気遣いながら)ちょっと待ってくださいね。(及川さんのポケットチーフを取り出して鈴木さんに渡す。) (会場のお客さん:大笑い)
鈴木さん
(照笑)。
及川さん
(お手上げといったように両手をあげながら)僕がやろうと思っていたのに! (会場のお客さん:笑)
沢村さん
(笑)。本作は楽しんでいただけましたでしょうか。ちょうど昨年の12月ぐらいからスペシャルドラマの撮影が始まって、それが終わってからパリへ移動して本作を撮りました。いろいろな方に観てほしいということで、今年の12月に入ってからはずっと「グランメゾン」漬けです。いろいろなところに足を運んで、本作の宣伝をしてきました。今日は皆さんと本作を共有できる時間です。全国のライブ中継を観てくださっている方も一緒に、このよろこびを共有できたらと思います。
及川さん
こんにちは皆さん、本当にメルシーボークー(フランス語で「どうもありがとう」)。どうもありがとうございます! ボンジュール(フランス語で「こんにちは」)、及川光博です。トレビアン(フランス語で「すばらしい」) (立て続けのフランス語に会場のお客さん:笑)
(中継カメラを探しながら手を振り)中継先の皆さん、見えている? 手を振ってみて。(何かを確かめたかのように)うん、良し。(会場のお客さん:笑) みんな、輝いていますよ! 今年も残りわずかです。新春もその先もずっと、キラキラしていきましょう。
正門さん
皆さんの熱い拍手、本当にありがとうございました。初号の試写会では登壇者の皆さんと一緒に観たんですが、その時も熱い拍手が起こっていたのが印象的でした。今日は、会場の皆さん、そして中継先の劇場の皆さんも、同じ熱量で熱い景色が広がっているのを想像すると、改めてすごくパワーのある作品だと感じています。何回もこの作品を味わっていただけるとうれしいです。
小林さん
本作のオファーをもらったのは、コロナ明けのことでした。飲食業界としては辛い時期でしたが、「僕たちも前を向いて、皆さんに笑顔が届けられたら良いな」と思って、本作のオファーを受けました。良い作品になったと思います。大人の本気を見せていただきました。本当にうれしく思っていますし、感謝です。ありがとうございます。
塚原監督
本日はありがとうございます。本作を通して、味や匂いが少しでも伝わったら良いなと思います。
MC
スペシャルドラマの放送、そして公開初日を迎えた今のお気持ちをお聞かせください。
木村さん
日本全国の皆さんが、劇場で本作を受け取ってくれているという事実を目にしたり、耳にして、本当にうれしいです。今日登壇していないメンバーも含めた「チーム・グランメゾン」として、ずっと繋いできた出演者と制作陣の時間が、今日からは、皆さんのものとしてバトンタッチする日なんだと思っています。何だろうな…うれしいんですが、ほんのちょっとだけ寂しい気持ちもあるのが、正直なところです。
MC
本作をご覧になった会場の皆さんの様子をご覧になっていかがでしょうか。
木村さん
この壇上から見ると、女性だけではなく、男性もいらっしゃいますね。そして、年齢の壁が全くないですね。音楽や料理というのは性別も年齢も関係ない。美味しいものは、その美味しさがちゃんと届くということを、皆さんの存在から強く感じています。今日は本当にありがとうございます。
鈴木さん
今日ここにいないキャストもいて、残念ですが、皆さんと壇上に立っていると、この仲間と一緒に立てている自分がちょっと誇らしいような、うれしい気持ちです。塚原さんの撮る画はいつも本当に綺麗なんですが、今回はより胸に沁みました。先ほど、圭さん(小林シェフ)が壇上でお話された後にものすごく深く、深く、お辞儀をしてくださったのが、とてもありがたいと思いました。圭さんのお料理なしでは、今回の映画『グランメゾン・パリ』はこんな作品になっていないと改めて感じています。とにかく感激の一言です。
沢村さん
木村君のお話にもありましたが、「いよいよ我々の手から離れていくんだ」という寂しさを、僕も感じています。昨日スペシャルドラマをご覧になった方もたくさんいらっしゃると思いますが、面白かったでしょう? とはいえ、テレビと映画では使うカメラも、カメラの位置も違います。撮影現場から違うんです。映画は、この大きなスクリーンで観るために作っています。だからこそ、この大きなスクリーン、劇場まで足を運んでいただきたいです。料理の色やパリの街、音から伝わってくる香りや味を、できるだけ多くの人に劇場で味わってほしいと思っています。本作はこれから僕たちの手を離れていきますが、皆さんの力で一人でも多くの方に観ていただけるよう、広めていただけたらうれしいです。
及川さん
無事に本作が完成して、皆さんにご覧いただけることを本当にうれしく思っています。たっくん(木村さん)も言っていましたが、もしかしたら、これで(自身が演じた)相沢瓶人という大好きなキャラクターとお別れなのかなと、急に寂しくなってきちゃいました。思えば、今年の1月、お正月明けから、調理実習でした。(会場のお客さん:笑)
そして、フランス語の勉強をして、2~3月にはこの「グランメゾン・プロジェクト」に参加をしました。それが終わったと思ったら、夏にはパリオリンピックがありました。そこで、2024年の及川光博を漢字一文字で表すとしたら! (記者の皆さんに目を向けながら)はい、記者さんお願いしますよ。
(間を空けて)「ほとけ(仏)」です。(会場のお客さん:笑&拍手)
フランスの「ふつ(仏)」です。ありがとうございました。
沢村さん
それ、いつ考えたの?
及川さん
今! やっぱり、初日を迎えて、みんな胸がいっぱいになっているじゃないですか。「こういう時は何かユーモアを出さなきゃ」と、思ったんですよね。
木村さん
フランスを漢字一文字で表現すると、確かに「ほとけ(仏)」なんだが…、「ほとけ(仏)」というワードだけ聞くと、一瞬ドキッとする。(会場のお客さん:笑)
及川さん
(笑)。 そんなパリ三昧の一年だったと思います。年が明けても、皆さん本作を観に来てくださいね。そして観ていない人に勧めてください。
正門さん
今皆さんのスピーチを聞いて、改めて胸に来るものがたくさんありました。僕は、映画からの参加でした。もちろん映画だけでも楽しめるんですが、やっぱり連続ドラマやスペシャルドラマを観ていただけると、よりこれまでの道のりを感じて、熱量や深みが増すと思います。ぜひ「グランメゾン・シリーズ」として、皆さんにこれからも楽しんでいただけるとうれしいです。どうぞ自由に楽しんでください。
塚原監督
皆さんが、それぞれのキャラクターを育ててきたという感じがあります。みんなで育てて、だんだん成長していくキャラクターの姿が、本作を観て下った皆さんの手に届いていると思うと、すごくうれしいです。これからは皆さんに咀嚼していただいて、それを味わっていただける長い期間に入ります。ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです。
MC
小林さんは、アジア人シェフとして、初めてフランスでの三つ星を獲得された華々しい経歴をお持ちです。本作を観た感想を教えてください。
小林さん
何回か本作の撮影現場にも足を運びました。現場はものすごい熱量でした。演者の方たちが熱く、塚原監督の「OK」「カット」をもらうために、必死になっていました。それが僕にはとても刺激的で、「こういう世界があるんだな」と思いました。今まで僕が見てきたものとは違う世界で輝いている人たち、そんな皆さんと本作で一緒に共存できてすごくうれしいです。
最初のオファーは、京香さんからいただきました。京都でお話しをした時に、京香さんからいただいた言葉は「ごめんね」でした。「私たちが料理人をフィクションの世界(ドラマ)でやっている」といったお話をされたので、僕は「いやいや、そんなことないです」と返しました。僕としては、この職業やレストランというものに興味を持っていただければ、それだけで自分たちのやってきている職業に誇りが持てます。それには、僕たちがいつもやっているレストランだけではダメなんですよね。すばらしい演者の方たちに、ある意味踊っていただいて、作品を通して世界に発信していただくことで、僕たちにとっての宣伝効果にもなるし、次の世代に対してのメッセージにもなります。そういったことを一緒にできるのはすごくうれしいですし、僕としては本当に「ありがとう」という言葉しかありません。
MC
パリでも大掛かりな撮影が行われたとうかがいました。パリでの撮影の思い出を教えてください。
木村さん
僕たちがフランス、パリに行ったタイミングは、「ファッションウィーク(2025年春夏パリコレクション)」というハイブランドなど、そうそうたるファッション業界の皆さんが、自分たちの表現を皆さんに発表する期間と重なっていました。なので、パリ自体の鼓動がいつもより高く、大きくなっているような状態でした。そんなタイミングで、パリの街中で撮影ができたのは非常に刺激的でした。歴史的建造物が、当たり前のように自分たちの背景に広がっていることもすごくありがたかったです。
「ファッションウィーク」という一つのイベントが終わって、心拍数が落ちついてきたころに、今度は「パリオリンピック」に向かって街が大きくうねり出しました。そんな期間まで、ずっとパリにいました。非常に面白いタイミングで撮影をしたと思っています。
及川さん
印象深かったのは、撮影スタッフのほとんどがフランスの方だったことです。あらゆる国籍の人が、一つの作品に参加して、集中して作り上げていく、その空気が楽しかったです。お昼の食事の時には、必ずテーブルクロスが敷いてあるテーブルにみんなで着席をして、食事をするんです。そういう習慣・文化なんだと感動しました。
あと、驚いたのは、フランスの皆さんは本当にパンが好きです。(会場のお客さん:笑) ずっとフランスパンを食べていましたよね。(登壇者の皆さん:うなずく)
木村さん
そこに着目するんだ。(会場のお客さん:笑)
MC
皆さんもパンをたくさん食べましたか?
及川さん
食べました!
MC
フランス語でのセリフも多かったと思います。小林さん、皆さんのフランス語でのシーンはいかがでしたでしょうか。印象をお聞かせください。
小林さん
すばらしいと思いました。
木村さん
本人たちを目の前にして、本音を言えないとかじゃないですよね? (登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)
小林さん
いやいやいや!
でも、沢村さんは何を言っているか分からなかったですが…(苦笑)。
沢村さん
僕が完璧にできていたから、ちょっとやきもちを焼いているね(笑)。
小林さん
ちょっとジェラシーを感じています(笑)。でも、皆さんフランス語をものすごく勉強をされていて、すばらしいと思いました。もしかしたら、日本語だったらもっとボキャブラリーがある時もあったかもしれませんが、フランス語だからこそ良い表現になる時もあると思うんです。そこを本当にうまく表現されていて、しみじみと「すごい世界だな」「さすがだな」と思いました。ここにいらっしゃる皆さんはトップの人たちなので、「だからトップにいるんだな」と、刺激を受けました。
MC
木村さんは特にフランス語を話すシーンが多かったと思います。
木村さん
特別多くはないと思います。今、圭も言ってくれましたが、日本語ならもっと違う形になったというのは、確かにそうだと思いました。でも、僕らにはその選択肢がありませんでした(苦笑)。「グランメゾン東京」の時からずっと、お互いの良いところや素敵なところ、ウィークポイントを理解し合っている共演者の皆さんが、 本当に踏ん張ってフランス語と向き合っているのを見ていました。京ちゃん(鈴木さん)も、ミッチー(及川さん)も、いっくん(沢村さん)も、本当に大変だった。(笑顔でうなずき合う)
「今日は一日、倫子さんがたくさんフランス語の表現がある撮影をする」となると、僕ら野郎三人で一箇所に集まって、京ちゃんのことを見守っていたこともありました(笑)。かたや、相沢役のミッチーが「今日はフランス語が多いよね」という日もあって…。
及川さん
長かったね、あのセリフ(苦笑)。
あのシーンは、終わった時に拍手をもらったので、達成感で本当に涙が出そうだった。というかちょっと泣いていた!
木村さん
最初に台本を受け取った時は、フランス語で表現するところもすべて日本語で書かれていたので、「すごく楽しい話だな、温かいお話だな」と思っていました。その後に完成した台本を見たら、逆の開き方になっていて、「あれ?」と思ったら、ワードがフランス語で表記されていました。あれは、一回台本を置きますよね。(登壇者の皆さん&会場のお客さん:笑)
そのことをすごく思い出しました。そして、僕らにフランス語の指導をしてくださったスタッフの皆さんが、本当に諦めないでくれました。劇中の登場人物と同じぐらい“諦めなかった人たち”が現場にも常に存在していました。だからこそ、この作品が出来上がったと言っても過言ではないと思います。いろいろなセクションのスタッフの皆さんがいらっしゃいますが、フランス語指導で入ったスタッフの皆さんには、感謝してもしきれません。
MC
劇中では、コロナ禍など、リアルな時の流れも描かれています。コロナ禍を経て、どのような作品になったと感じていますか。
木村さん
コロナ禍は、全世界の皆さんが実際に共通して体感したことですし、「グランメゾン」という作品は、飲食の世界を舞台にしたお話になります。「グランメゾン」をシリーズ化することが決まったのは、コロナの前でした。
「グランメゾン東京」のライバル店として、劇中に登場する「gaku」というお店の料理監修をしてくださっていた「イヌア(INUA)」さんは、コロナ禍を経て、お店がなくなってしまいました。飲食業界の皆さんには、当時いろいろな判断、我慢、乗り越えなければいけない壁が多々あったと思います。だから、フィクションとはいえ、そこを無視して「楽しいね」「美味しいね」 「幸せだね」というだけのお話にはできないという思いがありました。その部分を、スペシャルドラマで思い切りやらせていただきました。過去に三つ星を獲得した「グランメゾン東京」が、すべての星を失ったところからお話がスタートすることで、僕らも現場で踏ん張りがいがありました。無理やりにでも「これでもか」という力を込め、「ピンチはチャンスにするしかない」という思いが、今回の流れになっていると思います。
MC
小林さんのパリのお店「Restaurant KEI」には、皆さんも行かれたそうですね。
鈴木さん
最高に美味しかったです。私たちは、5年の歳月をかけて一つの役を演じていたおかげで、要所要所で見る場所が違いました。役として「Restaurant KEI」にお邪魔して、お食事をいただくというのはなかなかないことなので、得難い経験ができました。
沢村さん
僕が演じているのは、ここにいる中で唯一ギャルソンなので、またみんなとは見る場所が違うんですね。当日は、実際に営業している厨房を特別に見せていただきました。すごかったです。料理って、こうやってみんなの前に届くんだと驚きました。僕たちギャルソンのいる場所は、ステージの上なんです。料理を受け取ってはまた違うステージに料理を運んで行くんです。そこまでのみんなの阿吽の呼吸がすごいんです。サッカーの試合やバスケの試合を見ているみたいでした。何も言わなくても、ノールックでパスをすることがあるじゃないですか。そういったことが厨房の中で行われていました。全く澱みなく、みんなの呼吸がピタッと一つになって、それを繰り返していくんです。コースだったら、前菜からメイン、最後のデザートまでをテーブルごとに全部やらなければいけないので、これはすごいなと思いました。優雅な世界ではなく、どちらかと言うとアスリートたちの集まりのようでした。それを実際に見ることができたのは、このドラマに関われて良かったなと思うことの一つです。
及川さん
僕も美味しくいただきました。ただただ美味しく(笑)。料理はもちろん、ペアリングのワインも美味しいんですが、レストランでお客さんに提供しているのは、何よりも“幸せな時間”なんだなと思いました。最高の一時でした。酔っ払いましたが、本当に幸せでした。ありがとうございました! ごちそうさまでした!
MC
木村さんは、小林さんから影響を受けたことはありますか?
木村さん
圭の存在ですね。アジア人としてパリで初めて三つ星を獲得した、彼が実在してくれている。その事実があるだけで、僕らは「こっちに進んで良いんだな」という指針を保てました。もちろん監督がいてくれて、「このシーンはこういうシーンです。皆さん、お願いします。本番!」と言って撮影は進んで行きますが、一つ一つ積み上げていくブロックは、本作の中(フィクション)で作っていくお話です。僕らが積み上げていったものは発泡スチロールのレンガだったかもしれないけれど、小林圭という実在のシェフがいてくれて、彼が色をふわっとかけただけで、発泡スチロールであったはずのレンガが、本物に見える感じがするんです。
沢村さん
でも、現場で最初に尾花が料理を作るところを間近で見た時に、(木村さんと小林さんが)同じ動きをしていると思った(笑)。あの時から尾花は完成されていたと思います。やっぱり(木村さんは)二十年くらいずっと料理を(バラエティ番組で)やっていたじゃないですか。(会場:笑) だからどこか、料理人になっているところがあるんですよね。盛り付けや、ナイフ、包丁を入れるところなど、圭くんの動きとそっくりで、「あれ、似ている」と思った。さすがだなと思います。
木村さん
はい…二十年以上、バラエティ番組で料理を作っていたので…。(会場:笑) その時に、ナイフの持ち方、野菜、肉、魚介への向き合い方などいろいろ教えてくださっていた方に、「グランメゾン東京」のテレビシリーズを撮影していた時を含め、今回もずっとサポートしていただきました。お亡くなりになった服部(幸應)さんも、ずっとサポートしてくれていました。本作は、僕らと同じタイミングの0号試写で観てくださって、「すばらしいものができましたね」と言ってくださったのはすごくうれしかったです。
MC
ここで生中継をご覧の方とは、お別れの時間となりました。木村さん、メッセージをお願いします。
木村さん
(もう終わり?と名残惜しそうな感じで)ええ! いつの日か、実現してほしいと思っていることがあるんです。僕らが登壇して、いろいろなお話をしますが、本作を観てくれた皆さんからのフィードバックというか、皆さんの思いがちゃんと届くような現場をいつの日か実現できたらうれしいなと思っています。今は一方通行の中継になっていますが、この一方通行をいつの日かちゃんと改善したいなと思うので、また皆さん付き合ってください。今日は本当にありがとうございました。(会場:拍手)
■フォトセッションには、小林さんが監修を務め、オープン1年目にして「ミシュランガイド東京2025」で初の一つ星を獲得した「Héritage by Kei Kobayashi(エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)」特製のエッフェル塔ケーキが登場! 華やかなケーキで、公開初日をお祝いしました。
■会場からも、運ばれたゴージャスなケーキを見て「すごい!」と、声が上がり、興味津々に細かいところまで目を凝らして見ていました。
MC
ケーキを用意してくださったのは、小林さんです。
小林さん
尾花さんと倫子さんが「三つ星を取ろう」と誓った場所から見えるエッフェル塔をデザインしました。ドラマから映画を観ても、自分としてはすごく印象に残った場所です。僕自身、パリで一番好きな風景はやはりエッフェル塔です。ぜひ皆さんに『グランメゾン・パリ』を届けたいというメッセージを込めて、作りました。
(ケーキと一緒に登壇した小堀真弓さんを紹介しながら)今一緒にやっているリッツカールトン東京にある「Héritage by Kei Kobayashi」のシェフパティシエが、一生懸命作ってくれました。心から感謝です。(登壇者の皆さん&会場:拍手)
小堀さん
圭さんからご依頼をいただいて「『Héritage』ならではのケーキを」ということでしたので、私がパリのお菓子屋さんで働いていた時のお祝い事と言ったらクロカンブッシュのシューを使ったキャラメリゼのケーキしか思い当たりませんでした。なので、今回こちらを作りました。(会場:拍手)
木村さん
飴細工がすごい!
沢村さん
この(飾りの)バラも食べられるんですか?
小堀さん
はい、もちろんでございます。
沢村さん
ちょっと食べてみる? (会場:笑)
木村さん
こういうものを作ってくれることに対しても、(小林さんは)本当に手を抜かないんですよ。シェフだと知らなかったら、「このパンクバンドの人はどなただろう?」と思うような、(小林さん&会場:笑) カジュアルで、優しい圭なんです。でも、料理のことに関しては本当に手を抜かない。こういうところも、自分の作業に反映させたいなと思わせてくれる人です。
(しみじみとケーキを眺めて)いや、すっげえなあ、これ…。本当にありがとうございます。(会場:拍手)