映画『8番出口』完全攻略舞台挨拶
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完全攻略舞台挨拶
映画『8番出口』がついに興行収入50億円を突破! 11月9日に東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて「完全攻略舞台挨拶」と銘打っての舞台挨拶が開催されました。 当日は、二宮和也さん、河内大和さん、川村元気監督が登壇し、撮影時の裏話などを交えつつ、撮影の再現も行ないました。こちらのイベントの模様をレポートいたします!
二宮和也さん
迷う男役
河内大和さん
歩く男役
川村元気監督
二宮さん
本日もお越しいただきましてありがとうございます。そして、全国の皆さんも、ありがとうございます。今日はもう、全部しゃべっても良いという勢いで、いろいろなことをお話したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
河内さん
いや、今日もこんなにたくさんのお客さんがいらっしゃるとは思っていなかったので、少しびっくりしています。何回も何回も観てくださっている方もいらっしゃるとのことで…。全国の皆さんもよろしくお願いします。
川村監督
本日はどうもありがとうございます。ちなみに、この中で8回以上観た方って、いらっしゃいますかね。(会場から手が挙がる)…結構いらっしゃる。信じられない(笑)。
今日は本当に全部しゃべっても良いということなので、裏話も含めて話していければと思います。よろしくお願いします。
MC
二宮さん、河内さん、まずは今日の衣装についてお聞かせください。
二宮さん
これは、作中で着ていた衣装ですね。
MC
撮影が去年の11月なので、着るのは1年ぶりくらいですね。
二宮さん
僕はそうですね。ただ、河内さんはずっと着ていますよね。
河内さん
はい。ただ今日の衣装は撮影の時のものとは少し素材が違います。
MC
監督も含めて、衣装に関するこだわりを教えていただけますか?
川村監督
今日は、現場で着ていた衣装を着て来いってことだったので…。
MC
(監督の衣装は)ちょっと分かりづらいかもしれません…。
二宮さん
“監督役”として来ているので(笑)。
MC
なるほど! だからヘッドフォンなども…。
川村監督
でも、割と現場ではこんな感じでした。
河内さん
監督は、必ず黄色のものを何か入れていました。
川村監督
二宮くんの衣装のこだわりは、このパーカーが少し紫っぽいのですが、黄色と紫は補色(色相環で正反対に位置する色の組み合わせで、メリハリのある印象を与える)なので、一番きれいな色の組み合わせなんです。(黄色い)看板は、もう一人の俳優だと思っているので、靴も紫にして、この二つを補色にしたのは少し狙いがありました。あと、ジャケットも最初はただのグレーだったんですが、スタイリストの伊賀大介さんに、ファスナーを付けてもらいました。
MC
もともとはなかったんですか?
川村監督
ちょっとキラキラするファスナーにしてもらって、最後の電車の窓で通過するライトが、ここに反射するように、わざわざつけてもらいました。
河内さん
知らなかった。
二宮さん
わざわざ付けたんですよ!
MC
二宮さんもいろんな提案を?
二宮さん
役名がないので、あまり目立つようなものとか、象徴的なものはない方がいいねっていう話はしました。ただ、ずっと一人で出ている人があまり地味すぎるのも…というのもありまして…。
MC
靴にもこだわったそうですね?
川村監督
靴のオーディションをしました。二宮くんの靴は、いろんな音を試したし、途中で「キュッ」って鳴る靴を選びました。
河内さんの靴は、無言で歩いている時の革靴と、人間になってお芝居をする時では、違う革靴です。そこに、音響さんが後から靴音を付けているんです。あとは、河内さんはシャツの下に、実は肉襦袢を着ています。普段はもっと痩せているんですよ。
二宮さん
スリムなんです。
河内さん
お腹もお尻も入っているし、太ももにも入っています。
二宮さん
パツパツにしたかったんですか?
川村監督
河内さんが、“おじさん”というには、シュッとし過ぎていたんですよね。それで、お腹やお尻がプリッとするように入れています。
二宮さん
暑い暑いって言っていたもんなぁ…。
川村監督
何もしていない二人に見えて、実は細かい部分でいろいろしています。
河内さん
最初の肉襦袢合わせの時に着たのが、すごく筋肉マッチョなムキムキおじさんだったのはおもしろかったです(笑)。
MC
そのかばんも、本物ですか?
河内さん
本物です。
MC
中には何が…。
河内さん
秘密(笑)。
川村監督
台本を入れていましたよね?
河内さん
入れていました。
MC
河内さんは、この衣装の時はしゃべってはいけないとか…。
河内さん
そうです。この衣装でしゃべっているのは初めてですね。
二宮さん
SNSですらしゃべっていないですもんね。
MC
さて、映画『8番出口』は、昨日11月8日までで、なんと興行収入50.7億円を突破しました。正真正銘の異変級大ヒットになっております。正直に言ってください。こんなにヒットするとは思っていなかったですよね、二宮さん。
二宮さん
思っていなかった。もちろん面白いものができたとは思っていたし、たくさんの方に観てもらいたいと思っていました。でも、50億みたいな明確な数字はなかったですよね。だから、それを聞いてびっくりしています。
MC
初日舞台挨拶では「これが失敗したら、東宝出禁になるかもしれない」と言っていましたよね。
二宮さん
言っていたね(笑)。「宣伝部がおかしくて…」みたいなことを言っていましたね。
MC
「8」にこだわっている宣伝部が、今日もわざわざ(生中継の映画館の数を)88館に限定しているわけですから…。
二宮さん
初週の興行が9億だったのを悔しがっていたとか…。
MC
「8億突破!何で9億いっちゃうんだ…」って言っていましたから。
川村監督
8.8億をめざそうとか、冗談半分で言っていましたよね。
二宮さん
冗談で言っていたのに、こんな形になっちゃうのは驚きですよね。
MC
二宮さんと監督も「良い作品を作ろう」という気持ちであって、別に「ヒット作を作ろうぜ!」じゃなかったと…。
川村監督
もちろんヒットしたらうれしいなと思っていましたが、だいぶ変な作品じゃないですか(笑)。だから、8回も観た人はさらに変なお客さんだと思っています。
二宮さん
すごいですよ。
川村監督
まあ、こういう作品も日本映画の中にあっても良いんじゃないかっていうので集まったチームだったので…。やっぱり日本の観客って少し変わったものが好きなんだなと思いました。
MC
二宮さんはどのあたりで「これヒットしていくんじゃないか?」と感じましたか?
二宮さん
やっぱり河内大和が売れてきたっていう…。これね、もう売れました。
河内さん
ちょっとずつ…はい。本当に『8番出口』のおかげで、ちょっとずつですよ…。これからも、頑張ります。
川村監督
CMとかドラマのオファーがいっぱい来ているって、裏で自慢をされました。
河内さん
ありがとうございます(笑)。
二宮さん
でも、本当にこの作品がなければ、僕も呼ばれないようなところに呼ばれるようになりましたからね。“『8番出口』の人”って言われることは多くなりましたよね?
河内さん
僕はもう『8番出口』の象徴ですからね(笑)。
MC
河内さんは外を歩いていると声をかけられるとおっしゃっていました。
河内さん
だいぶ多くなりましたね。帽子をかぶっていると、そこまででもないですが、帽子を脱いだ瞬間に「あぁ…!」ってなります。
二宮さん
そりゃそうですよね。
河内さん
あのおじさんが街中にいると思わないですもんね。
MC
改めて、本作のヒットを受けて、周りからの反応や反響はありましたか?
川村監督
そうですね。僕はやっぱり海外の人に思ったよりも受けていると思いました。今、韓国ですごい大ヒットをしていて、韓国の友だちからいろいろな写真とか送られてきます。
そういえば、河内さんは韓国に一人で行って「無言キャンペーン」をして帰ってきたとか。
二宮さん
あれは、本当にすごい 。
MC
キャンペーンなのにしゃべらずに帰って来るという…。
河内さん
舞台挨拶でもしゃべらなかったです。
MC
アンニョンハセヨとか言わない?
河内さん
言わないです。無言です。
MC
カムサハムニダも…。
河内さん
言わないです。
MC
それで成立してしまう?
河内さん
成立してしまいましたね。
二宮さん
キャラクターとして行っていますからね 。
MC
二宮さんは、映画館で観たりとかは?
二宮さん
僕は行きました、映画館 。(河内さんに)行きました?
河内さん
僕も行きましたよ 。
二宮さん
やっぱり映画館で観るべき作品なんだなっていうのは、すごく痛感しましたね。確認の際に端末で本作を観ましたが、やっぱり映画館のスクリーンで観るべき作品だなと思いました。「映画館で観るべきだ」っていうワードはすごくたくさんいただいた印象があります 。
MC
河内さんは映画館に行かれてどうでしたか?
河内さん
僕は、6歳の息子と一緒に行ったんですが、息子は「8番出口」を全部知っていて、僕が出ているのも知っているから、ずっと笑っていましたね。ホラーなのに。二宮さんが振り返って僕が笑っているところでも、ゲラゲラ笑っていました。
MC
韓国でも大ヒットという話が出ましたが、世界でも話題を呼んでいます。カンヌ国際映画祭、トロント国際映画祭、釜山国際映画祭で上映され、シッチェス・カタロニア国際映画祭では中田ヤスタカさん、網守将平さんが最優秀音楽賞を受賞しました。世界で通用するコンテンツということですね。
川村監督
原作のゲームのアイディアや、ビジュアルがめちゃくちゃ面白かったし、日本の変わったホラー、スリラーへの期待というのも合わせて盛り上がっています。本作をご覧いただくと、ギョッとする部分やどんでん返しがあるので、そこも含めて楽しんでいただいています。今後、中国とアメリカでも上映されるので反応が楽しみです。
MC
河内さんはまた歩くんですね?
河内さん
歩かせていただきます(笑)。
MC
二宮さんは、海外に行かれていかがでしたか?
二宮さん
違いがあるわけじゃないのですが、自分たちが作ったものを、違う国の人たちも同じように楽しんでもらえるのは、映画というコンテンツには、言語がぶっ飛ばされる瞬間があるのだな、ということを感じましたね。
MC
釜山では「アクターズハウス」というスーパースターだけが選ばれる舞台に立ちました。
二宮さん
あの“スーパースターのみ”がね(笑)。
MC
いかがでしたか?
二宮さん
すごく真面目な場でした(笑)。
MC
行く前はちょっとお茶らけたこともおっしゃっていましたが…。
二宮さん
そんな場じゃなかった(苦笑)。ちゃんとした場でした。いろいろな過去の作品が出てきたし、いろいろなことを聞かれました。もう何か怖かったです。『8番出口』のエピソードを何個か用意して行ったんですが、そんなもんじゃ済まされなかったです。ちょっとした話題で済むような場ではなかったです。
MC
河内さんも海外の反応はいかがでしたか?
河内さん
ポーランドやイギリスの方からも「すごく盛り上がっている」と連絡が来ましたし、台湾もね。それは肌で感じました。韓国では、二宮さんのビジュアルが大都会の交差点にドーンと出ていました。何メートルあるのか分からないくらい大きいのが…。それくらい、めちゃくちゃ盛り上がっていました。
川村監督
リメイクのオファーがたくさん来ていて、もう10以上来ています。
二宮さん
ええ! すごい…。
川村監督
アメリカやアジアの国からも来ています。ただ、「どうやるの…?」みたいな。おじさんはどうなるんだろう?
河内さん
世界各国のおじさんが…(笑)。
川村監督
もしくは、どの国の作品にも河内大和が出てくるのも面白いかも…。
河内さん
(笑)。マジっすか…。
二宮さん
それはそれで面白いですよね。
河内さん
面白いかもしれないけれど、僕は大変(苦笑)!
二宮さん
でも、僕らは面白いですよ。
川村監督
びっくりするくらい具体的なオファーが来ています。地下鉄は世界中、ニューヨークでもパリでもロンドンでも上海でもありますからね。
二宮さん
へぇ、すごい!
MC
皆さん、後ろを振り返ってください。まさに撮影したセットの部分ですね。
二宮さん
ここがメイン通りですね。
MC
今日は、「完全攻略舞台挨拶」なので、ここで撮られたシーンなどについても、こんな風に撮っていたなどといった話をうかがいたいのですが…。
川村監督
せっかくコスプレしているから、撮影の再現をやってみましょうか?
二宮さん
(河内さんに向かって)コスプレですもんね 、本当にね 。
河内さん
いや、あなたもコスプレです(笑)。
MC
(ポスターを見る二宮さんに)ポスターの順番とかもう完全に覚えているわけですよね?
二宮さん
あ 、僕はその場で見て言っているだけなんで…(笑) 。
河内さん
二宮さんはセリフを覚えていないです 。見たものを言っているだけなんです。
二宮さん
河内さんが向こうの角にいて、僕がこっちにいて、僕が三歩目でしたっけ?
川村監督
二宮さんが入って三歩目で、角から河内さんが出てくるっていうルールが決まっていたんです。
二宮さん
だから、僕が出てきて三歩目になると…。
河内さん
出てきて、僕はここのタイルの何個目で曲がる…。
二宮さん
(歩きながら)その時に、出口8、歯医者、エッシャー、司法書士、ここで…。
二宮さん&河内さん
おじさん…。
河内さん
ここで、「おじさん」ってなるように、僕は速度を合わせて歩きます。
二宮さん
毎回少しずつ、歩くスピードを河内さんが、僕のお芝居に合わせて変えてくれているんですよね。
MC
二宮さんがまたその場で自由演技するから。
河内さん
そうそうそう(笑)
二宮さん
(二宮さんと河内さんが元の位置に戻りながら)僕はもう毎回楽しいんです(笑)。
(今度は少し早く二宮さんが歩くので、河内さんは合わせて早く歩きながら)…歯医者、エッシャー、司法書士…
河内さん
二宮さんが早くなったら早く歩かないといけない…。
二宮さん
…歯医者、エッシャー、司法書士、おじさん(この時に二人がすれ違う)…。
河内さん
(二人がすれ違うと、河内さんがゆっくり歩く)で、ここからゆっくり歩く。
二宮さん
異変がない時はスルーするじゃないですか。その時は、河内さんは(壁にある)このドアから出ていって猛ダッシュです。
河内さん
このドアが開くようになっていて、そこを抜けて自転車に乗って移動します。
二宮さん
そもそもメイン通路のセットが二個あるんですよね?
川村監督
そうです。通り過ぎて抜けたら、チャリが待機していて、全速力で次のセットの定位置に戻って、息を整えて、あたかもループしているかのように普通に出てくるんです。
河内さん
だから、僕はすれ違った瞬間に急いでドアから出て…。(自転車に乗って移動するジェスチャーをしながら)
二宮さん
だから、後ろでガタガタガタガタ…ってなっている中、僕は振り向いて「いない」とか、やったりしながら…次のセットに向かうんです。で、続けて、歯医者、エッシャー、司法書士、おじさん…って。
だから、(カットを割らずに続けて)最大3回撮れるんですよね。
川村監督
3ループまでは撮れるんですよね。
MC
言うのは簡単ですけれど、おじさんは超大変ですよね。
河内さん
大変ですよ。
二宮さん
異変があって戻ると、そこでずっとおじさんは携帯をいじっているんですよね。
川村監督
撮影の最初の頃は、ダッシュしてもらっていたんです。
河内さん
最初は自転車がなかったので、ものすごいスピードで走っていました(笑)。本当にダッシュしないと間に合わないんだもん。二宮さん早いから…。
川村監督
最初、二宮くんが容赦なくて、あまり間をためずに行くから、河内さんが間に合わないんですよ。角を曲がって出て来た時にすごく息が切れているから「NGだ」って(笑)。
二宮さん
少し顔が赤いなみたいな。
MC
なぜかと言うと、無理なことをさせているからですよ。(登壇者の皆さん:笑)
川村監督
それで途中から自転車が導入されました。
二宮さん
自転車は革命でしたよね?
河内さん
革命でした(笑)。もう自転車様々です。
MC
追い抜いて 振り返ると、おじさんがニヤッと笑っているっていうあのシーンは、観ている側もビビりますが、撮影はどのように…?
川村監督
結局、(物理的に)二宮さんの後ろをカメラがついていっているんですね 。
二宮さん
確かこのシーンでは、あんまり確認していないんですよ。で、すれ違ったら、そこで足が止まるんです。
川村監督
二宮さんの後ろにカメラがいるので、河内さんがうまくカメラを避けてくれるんです。
二宮さん
河内さんがカメラの後ろをついてくるんです。
河内さん
そのままカメラの後ろについて行って…。
二宮さん
(カメラがすっと抜けると)こうなった時に…。(河内さんが笑顔で立っているのを見て爆笑する二宮さん)
…その後に、僕が驚いて、行くんだよね。(川村監督は二宮さんの後ろを追いかけるように撮影をする)
川村監督
だから、裏で結構ジタバタしている作品です。
二宮さん
めちゃくちゃジタバタしていますよ。
川村監督
あとは、「距離をもう少し近くで」という時に、河内さんは小走りで…。(瞬間的に近づく)
河内さん
三回くらい振り返るシーンがありますよね。振り返る度に近づいてくるような…。だから、「進む」→「止まる」→「笑う」→「進む」→「(距離を詰めて)止まる」→「笑う」という感じで…。
MC
だるまさんが転んだシステムなんですか?
河内さん
そうそうそう!
二宮さん
だって「ワンカットで撮る」って言うんだもん 。
川村監督
カットを割っちゃうとつまんないんです。
MC
リアルタイムで本当にゲームみたいにずっと繋がっていないといけないと…。
川村監督
そうです。なので、次に本作を観る時に、その三回振り返るシーンを観る時は、河内さんの顔を見てもらうと、顔がすごくピクピクしています。
河内さん
僕の顔の筋肉にも限界がありますからね(苦笑)。
二宮さん
それこそ、僕の後ろ――皆さんと僕が同方向を見ている時は、僕の後ろには看板とかを持ったスタッフがめちゃくちゃいますからね。
川村監督
二宮くんが引き返したら看板が替わっているのは、スタッフが、二宮くんが戻ってくるまでに看板を飾り替えているだけなんですよ。で、戻ってきた時に、あたかも最初からそうなっていた風に撮っているだけなんで、CG でも何でもないという…。
二宮さん
あの出口のご案内がついている通路のところの上に「非常口」のマークがあるんですが、あの絵も逆転するんですよ 。
川村監督
(セットの転換)スピードを上げるために、クルって回すと逆側になるように美術さんに作ってもらいました。あとは、コインロッカーを移動して…。
河内さん
(会場の皆さんに向かって)コインロッカーも移動しているんですよ。
二宮さん
すごくない!? コインロッカーも移動させて、あたかも入口のように見せているんです。
川村監督
全部、人力です。あの「少し気持ち悪い感じ」は、おそらくCGじゃなくて、実際に人でやっていることの気持ち悪さが出たんじゃないかなと思っています。
二宮さん
現場はアナログなんですよ。「危ない危ない!」っていうスタッフの声も聞こえるから(苦笑)。でも、それを整音して、ちゃんと物語にすると、CGも使ってないし、カットも割ってないから妙に見えるんですね。
川村監督
コインロッカーが倒れそうになって大きな音が出ても、二宮さんは普通に芝居をしていて…。
二宮さん
そういえば、河内さんが止まったり動いたりする段取りはしても、実際の撮影現場は、元気さんですら見ていないくらい、人が入れなかったんです。
MC
じゃあ、撮影してからモニターを見ながら「これはいい」とか…。
二宮さん
「間に合っている」「間に合っていない」とかね。…この作品はタイミングが“妙”だったんで…。
MC
河内さんも、自由に演技をのびのびやっている人に合わせなきゃいけないから大変だったのでは?
河内さん
でも、毎回違うから楽しかったですよ。本当に微妙に変えなきゃいけなくて、さっきと同じかなと思って(ゆっくりと歩く)歩いていたら、速い速い速い(河内さんも歩くスピードが速くする)ってなるんですが、それを視界の端で確認しながらやっていました。
あと、二宮さんの顔を撮るようにあっちから撮影して来る場合、カメラの位置が、僕の通路なんですよ(苦笑)。だから、カメラを避けて歩かなきゃいけなくて。
二宮さん
……おじさん(すれ違いながら指差し確認)。
だから、やってみないと分かんないんですよね。やってみて、タイムアタックをしてみたら「このドアが開いたらうれしいな」みたいなことが分かったんですもんね?
MC
最初は開いていなかったんですか?
二宮さん
その後の異変で開くドアなので、そのドアが開くことが分かったんですよね。そういうことを結構やりましたよね。
MC
他にも、こんなことがあったというのはありますか?
二宮さん
あぁ、でもなぁ…。いや、僕が「すごいな」と思ったことなんだけれど、あまり言わない方が良いかなって思っちゃったんだよね。
川村監督
えー、どこだろう。
二宮さん
(マイクを外して)オープニング…。
川村監督
別に良いんじゃないですか(笑)?
二宮さん
じゃあ、監督から説明してください。河内さんも分かっていないと思うよ。
川村監督
まず、オープニングの電車の中って、洋服が全員グレーなんですよ。赤とか黄色の人はいないんです。二宮さんもその中の“一人”として描いています。だから、リアルに見えて、実はアンリアルな世界なんです。最初は、東京メトロさんの新木場にある操練所に地下鉄を引き込んでもらって、そこで撮影したんです。二宮くんが電車を降りる瞬間、ヒカキンが現れるまで…。
MC
「ヒカキンどこにいるか問題」もありましたね。
川村監督
その、ヒカキンが現れるまでの間に、東新宿駅に変わっているんです。
河内さん
そうなの?
川村監督
カメラマンの今村くんの技術がすごくて、人力で電車の中でのパン(カメラを固定した状態で横に動かすこと)のスピードと、東新宿に停めた電車の中でのパンのスピードを完璧に合わせてくれたんです。
二宮さん
あれはすごいですよね。
川村監督
だから、最初は新木場から東新宿駅に移動して、階段を登って、スマホがぶつかって落ちるんですが、スマホが落ちていく間に代々木公園駅になっています。
河内さん
あそこで…? そうなんだ!「どうやっているんだろう?」って思っていた!
川村監督
スマホが落ちていく間に、代々木公園駅に変わるわけです。
二宮さん
これ、怖くないですか…(笑)?
ちなみに、最後に8番出口に下っていくところも代々木なんですが、あの場所は、僕がずっと通っていたところです。NHKから自宅に帰る時にいつも使っていた道でした(笑)。
川村監督
懐かしい?
二宮さん
懐かしいなと思っていました。
でも、撮影に本物を使わせてくれるっていうのは、なかなかないですよね?
川村監督
やっぱり、こうやって本物から始まっているんで、あの通路にワンカットでいくほうが、「実際にありそうだな」っていう、ちょっとした怖さがありますよね。代々木公園の階段を上っていったら8番出口の通路に繋がっているという。
MC
最後に二宮さんからメッセージをお願いします。
二宮さん
公開して70日を超える日数で、こうやってイベントが開けるというのは、本当に観に来てくださった皆さんのおかげだと思います。ありがとうございます。全国の皆さんにも観ていただかないと、中継を繋げることはできなかったと思います。僕らも「こんなことになるとは思ってもいなかった」としか言えませんが、皆さんに楽しんでもらえた反応や、本作が世界中で観てもらえていることとか、本当にうれしいことばかりです。
これから先、皆さんが、映画館に足を運んだ時に「あれ?河内大和が出ているじゃん!」「ゲンキ・カワムラが新作撮っているじゃん!」「小松菜奈ちゃん出ているんだ!」とか、紐づけていってもらえたら、また新しい世界に出会っていけると思います。僕も頑張りますが、そういう一助になれたら良いなと思っています。皆さんとの出会いが、この『8番出口』だったことに本当に感謝しています。またどこかで、違う形で出会った時は、応援していただきたいと思っています。
これからも頑張っていきますので、また皆さんと劇場でお会いできることを目標にこれからもやっていきたいと思います。これからもよろしくお願いします! 本日はありがとうございました。