映画『あの人が消えた』完成披露上映会
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完成披露上映会
2023年に放送されたドラマ「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系列にて放送)で注目を集めたクリエイター水野格による完全オリジナル脚本の“先読み不可能”ミステリー・エンターテインメント『あの人が消えた』の完成披露上映会が9月4日に東京・日比谷のTOHOシネマズ日比谷にて開催されました。水野監督をはじめ、高橋文哉さん、田中圭さん、北香那さん、坂井真紀さん、袴田吉彦さん、染谷将太さんが登壇しました。登壇陣がネタバレを回避しつつ、ギリギリのラインを攻めながら本作の魅力を熱弁しました。こちらの舞台挨拶の模様をレポートいたします!
高橋文哉さん
丸子役
田中圭さん
荒川役
北香那さん
小宮役
坂井真紀さん
長谷部役
袴田吉彦さん
沼田役
染谷将太さん
島崎役
水野格監督
MC
水野監督、構想から四年と聞いております。脚本も監督がオリジナルで書き上げたこの作品がついにお披露目を迎えました。
水野監督
本当にありがとうございます。2020年のコロナ禍の時に企画を立てて、そこからいろんなことがあり、四年が経っての公開となりました。それなりに時間はかかったんですが、だからこそ最高のメンバーで作れました。
MC
高橋さん、本作はどんな作品に仕上がっていますか?
高橋さん
台本を読んだその日から、「これを映像に落とし込むには、どれだけ緻密な計算が必要なんだろう」と思っていました。現場で撮影をしている時も、スタッフやキャスト、全員が細かい部分まで突き詰めて作品を作っている姿を見ていました。完成後にスクリーンで本作を観た時に、「ここまできれいに決まるのか!」「ここまで観終わって気持ちの良い作品があるのか!」と思いました。観終わって、本当に気持ちが良かったですね。いろんなものがカチカチとハマっていくし、しっかりと何度もひっくり返されるんです。演じていても、観ていないシーンもあったので、すごく楽しく観られました。
MC
主演として挑みましたが、撮影前はどんなお気持ちでしたか?
高橋さん
ドキドキしていましたね。この素敵なキャストとスタッフの皆さんの中で、真ん中に立たせていただくというのは、今でも気が引けます。現場では、僕が演じる丸子だからこそ出るものをちゃんと作っていきたいと思っていました。丸子を軸に物語が進んでいくので、いろんな人と日々撮影でご一緒しました。その人たちに当たって砕けながら、いろんな人からエネルギーをいただきながら撮影に挑みました。今日、この日を迎えられて良かったです。
MC
田中さんとの再共演でしたが、先輩の姿はいかがでしたか?
高橋さん
安心感がありました。四年ぶりくらいの共演で、圭さんの主演作(「先生を消す方程式。」/ 2020年テレビ朝日系列にて放送)で共演させていただきましたが、まさか僕の主演作でもう一回ご一緒できるとは当時は思っていなかったです。
MC
田中さんは、高橋さんが主演と聞いてすぐに出演を決められたそうですね?
田中さん
はい! 四年前に共演した時は、慣れない現場で慣れないお芝居に、真っすぐひたむきに向き合っていて、すごくかわいいなと思っていたんです。とてもトリッキーな現場だったので「大変な中、頑張っているな」と思っていました。そこから他の作品でも、どんどん頭角を現して、キャリアを積んでいくのを見ていました。
そして僕が出演を決めた一番の理由は、ある(急に流暢な発音で)Personal Trainerがいるジムがあるんですが…。
MC
今、急に流暢になりましたが…。
田中さん
ごめんなさい。深い意味はなかったんですが、あるPersonal Trainerがいるジムがあって、そこに文哉が来ていたんですよ。「お、文哉!」って挨拶しつつも、まだ若いから「若いうちからジムなんて行っちゃダメだよ!」って怒ったら、文哉が「いや、圭さんみたいな体になりたくて通っているんですよ。」って言ったんです。そこで僕はもうズキュンと…(笑)。
高橋さん
二年くらい前ですね。
田中さん
「お前、本当か?」と言いつつ、「それはうれしいけれど、ダメだよ、若いんだからジムなんか行っちゃいけない。」と言いました。でも、それがすごくかわいくて、それからひいきにしていました(笑)。
高橋さん
ありがとうございます。それからジムには一回も行っていません!
MC
北さんが演じた小宮も物語のカギを握る難しい役だったと思います。
北さん
そうですね。話せないことはいろいろあるんですが、小宮という役は、生活感がないというか、普段何をしているのか、全然バックボーンが見えない人なんです。なので演じる中ではいろいろ考えて苦戦しました。できるだけまっさらな、特徴もなく、そこら中にいそうな女性を演じる気持ちで演じたんですが、それが逆に難しかったですね(苦笑)。あまり特徴のない役を演じるって難しいんだなと感じました。
MC
一方で坂井さんが演じた役は、非常にクセの強い役ですね。
坂井さん
そうですね(笑)。とにかく監督から「猫が大好きな人なんです。」とすごく言われました。それでおしゃべりもしちゃうみたいな役です。
MC
袴田さんが演じた沼田もクセの強いマンションの住人です。実際に演じてみていかがでしたか?
袴田さん
そうですね、本作を観たら分かると思うんですが、ちょっと…うるさいというか、わちゃわちゃした役です。撮影も二、三日だったんですが、わちゃわちゃして終わった感じでよく分かっていないんです(笑)。(登壇者の皆さん:笑)
高橋さん
わちゃわちゃして終わったみたいですね(笑)。僕がクランクインした日の一番初めの撮影が、袴田さんとのシーンでした。袴田さん演じる沼田がうるさくて…(笑)。そこに引っ張られそうになりながら、丸子という役を掴むために、当たって砕けて成形して…を繰り返しました。でも、空気感とか含めてすごく助かりました。
MC
染谷さんは、「ブラッシュアップライフ」に続いての水野監督作品でした。
染谷さん
いやぁ、台本を本当に何度も読み返しました。いろいろだまされて、何回も読み返して「ここがこうで、あぁ!」っていうのを、家で繰り返していましたね。水野さんはメチャクチャ細かいことまで見ている方なので、そのディティールを役者陣がクリアしないとOKが出ないという撮影現場でした。ずっと楽しかったです。
MC
演じてみていかがでしたか?
染谷さん
楽しかったですね、難しかったですが…(ネタバレになってしまうので)何も言えないです(苦笑)。
MC
田中さんは水野組初参戦でしたがいかがでしたか?
田中さん
僕は台本をコメディだと思って読んでいたんですよ。僕が撮影に参加しないところは見ていないので、「どういう雰囲気なのかな」と思って、終盤に合流したんです。「今日は久しぶりに文哉に会えるな。頑張っているかな?」と思って撮影に入ったら、思っていた以上にピリピリした現場だったんですよ(笑)。
水野監督
そんなことない(笑)!
田中さん
もっとコメディで軽い感じの現場だと思っていたら、ちゃんと普通の現場でした。だから、こっちも「お、おはようございます」ってちゃんと挨拶したんです。
現場はすごくタイトなスケジュールの中、僕は、水野さんの鬼才あふれる演出がすごく好きなのでハマって見ていました。水野さんに「もう一回」って言われて、文哉がイメージトレーニングをしているのを見ていて楽しかったです。
MC
「何も言えない」という話が出ましたが、そこでそれを逆手にとって、この作品の魅力、面白さを伝えるべく、皆さんのセンスで、見どころをネタバレギリギリで説明いただき、トークを盛り上げていただきたいと思います。
皆さんには事前にキーワードをフリップに書いていただきました。田中さん、皆さんこの業界にいてもう長いですし、まさかネタバレを言ったりはしないですよね?
田中さん
いやいや、ネタバレするやつなんているわけないじゃないですか!
高橋さん
いるわけないですよ。何年この業界にいると思っているんですか。
MC
ただ、万が一「危ない」と思った場合は、ブザーが鳴りますので、そこでトークをストップしてください。では染谷さんからお願いします!
■染谷さんの見どころ「沈黙の10秒」
染谷さん
気になりますよね? とあるシーンで沈黙の10秒が訪れるんですですが、本当に沈黙なんですよ。映画でこんな10秒は観たことがないです。10秒が経つとそこからガラッと…。【ブザーが鳴り響く!】
早いよ! 何も言ってないじゃん。今日、僕ここに立って何も言ってないよ!
水野監督
そうですねぇ…今のは、NGかな。
染谷さん
本当? 厳しいなぁ…。
高橋さん
しゃべれなくなっちゃった…(笑)。
■袴田さんの見どころ「事故物件」
袴田さん
これは、マンションがですね、事故物件なのかな…?
田中さん
薄くない(笑)?
袴田さん
(ネタバレを)しゃべっちゃうもん、これ以上しゃべったら…。
田中さん
もうちょっとしゃべってみてください。
袴田さん
このマンションで人が消えてってさぁ、怖いなぁって。
田中さん
薄くない? (登壇者の皆さん:笑)
袴田さん
これ以上はしゃべれないのよ(笑)。
MC
袴田さん、まさかですが本作は既にチェック済みですよね?
袴田さん
(あいまいな感じで)うん。
高橋さん
どうなんですか? 観ました? 『あの人が消えた』という作品は…?
袴田さん
予告観たよ。(登壇者の皆さん:大笑い)
すごく面白そうだったよ。(観てくださいよというツッコミを受けて)いやいや、観客の皆さんと同じ気持ちで、今日劇場の空いている席で観ていくからさ(笑)。
■坂井さんの見どころ「発音」
坂井さん
ある人のセリフの発音をよく聞いてください。ある人とある人とある人ですね。セリフを聞き逃さずにぜひご覧ください! 「発音」は大丈夫ですよね?
田中さん
まあ、つまり聞き間違い…。【ブザーが鳴り響く!】
僕のタイミングじゃないじゃん(苦笑)!
高橋さん
圭さんがしゃべった瞬間だったから、圭さん自身がネタバレなのかもしれないです(笑)。
坂井さん
「発音」をよく聞いておいてください!
■北さんの見どころ「ネコ」
北さん
猫がカギを握っていますね。
坂井さん
え? それ良いの?
北さん
猫をちゃんと観てください! 「かわいいな」とかじゃなく。
坂井さん
猫ばっかり観ちゃうと…私のこともちゃんと観てね(笑)。でも、私がずっと抱いている猫をよく観たほうが良いです!
■田中さんの見どころ「エンドロール」
田中さん
エンドロールを見る人、見ない人、どちらもいると思いますが、この作品は席を立てません! エンドロールを含めて一つの作品になっています。すごく楽しいエンドロールなので、最後まで楽しみにしてほしいです。でも、僕は一つだけ納得がいってないことがあります。絶対に僕だけエンドロールでイジられているんですよ。みんなは結構、カッコ良いのに、僕だけ…。【ブザーが鳴り響く!】
そりゃそうだよね…(苦笑)。こんなに救われたエンドロールを僕は初めて見ました。皆さんも感情がどうにかなっちゃうと思います。
MC
皆さんの奥で、袴田さんが「へぇ…」みたいな顔をされていますね。
袴田さん
(作品は観ていないけど)分かる(笑)。(登壇者の皆さん:大笑い)
■高橋さんの見どころ「ハリウッド」
高橋さん
どういうことか分からないですよね? 何て言うか、仕掛け? いや、やり方…? 何て言ったら良いですか?
水野監督
何を指しているのかな?
高橋さん
あれですよ! 「ああああああ!」って撃つ人、まだどこにも情報の出ていない“あの人”です。シークレットゲストの方ですね。観ればすぐに分かります。後、丸子の物語の中にハリウッドが…。【ブザーが鳴り響く!】
MC
田中さん、今の話は…。
田中さん
全然分かっていないです。
高橋さん
圭さんが分かっていないということはまだ大丈夫ですね。
染谷さん
島崎もハリウッド的なところもありますよね?
高橋さん
ありますね。ハリウッド級のヒットも狙いたいです!
MC
最後にお越しになった皆さんにメッセージをお願いいたします。
田中さん
僕たちも台本を読んでワクワクしたし、現場で水野さんの下で撮影している時も、完成した作品を観た時も、ワクワクしました。観ていくと、何度も気持ちよく裏切られます。終盤は「えぇっ?」「うわぁ!」と振り回されて、エンドロールで「ふわぁ」となる素敵な作品です。
皆さんには宣伝にお力添えをいただきたいですが、説明するのがとても難しい作品です。なので、ネタバレを踏まないように、近しい三人くらいに宣伝するような、昔ながらの宣伝方法で構いませんので、広めていってください。今日は楽しんでください。ありがとうございました。
水野監督
僕は映画を観終わったら、誰かと「あれってこういうことだよね?」と話すのが結構好きなんです。そういうことを話せるような作品になっています。何回観ても、違う発見があるように作ったつもりです。ぜひお友達、ご家族と一緒に観て、観終わった後もいろいろお話いただけるとうれしいです。今日はありがとうございました。
高橋さん
現場で水野さんをはじめ、スタッフ・キャストの皆さんが、スクリーンの前にいる人たちを楽しませるために「この瞬間をどうするべきか?」と必死に考えながら、一分一秒を大切に一生懸命に作品づくりを頑張りました。僕自身もそこに救われました。初めて本作を観た時に「ここまできれいに一つに繋がるんだな」と、出演していても分からない瞬間もありました。それをやっと今日、皆さんに観ていただけるということで、僕自身はドキドキ、ワクワクしていますが、楽しんでいただければと思います。「先読み不可能」と言われていますが、好きなだけ先読みしてください。絶対に読めないと思います! それくらい胸を張って、お届けできる作品ができたと思っています。ぜひ最高の伏線回収劇を楽しんでください。本日はありがとうございました。